2007年5月31日木曜日

年金について

年金の問題は今や社会不安の一つになっている。せっかく支払って来た年金を受け取ることができないという、悲惨な状態になってしまい、政府も重い腰を上げざるおえなくなっている。


「年金受給漏れ判明者で特例対象は、25万人・950億円」(asahi.comより記事を引用)
2007年05月31日02時09分

 政府は30日、年金記録問題対策を改めて発表し、「宙に浮いた年金記録」5000万件と、保険料を納めている人や年金受給者全員の名前・生年月日を突き合わせる作業を1年以内にすませる方針を打ち出した。また、受給漏れが判明している人のうち、時効で全額をもらえなかった受給者が推計で25万人おり、年金時効特例法案が成立すれば総計950億円が追加で支給されることも明らかにした。

「宙に浮いた年金記録」5000万件の照合作業は、年金を受給できる60歳以上か、年齢が不明の記録の計2880万件を優先的に照合し、同一人物である可能性が高い人に対し08年10月までに加入履歴を通知。一方で、残る2000万件余りの記録の作業も進め、今後1年以内に終わらせる——としている。

 作業期限を明確化し、持ち主の割り出しを早急に進めることで世論の反発を抑える狙いもあるが、照合がすんでもそれによってどの程度持ち主が確定するかは不透明だ。

 また、「記録の訂正を申し出ても、保険料納付の領収書がないと応じてくれない」などの批判にこたえるため、「銀行通帳の出金記録、元雇用主の証言」なども証拠となりうるとしている。

 一方、年金記録が新たに見つかるなどして訂正され、年金が増えた人はこれまで年平均3万7000人いる。そのうち1000人をサンプル調査したところ、約3割が5年の時効があるため、それ以前にもらえるはずだった年金が支給されていなかったという。この数字や平均寿命などをもとに試算すると、年金特例法案の対象者は25万人になる。30日の衆院厚生労働委員会の審議で、柳沢厚生労働相が明らかにした。

 同法案はこの日朝に同委で審議入りし、同日夜に与党が採決を強行して可決した。与党は社保庁法案と同時に31日の衆院本会議で採決する構え。これに対し民主党などは、柳沢厚労相の不信任決議案を提出する方針だ。


本当に大丈夫なのかと不安になるだろう。自分も多いに心配だ。しかし個人的には、もう年金は出ないだろうと考えている。少子高齢化社会で、年金を支えることは事実上不可能だと思うからだ。また、日本の経済の有り様も様変わりしてきている。もう日本の経済は遠い将来において、80年代のような強い時代が来るとは考えずらい。

つまりこう考えると、とてもではないが、年金など出るはずがないと思う。年金が出たとしても、月額で、どんなに多くても3万くらい出れば上出来ではないかと思うくらい。この数字には実はたいして根拠はないが、たぶんこのくらいだろう。

問題はいつから年金が本格的に崩壊して、年金の支払いが事実上不可能になるかだと思う。それが数年後なのか、あるいは10年後くらいか、これがよく分からない。今の団魂の世代が年金を受給する時が、一つのメルクマールだと思う。この世代はとにかく人数が多い。この世代に年金を支払えば、次の世代に年金は回らないだろうと思う。

個人的な予想では、団魂世代は死ぬまで年金を受給することは不可能だと思う。団魂世代が老人になり、本当に身体が身動きできない状態の時に年金はストップするのではないか?もう国はこんな多額の年金は払えません、という形で団塊の世代は切り捨てられるだろう。

その時は悲惨そのものだが、団塊の世代が事実上、日本社会を崩壊させたと個人的には考えているので、これも仕方がないと思う。団塊世代は最後の最後で責任を取らされるのだ。

で、年金が崩壊した後、我々はどうやって生きていくかだ。これはしっかりと考えないといけない時期だと思う。老人になれば事実上、身体が動かなくなる。労働など本当に大変で、労働環境が仮に整ったとしても、その労働に耐えられる人はどのくらいいるだろうか。

労働することせできれば、なんとか生きてはいけるかも知れない。しかし労働ができない場合は、もう事実上死ぬしかないだろう。ここの問題が大きいのだと思う。

ロボットを開発して介護に使うことはできても、そのロボットのコストや老人自体の経済生活を支えることはできない。実に困ったことだ。

将来を考えると暗くなるばかりだが、なんとか知恵を絞らないと行けていけない時代の到来なのだと、本当に自覚する。しかし出るのは、ため息ばかりだ。

記事にある、「柳沢厚労相の不信任決議案」などたいした意味はない。問題なのは官僚の方なのだから。はたして今更、政治で問題が解決できるのだろうか。

2007年5月30日水曜日

受動喫煙

受動喫煙についてのニュースを読んだ。よくセルフサービスのカフェを利用するので、これは気になるところだ。例え煙草を吸わなくても、店の中にいるだけでかなりの「受動喫煙」をしていると思う。あの店で本を一時間読んでいるだけでも、実はかなり煙草を吸っていることになるのだろう。


「受動喫煙で年間10万人死亡、5億人以上が被害 中国」(asahi.comより記事を引用)
2007年05月30日18時36分

 喫煙人口が世界最多の3億5000万人に上る中国で、受動喫煙による被害が広がり、年間10万人以上が死亡していることが、衛生省の「喫煙抑制報告」で30日までに明らかになった。同省は「受動喫煙の危害が深刻に受け止められていない現実に対し、科学的証拠を列挙した」とし、被害拡大に警鐘を鳴らすとともに、公共の場所などでの禁煙立法の必要性を訴えている。

 同報告によると、受動喫煙の被害者は5億4000万人で、うち15歳以下が1億8000万人。受動喫煙が原因の肺がんや心臓病などによる死者は年間10万人以上と推定されるという。(時事)


それにしても受動喫煙だけで、年間で10万人以上が死亡、というのは一体、どうやって分かったのだろう?単なる「喫煙」ではなく、受動喫煙が主な死亡の理由だとすれば、この受動喫煙で死亡している多くの人は、煙草を吸わない人、ということなのだろう。この記事を素直に読めばそう受け取れる。

ところが煙草を吸わない人が死んだ場合、何故その理由を受動喫煙にすることができるのだろうか。もしかしたら他の原因で死亡したのかも知れないわけだし。

例えば現在の中国では、環境汚染がひどいと聞く。中でも上海での大気汚染のひどさは、高度成長期の東京以上で、上海の大気汚染が風で日本にまで来ていて、それが日本海側の田舎のような場所の大気を悪くしていると聞いた。

だから日本海側の田舎よりうも、むしろ中国の大気汚染があまり来ない、太平洋側の東京の方が空気が良いくらいだ、という。それ思うと、中国本土の大気はかなり悪くなっていると想像できる。自分は中国に一度も行ったことがないから分からないが、おそらくはかなり大気汚染は進んでいるのではないのか?

つまりこの中国の受動喫煙の問題は、実は中国の大気汚染の問題なのかも知れない。大気が汚染されているから、ちょっとした煙草の煙がさらに空気を汚し、肺がんなどを引き起こしていると考えた方が、個人的には納得できる。

日本では受動喫煙で肺がんになったというのはあまり聞かないし(もしかするとそういった事例もあるのかも知れない)、実は煙草なんかよりも大気汚染の問題という気がしてならない。

それに中国政府が大気汚染のために国民が肺がんにかかったということがあっても、それを素直に認めないだろうと思う。仮にそれを認めれば国民から責任を追求されるし、責任を取らないといけなくなる。

だから煙草のせいにして、煙草を吸わない人には受動喫煙で肺がんにかかったということにしたいのだろう。これはあくまでも個人的な想像だが。


もっとも受動喫煙には、こんなニュースもある。


「屋内全面禁煙を勧告 受動喫煙防止でWHO」(47NEWSより記事を引用)
2007年05月29日 21:54 【共同通信】

 【ジュネーブ29日共同】世界保健機関(WHO)は29日、受動喫煙の害を防ぐため、飲食店を含む公共施設と職場を屋内全面禁煙にするよう勧告した。WHOは今年の世界禁煙デー(31日)で受動喫煙の危険性をアピールする。
 勧告は、分煙や換気によって受動喫煙の害を減らすことはできないと指摘。各国政府が公共の場での屋内全面禁煙を法制化し、順守を徹底させるよう求めている。
 家庭での禁煙にまでには踏み込んでいないが、職場での禁煙が法制化されれば喫煙者、非喫煙者ともに自発的に家庭でも禁煙にしようとする可能性が高まるだろうと予測している。
 WHOのマーガレット・チャン事務局長は「受動喫煙には安全基準などない。既に多くの国が行動を起こしており、世界中の国が屋内全面禁煙に踏み切るように求めたい」と述べた。
 WHOの推計によると、世界で年間20万人が職場での受動喫煙で死亡している。


このニュースの最後にある、「世界で年間20万人が職場での受動喫煙で死亡している」という箇所は、中国の問題と一致している。このニュースを読めば、上に書いたように、必ずしも中国の大気汚染が肺がんの原因ではないと言えそうだ。

しかし上の記事は「職場で」という場所の指定がある。同じ職場で他の人に煙草を吸われたら、一日中いるオフィスの中の空気は悪くなるだろう。空調していても、すぐに空気がきれいになるわけではないし。

しかし中国の記事では場所の指定はない。単に「喫煙者が多い中国では」というだけで、職場での受動喫煙が問題なのか、はっきりとしていない。

もっとも、喫煙人口が多いということは、どこに行っても煙草を吸う人がいるわけだから、特に場所を問題にする必要はないのかも知れないが。


いずれにせよ、煙草を吸わなくても、煙草を吸う人がいる環境を避ける努力は必要なのかも知れない。個人的には、煙草をたくさん吸う人が集まるようなお店に行くことが多いので、もうそういった店に出入りするのは、止めようかと思う。

スタバとか、そういった店に行こうかと思う。しかしそういった禁煙の店にかぎってコーヒーや飲み物の値段が高い。カフェで勉強したり本を読む習慣のある自分にとっては、コストがかかるので利用しずらい。

健康のことを考えれば、その程度の出費は安いとも言えるが、毎日のようにカフェに行くので、これはバカにならない。自分なりに良い店を見つける努力をしようと思う。

2007年5月29日火曜日

サムスンの低迷

自殺した松岡利勝・農林水産相についてのニュースはまだまだ続いている。これからもっと出てくるだろう。改めて考えるのはそれからだ。

藤原直哉のインターネット放送局で、松岡農水相について話題にしている。取り敢えず今の段階で批評できるのは、この程度だろう。



今日ニュースを見ていて、興味を持ったのは、大臣の自殺の件以外には、このサムスンについての記事だった。

「低迷サムスンが「緊縮経営」発表・気になる韓国の空洞化と財閥体質」(Nikkei Netより記事を引用)

 5月28日、韓国のマスコミはサムスン電子の「緊縮経営」を経済面のトップニュースとして一斉に報じた。営業利益、純利益が2007年1−3月期もまた前四半期比でそれぞれ42%、32%減ったのを受けた経営改善策だ。DRAM市況の低迷やウォン高の打撃で、利益は4年前の水準まで落ち込んでいる。サムスン電子はデジタルメディア総括、情報通信総括といった部門別に新しい主力業種を探して戦略を修正するとともに、経費節減と生産性向上に必死になっている。(趙章恩)
 サムスン電子の主力商品である512メガバイトDRAMは市況の回復が期待されていたが、供給過剰で価格は1.7ドルまで落ち込み、原価の1.5ドルすれすれの状況になっている。
 一方、ウォンドル為替レートも一段とウォン高が進み、最高値を連日更新している。ウォン相場が10ウォン上昇すると、サムスン電子の営業利益は3000億ウォン減る。円安ウォン高も深刻な状況で、この10年でウォンが25%も高くなった。このままでは4−6月期の利益水準は1兆ウォンを下回ってしまう。

■役員リストラのうわさも

 株価もさえない。5月28日、サムスン電子の時価総額は80兆6815億ウォンで、韓国株式市場全体の時価総額814兆5120億ウォンに占める比率は9.9%。わずか0.1%とはいえ、1999年10月以来初めて10%を下回った。2004年4月にはサムスン電子の時価総額が23%に達していたことを考えると大きな落ち込みである。

 株価指標のKOSPI指数は上がっているのにサムスン電子だけが下落しているのは、それだけ韓国経済に対する影響力が小さくなったからとみられている。だた、業績回復の兆しがないのも原因で、赤字を出しているグループ会社の切り離しまで噂される始末だ。
 実は今回サムスン電子が発表した緊縮経営は、すでにLG電子やハイニックス半導体が3月から取り組むなど、韓国の電子系企業のほとんどに広がっている。ただ、サムスン電子の社員らの反応を聞くと「今回の緊縮経営発表は予防や段取りではなく戦争そのもの。すでに昇給は凍結、新規採用も中途採用もなくなった。IMF経済危機の時にも行わなかった役員のリストラ話まで噂されている」というほど緊迫した状況のようだ。

 生産現場でも合理化・効率化が進んでいる。マスコミにはあまり報道されないが、地道に経営改善に挑んでいるのはLG電子だ。LG電子は生産効率を極大化する「Tear Down&Redesign」という革新プログラムを13年間続けており、生産現場の無駄をなくす専門家チームも組織している。プラズマパネル事業のリストラも始めていて、厚さ2.8ミリだったプラズマパネル後面板ガラスを1.8ミリまで薄くし、部品単価を30%ほど節減できる新工程を開発した。これは2007年下半期から導入される。
 LG電子とLGフィリップスの原価節減モデルもよく知られている。「トーネイドプロジェクト」と名づけた取り組みで、両社が共同開発している既存のパネル生産とテレビ製造工程を統合させ費用を大幅に節減した。LG電子はこのプロジェクトの結果、液晶テレビの部品点数を大きく減らすことができ、42インチ型液晶テレビで64%の原価低減を達成した。42型の薄さが49ミリ、重さが15キログラム減るなど、商品性の向上にもつながっている。トーネイドの次には「ビアズ」というプロジェクトを始める。
 サムスン電子も「モンブラン7段階プロジェクト」と呼ぶプロジェクトで、液晶テレビの製造原価の20%ほどを占める液晶パネル駆動ICを既存の4分の1にまで減らすなど、製造費用の節減を進めている。

■国外移転も「パリパリ(早く早く)」気質

 業界関係者の間では「費用節減には限界があり、結局は技術力で勝負するしかない」という意見も多い。サムスン電子を支える半導体の場合は技術向上が利益につながるからだ。同じ設備を使ってより多く生産するのも重要だが、次世代技術に早く転換することでより早く利益を出すのが競争力ともいえる。

 サムスン電子もLG電子も韓国内では費用節減、賃金節減と厳しい。ただし、海外投資にはとても積極的だ。サムスン電子は1万円以下の低価格の携帯端末製造のため、ベトナムに工場設立を検討していると発表した。これで韓国では年間700人ほどの職がなくなる。中国とインド工場の増設を含めると2年後には8000人ほどの職が失われる。
 サムスン電子は今年のR&D費用の4割を海外に振り向ける計画だ。しかし、だからといって「サムスンはひどい」とは言えない。ライバルのモトローラやノキアが既にグローバル生産体制を築いているのに、サムスン電子には愛国のため生産コストが高くても韓国にいてほしいとは言えないだろう。

 韓国財政経済部の統計をみると、韓国企業の海外直接投資は毎年急増していて、2006年は前年比2倍と伸び180億ドルを超えた。その25%が中国に投資され、中国を含むアジアへの投資は103億ドルで全体の56%を占めている。北米は16.5%、ヨーロッパは15.6%だった。
 海外投資に積極的なのは安い賃金と土地を求めてというのが一般的だが、実際には韓国の首都圏の不動産バブル、工場を新設できない厳しすぎる土地利用規制、生産職労働組合との問題なども影響している。
 当然だがその分、韓国内の製造業は穴が開いてしまっている。このままではコストの低い海外への移転が加速し、雇用が減り収入が減り消費も減少し経済成長も鈍化する悪循環になってしまうのではないかと怖くなる。産業資源部の調査によると、大手企業上位200社の2007年の韓国国内投資は前年比6.8%増加の56兆4000億ウォンの見込みだが、このまま海外投資が毎年2倍ずつ成長すれば2年後には金額が逆転する。
 原価節減のために仕方ないとしても、そのペースが速すぎる。パリパリ(早く早く)の国民性らしく即断即決で工場が海外に移転し、優秀な人材も職を求めて海外に移る。生産を海外に移して韓国内はよりハイレベルな産業のブレーンになるはずが、どうも予想がずれてしまったような気がする。企業も政府もあれこれ思案はあるようだが、12月の大統領選挙が終わってからでないと踏み切れないという雰囲気もある。

■「会社のカネで外遊」ブログで自慢

 一連の緊縮経営の報道を見ていると、必死の覚悟で経営改善のためにがんばる会社もあれば、企業が社員の恐怖心をあおることを狙って頻繁に「非常経営」「緊縮経営」を発表する会社もあることが分った。社員に愛社心を強要しつつ、社員を減らし賃金を大幅削減するだけのリストラで満足するところも少なくなく顰蹙(ひんしゅく)をかっている。
 本当に企業が危ないなら、社員を苦しめる前に「会社の財産は自分の財産」と考える財閥オーナー一家の姿勢から変えるべきではないだろうか。
 物価は毎年10%以上値上がりしているのに、社員の賃金は2%も上がらない。なのにオーナー一家は名前だけ役員に連ね、社員が一生働いても手にできない金額を年俸としてもらっていく。
 しまいには「事業開発のためのヨーロッパ研修」と称して会社の金でホテル代だけで月数千万円を使い、それを自慢げにブログに書き込んだ財閥の娘もいる。持ち株会社の株を極端に安い値段で特定人物に集中的に売り、経営権を継承しようとしたのがばれて裁判中の会社もある。韓国企業のグローバル化はますます進むだろうが、このような経営体質を抱え続けて大きな落とし穴に落ちなければいいのだが。
[2007年5月29日]


サムスンの収益が落ちているのは知らなかった。経営用語でよく使う「選択と集中」というのがあって、日本企業が事業内容を拡大していって、不況入りした時に、広げた事業のいくつかが赤字になり収益を圧迫するということが起きた。

そして赤字部門は切り離してしまい、得意な分野や収益の高い分野にしぼって、事業を効率化していこうという時に、この選択と集中という言葉はが使われたと思う。

得意な分野を如何に伸ばすか、そこで如何に収益を上げるのか、という問題で、話題になったり注目された企業の一つが、このサムスンだったと思う。ところが今になって、伸び悩みが出ているようだ。

サムスンと言えば、液晶テレビやモニター、そしてパソコンなどに使われるメモリの製造で有名だ。しかし市況の悪化や為替の問題などで、収益が圧迫しているようだ。この状況に対しては緊縮経営や経営戦略の立て直し等で対応しているようだ。緊縮経営には経費や製造コストの削減、リストラなどが含まれているようだ。経営戦略の立て直しは部門別に行われるようだが、詳しいことはこの記事からではよく分からない。

日本のメーカーが不況で喘いでいる時、リストラによる人件費の削減や製造コストの見直し、工場の中国などへの移転といったことがあった。激しいリストラやコスト削減で、今では「筋肉体質」と呼ばれるくらいの企業体質が出来上がっている。

それは2000年以降に顕著になった。その頃から韓国の企業が躍進してLG電子やサムスンが国際的に活躍するようになった。

あの頃は日本企業の得意分野だった液晶やメモリなどが為替の問題もあって韓国勢に取って変っていった。もう液晶もメモリも日本が一番強かったという時代ではなくなった。

そして今度は韓国の企業であるサムスンがかつての日本の企業と同じように為替や市況の悪化などに苦しんでいる。やはり日本と同じように激しいコストの削減やリストラの断行といった大変な問題を抱えるようになった。

まるで日本と同じ道を歩んでいるかのようだ。日本の方が早くこの問題があったから、すでに乗り越えている問題も多いはず。サムスンなど韓国企業はこれから数年をかけてコストの削減とリストラを経た上で、日本と同じように「筋肉体質」の企業へと移行していくのだろう。

韓国企業が筋肉体質化を遂げた後、はたしてその時の日本企業はどうなっているのだろう。より進んだ筋肉体質にでもなっているのだろうか?あるいは、もっと別の形態に変っていくのだろうか。

とにかくこの記事から察すると、韓国企業はこれから数年間が勝負だろう。現在の緊縮経営と新しい経営戦略とで、どれだけ効果が出せるか。新技術の開発にも大きな資金を投入させないとダメだろうし、なかなかキツい状態が続くだろう。

これから数年間は中国の台頭やEUの動き、アメリカの住宅バブルの問題など世界経済や政治の上で変化のありそうな時期だ。この問題が企業経営とどのようにリンクしていくかで、その企業の勝敗が決るような気がする。本当に世界に通じる技術と経営手法だけが生き残る時期なのだろう。これは韓国だけでなく日本も同様である。

2007年5月28日月曜日

松岡農水相の自殺

今日いきなり飛び込んできたニュースで衝撃的だったのは、松岡農水相の自殺というニュースだった。


「松岡農水相が自殺 議員宿舎で首つる」(asahi.comより記事を引用)
2007年05月28日14時21分

 28日正午ごろ、東京都港区赤坂2丁目の衆議院赤坂議員宿舎1102号室で、松岡利勝・農林水産相(62)が首をつっているのを秘書らが発見、119番通報した。警視庁によると、松岡氏は自殺を図ったとみられる。松岡氏は新宿区の慶応義塾大学病院で治療を受けていたが、午後2時、死亡が確認された。

赤坂署によると、松岡氏はこの日午前10時ごろまで、宿舎の室内で秘書と話をしていた。その後、出かける予定だったが、正午ごろになっても本人が室内から出てこないため、秘書が、警護に当たっていた警察官と一緒に室内に入ったところ、松岡氏が居間のドアの金具に、布製のひもで首をつっていたという。

 松岡氏をめぐっては資金管理団体の光熱水費や事務所費の不透明な支出や、入札談合事件で理事らが逮捕された農水省所管の独立行政法人「緑資源機構」に関連する団体からの献金問題など「政治とカネ」をめぐる問題が野党から次々と追及されていた。

 松岡氏の資金管理団体をめぐっては、電気代も水道代もかからない議員会館を事務所としているにもかかわらず、政治資金収支報告書には05年までの5年間に光熱水費計約2880万円がかかったと計上していた。松岡氏は国会で「ナントカ還元水とかいうものを付けている」と答弁したが、その後は「適切に報告している」などと繰り返すだけで具体的な説明は一切避けていた。

 また、議員会館は家賃もかからないのに、年間約2500万〜3300万円を事務所費として支出していたと政治資金収支報告書に記載していた。

 一方、緑資源機構をめぐっては、共産党が、林道などの事業と関係のある7政治団体を含む計9団体が松岡氏に約1億3000万円の政治献金をしていたと指摘している。

 このほか、出資法違反容疑で福岡県警の家宅捜索を受けた会社の関連団体のNPO法人申請をめぐって、松岡氏の秘書が審査状況について照会していたことが発覚。松岡氏の後援者に対し、都内の会社経営者が「松岡氏への資金協力」として渡した100万円が使途不明になっていることが判明するなど、「政治とカネ」をめぐる問題を指摘されることが絶えなかった。

 松岡氏は熊本県出身。69年、鳥取大農学部卒。69年に農林省に入り、天塩営林署長などをへて林野庁広報官を最後に88年農林水産省を退官。90年2月の総選挙で衆院議員に初当選し、当選6回。農水政務次官や衆院農水委員長、農水副大臣など一貫して農林水産畑を歩んできた。

 06年9月の安倍政権発足時に初入閣し、農水相に就任。農水族の中心的な存在として知られ、対中コメ輸出や豪州などとの経済連携協定(EPA)の交渉にあたっての手腕が買われた。安倍首相は「攻めの農政を進めるうえで必要な人材」と評価し、光熱水費問題をめぐっても擁護する姿勢を貫いてきた。



「松岡農水相のこれまでの主な答弁」(asaho.comより記事を引用)
2007年05月28日15時19分

 家賃が不要な議員会館に事務所がある資金管理団体が年間2000万〜3000万円の事務所費を計上していた問題について問われて、「架空のものだとか、付け替えというのは一切ございません」(1月9日、パリで記者団に)

 「政治資金規正法にのっとって報告している。説明責任はすでに果たしている」(1月16日、閣議後の記者会見で)

 「水道は『ナントカ還元水』とかいうものを付けている。暖房なりなんなり、別途そういうものも含まれている。必要な範囲で、確認したものがあれば答える」(3月5日、参院予算委員会で)

 「法律の定めに従ってきちんと対処するのが基本。現行法ではそれ(報告)をもって説明に代えると理解している」(5月23日、衆院予算委員会で)

 緑資源機構をめぐる入札談合事件で、同機構理事らの逮捕を受けて「今の事態を重く受け止めているし、私も所管の大臣としての責任は、きわめて痛切に感じている」(5月25日、閣議後の記者会見で)


「海外メディア「スキャンダルの最中に自殺」と松岡氏報道」(asahi.comより記事を引用)
2007年05月28日20時35分

 松岡利勝・農林水産相の自殺について海外の主要通信社は28日、一斉に「スキャンダルの最中に自殺」といった東京発の記事を配信した。

 ロイター通信はNHKが死亡の速報を流した直後、それを引用する形で速報。続報で一連のスキャンダルに言及し、「自殺は、安倍政権の支持率が発足以来最低レベルに落ち、7月の参院選で与党陣営が過半数を失いかねない状況の中で起きた」と解説した。

 韓国では通信社の聯合ニュースが午後1時過ぎ、「日本の現職閣僚が自殺を図った」と題した速報を配信。ニュース専門テレビYTNも、松岡氏が病院に搬送される画像を交えて事件を報じた。

 有力紙・東亜日報の徐永娥・東京支局長によると「日本の現職閣僚の自殺は、韓国でも驚きをもって受け止められている」という。「松岡氏のカネをめぐる疑惑を安倍首相はかばってきた。自殺は安倍内閣に政治的な打撃を与えるだろう」とする解説記事を本社に送った。

 ドイツでは、主要国首脳会議(G8サミット)などに続いて松岡農水相のニュースが伝えられた。公営放送ARDは昼のニュースでスキャンダルの渦中にある農水相が自殺したと、現場の映像を流しながら伝えた。


スキャンダルがあったとしても、なぜ自殺までするのか分からない事件だと思う。これから、この件に関して細かいニュースが出てくるだろうから、それらを良く読んで自分なりに今回の事件を考えておきたいと思っている。一国の国務大臣が自殺するというのは、本来、尋常なことではない。

農水省という、一見地味な印象を与える省の大臣の置かれた状態が、自殺するほどまでにキツいものだったとは思えないのだが。。。。。

農水省の抱える政策的な問題で重要だったのは、長期的にはやはり食物の自給率も問題だっただろうと思う。また直近の問題では、世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)などがあったようだ。

実務の側面でこれらの事から自殺至る動機など、まったく無いように思える。一体、何なんだ?と思うばかりだ。

今年の参議院選挙にも影響が出るだろう。

賄賂の問題だけで自殺するとは思えないし、自殺した理由は何なのだろう?とにかく、現職の閣僚の自殺は現憲法下では初だというから、今はまだ報道されていない理由があるのだろう。


「現職閣僚の自殺、現憲法下では初」(asahi.comより記事を引用)
2007年05月28日14時24分

 現職閣僚の自殺は現憲法下では初めて。これで戦後の国会議員の自殺者は7人となった。05年に自民党の永岡洋治衆院議員が、98年に新井将敬衆院議員、83年に中川一郎元農相が自殺している。このほか、同年、社会党の松本幸男衆院議員、91年には自民党の名尾良孝参院議員が、それぞれ、病気を苦にしたとみられる理由で自殺している。

 また、45年12月には、戦犯容疑者となった近衛文麿・元首相が出頭直前に服毒自殺した。

 戦中の43年には時の東条英機政権と対立していた中野正剛衆院議員が、憲兵隊からの取り調べを受けたあと割腹自殺したこともある。

2007年5月27日日曜日

対馬というところ

わりと微笑ましい記事。こうしたことの積み重ねで、日韓両国の関係が改善してくれることを望む。


「韓国の学生ら約260人が海岸で漂流ごみ拾い 対馬」(asahi.comより記事を引用)
2007年05月26日21時31分

 韓国などからの漂着ごみに悩まされている長崎県対馬市で26日、釜山外国語大学(韓国)の学生約100人と地元ボランティア約160人が、海岸のごみ拾いをした。

 参加者たちは、韓国側に面した島西海岸の井口浜など3カ所に分かれ、ハングル文字が書かれたライターやペットボトルなどをごみ袋に入れていった。約4時間で拾ったごみは、1立方メートルが入る袋で約300袋分に上った。

 参加した同大1年のキム・アラムさん(18)は「韓国のごみがあって申し訳ない。これからは、ほかの人たちにどんな影響があるのかを考えて、行動したい」と語った。

 日韓合同のごみ拾いは環境保全と交流を目的に始まり、今年で5回目。学生らは27日も清掃をし、28日に帰国予定という。


長崎県にある対馬(つしま)という場所は、個人的にはまったく知らなかった。対馬市のサイトを見ると、島なのが分かる。観光もやっているようで、美味しそうなソバとかあるようだ。

まあ、機会があったら一度旅行でもしようかと思う。デジカメでも持って、ぶらぶら一人で見るには良いところかも知れないし。

旅行に行く場合、アクセスは、一度九州に出ないとダメなようだ。飛行機でも船でも九州から行くことになる。やや面倒だが、交通手段が格段に発達した現代では、そのくらいでないと旅行気分も味わえないところがあるので、逆に良いかも知れない。

2007年5月26日土曜日

食の安全

食の安全に関するいくつかのニュースと若干のメモ。


「米国産牛肉、輸入量急増へ」(Nikkei Net より記事を引用)
 米国産牛肉の輸入が急増している。5月以降の輸入量は月間4000—5000トンとこれまでの2倍強となる見込み。夏場に向け日本で焼き肉用需要が増えることに対応し、商社が輸入増を計画している。大手スーパーでも試験販売に踏み切る動きが見られ、店頭に並ぶ機会も増えそうだ。

 7月以降は日本で焼き肉需要が強まる時期にあたるため、商社は輸入量を増やす見通しだ。専門商社など関係者の話を総合すると米国産牛肉の4月の輸入量は2500トンだった。5月は4000トン、6月は5000トンと大きく増える。3月の貿易統計では2209トンと、昨年7月末の輸入再開後は多くても2000トン台にとどまっていた。


スーパーで販売される分には、「米国産」ということをはっきりと明記するのだろうから、消費者としては、買う買わないは選べるわけで、これはあまり問題がない。

やや気になるのは、レストランや焼肉屋で使われる牛肉だ。これがちゃんと米国産だと分かるようになっていればいいのだが、そうでない場合は非常に困る。米国産牛肉を食べたくないのに、たまたま入った焼肉屋で米国産牛肉が使われていたら、困りものだ。

それにしても4月の輸入量が2500トンだったのに、6月には5000トンに増えるというのは倍の数字だ。一般消費者がそんな多量に米国産の牛肉を買って食べると思えないのだが。。。。。。

もし多量に輸入して、これが多量に余ってしまった場合、どうやって処理をするのだろうか。消費者が分からないように、惣菜などに米国産牛肉を使って誤摩化す、なんてことはないようにしてもらいたいものだ。これからは米国産牛肉がたくさん入ってくるのだから、この肉を買わないのはもとより、この肉が使われていると思われる食品にも注意をしておかないと。


「中国産アンコウにフグ混入 米当局、患者発生で注意喚起」(asahi.comより記事を引用)
2007年05月26日12時28分

 米食品医薬品局(FDA)は25日までに、「中国産アンコウ」として出荷された魚に猛毒を持つフグが交ざっている恐れがあると、消費者に注意を呼びかけた。シカゴでこの魚を使ったスープを食べた2人が体調不良を訴え、1人は入院。FDAが検査したところ、フグ毒の成分テトロドトキシンが検出された。魚を輸入販売したカリフォルニア州の業者は自主回収に乗り出した。

 FDAによると、テトロドトキシンは致死量が含まれている恐れがあるという。「中国産アンコウ」は昨年9月から282箱(1箱約10キロ)が同州のほか、イリノイ州、ハワイなどの卸業者を通じて販売された。商品の箱には「冷凍アンコウ」「中国産」などの表示があり、成分表示にも同様に書かれていたという。

 FDAは、毒性を考慮してフグの輸入には厳しい基準を適用しているが、今回輸入した業者はこうした基準を満たしていなかった。この魚を輸出した中国の業者の商品については、全量検査を行っているという。

 米国では中国の原材料を使ったペットフードが原因で犬や猫が死亡する例が相次いだことをきっかけに、中国の食品や医薬品の安全性に対する懸念が強まっている。


これは恐ろしいニュースだ。以前から中国産の野菜には農薬の問題が日本でもあった。中国野菜は個人的には買わないように注意している。スーパーなどでは中国野菜は安く売られているが、多くの人は注意してあまり買わないようだ。

しかし、こうしたニュースを見ると中国産の食べ物は怖くなる。冷凍の特に調理加工していない魚(アンコウ)でも、まったく安心できないものなのだ、ということが、このニュースで分かった。よく中国産の魚やエビなどをスーパーで見るが、できれば買うのは避けた方がよいと判断した。

このフグが混じるというのは、これは死ぬことだってある。米国は日本へ輸出する柑橘類などに、かなり強度の農薬を使っていると言われる。また今度の牛肉問題もあって、我々日本人の健康などどうでもよい、という態度だ。その米国が今度は自分たちの健康や生命が中国からの輸入食品によって脅かされる立場になった。何とも皮肉なことだ。


「中国からの「危険食品」、米が107件差し押さえ」(asahi.comより記事を引用)
2007年05月21日13時36分

 中国産の食品や薬品の原料から毒性物質が検出されている問題で、米食品医薬品局(FDA)が4月の1カ月間で、中国からの輸入食品貨物107件を危険性があるとして水際で差し押さえていたことが分かった。米ワシントン・ポスト紙が20日、報じた。ほかにダイエット用の補助食品や化粧品など1000件余りも差し押さえられているという。

 同紙がFDAの文書をもとに報じたところによると、差し押さえられた中には、発がん性のある物質によって保存加工された乾燥リンゴ、使用が禁止されている抗生物質が使われた冷凍ナマズ、違法な農薬が使われたキノコ類などがある。

 一方、FDAによると、先月27日から今月17日までに、中国からの植物性たんぱく質濃縮物の輸入を46件差し押さえた。米国では、中国から輸入された植物性たんぱく質を使ったペットフードを食べた犬や猫が死ぬ例が相次ぎ、樹脂などに使われるメラミンが添加されていたことが原因とされた。差し押さえた貨物は、業者側がメラミンが混入されていないと証明すれば輸入を認める。

 また、19日付のニューヨーク・タイムズ紙は、パナマ当局が歯磨き粉6000本から毒性のあるジエチレングリコールを検出したと伝えた。中国から輸入された可能性が高い。歯磨き粉は服用されないため健康被害は少ないと見られるが、パナマではジエチレングリコールの混入された風邪薬が原因で100人の死亡が確認されている。


これは少し前の記事だが、ペットフードに入っていた毒物でペットが死んだという話だ。パナマでの風邪薬が原因で100人死亡というのも、もの凄いニュースだ。中国のいい加減さは度を超えている。幸い日本ではここまで被害が出ていない。

考えてみれば、何故中国産の食品や医薬品などから、ここまで人体に有害なものが含まれているのだろうか。最近になって急にこうした極端なケースが出てくるようになった。確かに中国産の野菜の農薬で死んだ人が日本でもいたが、何人も多くの人が死んだというニュースはなかった。

ここにきて、いきなり極端なケースが出てくるのも異常だ。何なのか?


「中国、「食の安全」へ法整備・欧米の不信解消狙う」(Nikke Netより記事を引用)
 【北京=尾崎実】中国の国家品質監督検査検疫総局は21日、北京で「食の安全」など消費者保護に関する国際会議を開いて中国製品の安全性を高めるための法整備を進めていることを明らかにした。中国産原料を使用したペットフードを食べた猫や犬が中毒死するなど、中国製品への不安が高まる中、安全確保への取り組みを国際社会に訴える狙いがあるとみられる。

 同局の李伝卿副局長は同日の会議で「政府は商品の安全性を重視しており、中国は消費者の安全と健康に責任を負う国家。安全確保は政府の重要職務だ」と説明。製品の安全を確認・検査する体制の強化へ立法措置を進めているとした。

 安全性に疑いのある商品については、インターネット上で閲覧できるシステムの準備を急ぐなど、消費者への情報公開に積極的に取り組んでいると紹介。既存製品の偽造なども安全性の低下に繋がりかねないとして厳しく取り締まるとともに、製造元への監督を強化するという。


さすがの中国もこれらの問題には対応しないとマズいと思い、こうした法整備をするらしい。しかし対応が遅い。中国もかれからは世界で重要な位置を占める大国としての役割を演じなければならないから、こうした問題には冷静に対応していくだろう。

どれだけ迅速に対応できるのか、又は、規制による効果を出すことができるのか、お手並み拝見だ。勿論、個人的には中国産の食品は当分買わないが。

2007年5月25日金曜日

日本の「対外純資産」215兆810億円

日本の対外純資産が215兆810億だったというニュース。


「日本の「対外純資産」、215兆810億円で過去最高」(YOMIURI ONLINEより記事を引用)

 尾身財務相は25日の閣議に、2006年末時点の日本の対外資産と負債の状況をまとめた「対外貸借報告書」を報告した。

 日本の政府や企業などが海外に持つ資産(対外資産)の金額から、外国の政府や企業などが日本に持つ資産(対外負債)の金額を差し引いた「対外純資産」残高は、前年末より19・0%増えて215兆810億円と2年ぶりに増加し、過去最高を更新した。
 国内の低金利を背景に日本人が海外の債券や株式などへの投資を増やしたことに加え、為替相場の円安が進み、対外資産の円建て評価額が増えたのが要因だ。
 対外純資産の残高は、世界2位のドイツ(06年末時点の円換算で87兆8730億円)を大きく引き離しており、1991年以来16年連続で世界最大の債権国の座を維持したとみられる。
 日本の対外資産は前年比10・3%増の558兆1060億円と過去最高だった。海外からの日本株投資が増加し、対外負債も同5・4%増の343兆240億円と過去最高を更新したが、対外資産の伸びのほうが大きかった。
(2007年5月25日12時3分 読売新聞)


対外純資産は、外国からの日本への投資分を差し引いている額だから、日本の持つ対外資産の全体はもっと多く、記事にあるように、558兆1060億円というもの凄い数字になる。

記事では、「2006年末時点で」ということで、時期を区切ってあるが、これは一年間における対外投資の実績のことではなく、今までの累計でという意味だろう。つまり何年にも渡って日本が蓄積した対外資産の総体ということになるのだろう。

おそらく、この対外資産の大部分は米国債ではないかと推定する。他の国の国債を盛んに買っているとは聞いてないし、外国の不動産を買いあさった時期はもう過ぎていて、そのほとんどを手放しているはずだ。

外国株も中国株や米国株も含めて、それほど多く持っているとは思えないのだが....何せ、純資産で215兆、全体では558兆からあるのだ。外国株ならそのうちの20兆くらいだろうと個人的な感覚で推定する。

さて、この純資産での215兆だが、このうち政府が持っている資産はどのくらいなのだろうか。仮に政府が半分近く持っていると仮定すると100兆ちょっとあることになる。

100兆円もあれば、国家の今抱えている問題にいろいろと対処できるように思う。年金問題も、増税の問題も、この対外資産を取り崩して使えば、問題に対処することができるだろう。

国内では、公務員住宅を民間に売却しようとか、国家の持つ不動産の売却の話があったと思う。ところが対外資産を取り崩して、これを使おうという話はあまり聞かない。普通なら対外資産をさっさと売って、その売却益で足りない分を補おうとすると思うのだが。。。。。ちょっと不思議ではないか?政府は今、金がなくてピーピー言っているというのに。



また一方で気になるのは、外国が日本に対して持つ資産の額だ。つまり、日本の対外資産の全体の558兆1060億円から純対外資産の215兆810億円を差し引いた、約343兆円250億という数字だ。

この約343兆円250億という金額は、かなりの大きさだ。もの凄い数字だ。

確か、日本国債など、その低利回りのおかげで、外国の投資家は買いたがらないはず。日本の国債を持つ外国は少ないはずだし、持っていてもかなり小額ではないだろうか。

つまり、外国が持つ日本の資産の大部分が民間のもの、ということになると思うし、外国が所有する、という時の「外国」とは、外国の政府ではなく、外国の民間人であるということではないのか?

記事では海外からの株式投資が増えたということが書いてあった。株式投資だけで、こんなバカでかい数字になるものだろうか?もちろん株式のみのでこんな金額に達するわけはない。

この約343兆円250億には、債券や不動産の当然入っているだろうから、株式だけではない。だが、不動産と債券、株だけでも約343兆円250億になっているのなら、日本はかなりの部分を外国に売っていることになる。

できれば、この外国の持つ日本の資産の内容と、日本の持つ対外資産の具体的な内訳を知りたいものだ。この2つは、ちゃんと公開されているのかね?

2007年5月24日木曜日

グリーンスパンの中国株への警鐘

今日ネットで見たニュースで、グリーンスパンが中国株式の過熱に警鐘を鳴らした、というのを読んだ。このニュースは、朝日と読売では掲載されていたが、何故か、掲載して当然である日経のサイトにはなかった(検索しても記事は出てこなかった)。

こうゆう、投資家心理を冷やすような記事は、日経は敢えて掲載しないようだ。


「中国株「いずれ劇的に収縮」グリーンスパン氏が警鐘鳴らす」(YOMIURI ONLINEより記事を引用)
 【ニューヨーク=小山守生】米連邦準備制度理事会(FRB)のアラン・グリーンスパン前議長は23日、スペインのマドリードで開かれた会議に衛星中継で参加し、最高値更新を続ける中国の株式市場について「いずれ劇的な収縮が起きるだろう」と、株価の過熱に警鐘を鳴らした。

 欧米のメディアが報じた。これを受け、ニューヨーク株式市場で売り注文が広がり、取引中の最高値を更新していたダウ平均株価(工業株30種)は一転して下げに転じ、3日続落となった。
 ロイター通信などによると、前議長は中国株式市場の過熱は「持続できないのは明らかだ」として、いずれ本格的な調整局面が訪れるとの見方を示した。
(2007年5月24日13時5分 読売新聞)



「中国株の劇的下落を懸念 FRB・グリーンスパン氏」(asahi.comより記事を引用)
2007年05月24日08時21分

 米連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン前議長は23日、スペイン・マドリードでの会合で通信回線を通じて講演し、過熱する中国株式について「劇的な収縮」を懸念していると述べ、急落の恐れを警告した。ただグローバル経済は資産価格の下落を乗り切ることが可能だろうとの見方を示した。

 ロイター通信によると、前議長は「(中国の株式ブームは)明らかに持続できない」とした上で、「いつかドラマチックな形で収縮するだろう」と語った。そして収縮は中国の個人資産に問題を生じさせる恐れがあると指摘した。(時事)



日経のサイトでは、以前も米シティー東証上場と日本で持ち株会社を設立するというニュースも掲載しなかった。このシティの持ち株会社は、おそらく、今年5月から解禁された株式交換による「三角合併」を念頭においたものだろうと推測する。

仮にそうであれば、このニュースは非常に重要なのだが、それでも掲載しない。日経はなんとも不自然なことをしている。

これらのニュースをわざと載せないのか、それとも日経からすると、取り上げるべきニュースではないと判断して掲載しないのかは定かではないが、気になるところである。

2007年5月23日水曜日

今日の銀行株

今日の東証での銀行株の動きについての、メモ。

三井住友フィナンシャルグループと三菱UFJフィナンシャル・グループの決算は利益減少になったのに関わらず、株価が上がった。


「三井住友FG、前期純利益36%減・プロミス損失響く」(Nikkei Netより引用)
 三井住友フィナンシャルグループが21日発表した2007年3月期決算は連結純利益が4413億円となり、前の期に比べて36%減少した。持ち分法適用会社である消費者金融大手プロミスの巨額損失計上などが主因。過去最高益を達成した06年3月期から一転、昨年末の貸金業法改正を契機とした「ノンバンク問題」が業績に影を落とした。

 本業のもうけを示す07年3月期の連結業務純益は9242億円で同25%減。プロミスの損失反映と、金利上昇をにらんだ保有国債の含み損処理がそれぞれ約1100億円の減益要因となった。中小企業向け金融派生商品の不正販売による半年間の一部業務停止命令も、利益を300億円分押し下げた。


今日の三井住友のFGの株価:終値1,180,000円、前日比+60,000 (+5.36%)
ヤフー・ファイナンスの株価

チャートでは、今日、窓を開けて上昇した。決算が冴えないのに、なぜ力強く上げたのか?
ここ半年近く、どちらかというと、右肩下がり、という雰囲気だったが、今日はプラス6万の上げ。今日上げた理由は不明。悪材料出し尽くし、というやつか?


「三菱UFJの前期、純利益8809億円・実質25%減少」(Nikkei Netより引用)
 三菱UFJフィナンシャル・グループが23日発表した2007年3月期の連結決算は、純利益が8809億円となった。前の期は7707億円だったが、旧UFJホールディングスの05年9月期決算を合算すると1兆1817億円。実質では25%減少した。投信関連収益などが好調だったものの、与信関連費用の増加が響いた。

 本業のもうけを示す実質業務純益(傘下2行の合算)は1兆1740億円。前の期は旧UFJ銀行の05年9月期決算を含め1兆3404億円だった。1株当たりの期末配当は前の期より2000円多い6000円とする。

 2008年3月期の連結業績予想では、純利益を9%減の8000億円と見込む。年間配当は前期より3000円多い1万4000円の見通し。


今日の三菱UFJフィナンシャル・グループの株価:終値1,410,000円、前日比+50,000 (+3.68%)
ヤフー・ファイナンスの株価

今日は三井住友FGと同じような動き。チャートを見ると窓を開けて上げた。決算内容も冴えない。また最近の株価の動きも冴えなかった。やはり悪材料の出し尽くし、ってやつか?そろそろ底を付けて、上昇波動入りするのかも知れない。また純利益が減るのに、何故か年間配当が上がるらしい。


(追記)
ヤフー・ファイナンスの三菱UFJの株価の下にある「最新関連ニュース」で、今日になってから、やっと株式分割のニュースを伝えている。

株式分割のニュースは、すでに、このブログでも書いた。三菱UFJ側が、すでにそのHPのIRで発表づみのこと。それなのに、何故か今日になってから「発表があった」として、株式分割のニュースを載せている。何故早くからこのニュースを伝えないのだろうか?事前から分かってたくせに。

当ブログの「三菱UFJフィナンシャルGの株式分割と単位株変更」へ

2007年5月22日火曜日

流行中の麻疹への疑問

なぜか麻疹が成人の間で流行している。病気のニュースだから自分や周囲が罹っていなければ、つい読み流してしまうニュースだ。しかし、奇妙に思われるな部分もあり、やや気になる。自分の気になった点について、若干のメモ。


「はしか大流行はなぜ 大学続々休講 ワクチン効かず?」(asahi.comより引用)
2007年05月21日

 はしか(麻疹)が大流行のきざしを見せている。もともと、乳幼児に多い病気だが、今年は高校生や大学生など若い世代に感染が目立っている。40歳以上の中高年からすると、「なぜ?」と思える流行だが、ワクチンを1回受けても免疫が十分につかなかったり、時間とともに落ちたりする人が増えたのが原因らしい。

 ◇   ◇

 16日から授業を取りやめた日本大学文理学部(東京都世田谷区)。学生44人の感染が確認され、校舎内への立ち入りは原則禁止された。

 就職活動のため、エントリーシートを取りに来たという男子学生(23)は「今は就職で大切な時期なので気をつけます」と話した。

 創価大学(同八王子市)は、全学の授業を4月18日から今月6日まで休講にした。新入生を迎えて活気のあるはずのキャンパスは人影もまばらになった。宮崎和弘・広報部長は「開学以来初めてのことです」。

 大学は、はしかにかかったことがない学生約7000人にワクチン接種を実施。接種のため、600人の学生が学内の保健センターを訪れる日もあった。これまでに約6000人が受け、流行は終息。費用は大学が負担した。

 このほか、都内では、上智、東京工科、駒沢、和光の各大学も休講になった。

   □   □

 国立感染症研究所感染症情報センターが集計する全国450医療機関の定点調査によると、15歳以上のはしか患者は、05年7人、06年40人だったが、今年は4月末までに130人に達した。東京を中心に埼玉、神奈川など首都圏で増えている。

 流行は大学だけにとどまらない。都教委によると、都立高など約250校のうち90校で患者が出た。計250人に達し、5校が休校になった。

 はしかは、ウイルスによる感染症で、約10日の潜伏期を経て、発熱、せき、鼻水などかぜに似た症状のあと、高熱が出て赤い発疹が全身に広がる。根治療法がなく、ワクチン接種による予防が対策の中心だ。一度かかれば、接種はいらない。同センターの多屋馨子室長は「罹患(りかん)歴と、ワクチンの接種歴を母子手帳などで確認して、両方なければすぐに接種をしてほしい」と呼びかける。

   □   □

 今回の流行は10代以上の若者に多いのが特徴だ。しかも接種したのに発症している。

 なぜなのか。

 1回だけの接種で十分な免疫がつかない人が数%いる。それに加え、「流行回数の減少」が集団感染の原因になっていると専門家は指摘する。

 はしかの流行が少なくなり、ウイルスに接する機会が減って免疫の増強効果が得られなくなった。ワクチンを打っていても「強い免疫」にならず、次第に低下して感染しやすい人が増える。

 流行が珍しくなかった時代に育った中高年は、知らず知らずのうちに強い免疫力がついており、まず心配はない。

   □   □

 米国などは、はしか対策を着実に進めている。韓国も昨年、患者数が減って流行がない「排除達成」を宣言。日本は12年を目標にしているが、海外で、日本人渡航者から感染したケースがあり、「はしか輸出国」と、ありがたくない呼ばれ方をされることもある。

 感染拡大を受け、千代田区のように自治体が小中学生に無料接種するなどの動きも出てきた。札幌市立大看護学部の富樫武弘客員教授は「ワクチンの2回接種を徹底することが大切だ。今回の流行で、しばらくは免疫が高まって流行しないが、対策を進めないと、周期的に流行を繰り返す」と指摘している。

   ◇   ◇

 前回、はしかが流行したのは01年。推定で28万6000人がかかったが、その後は沈静化する傾向にあった。今回の関東の流行は、06年末に埼玉県で始まり、4月に入って急に拡大した。入学式など集団行事が多い4〜6月に流行のピークを迎える。ワクチンは風疹との混合の「MRワクチン」で06年4月に導入された。従来、接種が1回だったが、免疫を確実につけるため、(1)1歳時(2)小学校入学前1年間の計2回になった。


「成人のはしか、勢い増す 2001年以来の流行に」(東京新聞より引用)

 関東を中心に流行している麻疹=はしか=について、7日から13日の1週間に全国約450の医療機関から報告された15歳以上の患者数は53人に上り、今年に入って最高となったことが国立感染症研究所のまとめで22日分かった。
 1週間の報告数としては2001年の流行時に最多だった54人に匹敵する数。感染研は「はしかの流行は勢いが強まり、関東以外にも広がりを見せている」としており、引き続き注意が必要としている。
 報告数は、ゴールデンウイーク期間中で休診の医療機関が多かった前週の25人から2倍以上に増えた。今年に入ってからの累積報告数は208人となった。
 53人のうち、都道府県別では東京が19人と最多。宮城の6人、埼玉、千葉、島根の4人、北海道、山梨の3人が続き、関東以外の報告も目立ってきている。


こんな感じで、成人、といっても、主に大学生がたくさん麻疹に罹っている。関東から広がりはじめたようだが、どうして関東から広がったのかは不明のようだ。記事では大学が休講となり、都立高校でも感染者出て休講している所もあるようだ。

ここで、なぜ大学生と高校生が中心なのか、という理由は、記事によれば、「はしかの流行が少なくなり、ウイルスに接する機会が減って免疫の増強効果が得られなくなった」ということで、免疫力が低下したからだ、という。

では、何故、免疫力の強くない子供の間で流行しないのか、これだとその説明がつかない。また世代的に近い、20代の若い会社員の間で麻疹が流行している、というニュースも出てないことから、この辺りにも疑問を感じる。

新卒で入社したばかりの銀行員とか商社に勤めている者が麻疹にかかり、会社を休んでいるというニュースは何故か聞かない。たまたまそのニュースを知らないだけなのかも知れないが、少なくともネット上のニュース・サイトでは、そのニュースは見ない。

本来罹りやすいはずの、子供の間で流行したというニュースも見ないし、若い社会人の間でも麻疹の流行は今のところない。子供でも小学生辺りになれば、麻疹に罹りやすい状態にあると思うが、小学校や中学はまだ休講になっていないようだ。

記事ある、免疫力の低下が麻疹流行の原因の一つだとすれば、小学生や中学生、若い社会人でも同じように麻疹に罹っていないとおかしい。特に社会人の場合であれば満員電車には乗るし、多くの人と接する機会があるのだから、麻疹に罹る確率だって、大学生よりも高いんじゃないのか?

この辺り不思議といえば不思議な状態だ。

2007年5月21日月曜日

G8で為替議論せず

G8の記事で少々気になった点についてのメモ。


「G8で為替議論せず、ヘッジファンド間接監視で合意」(asahi.comより引用)

[ポツダム 19日 ロイター] ドイツのポツダムで開かれていた主要8カ国(G8)財務相会合は19日、世界経済が引き続き堅調との認識を示すとともに、主要テーマだったヘッジファンドの透明性向上に関しては、銀行などヘッジファンドの取引相手を通じた間接的監視を行うことを盛り込んだ共同声明を採択して閉幕した。円安が進行する中での会合となったが、為替について踏み込んだ議論は行われなかった。

 <ヘッジファンドのリスクを引き続き警戒>

 注目されたヘッジファンドに関する議論では、共同声明において「先端金融技術・商品の隆盛とともに金融システムの効率性に大きく貢献している」と評価しながら、急拡大する取引規模を踏まえ、システミック・リスクなどを引き続き警戒すべきとした。

 もっとも、具体的な規制・監視のあり方に関しては、かねてから議長国のドイツが提唱していたヘッジ・ファンド業界に自主的な「行動規範」を求めるものではなく、業界に情報公開の充実を促しながらも、銀行などヘッジファンドの取引相手方(カウンターパーティー)を通じた間接監視に委ねるものとなった。「監督当局は、主要な金融機関が継続してヘッジファンドに係るリスク管理慣行を強化するよう仕向けるべき」との文言も盛り込んだ。

 会合後に記者会見したシュタインブリュック独財務相は「われわれが一致できなかったのは(政治家が)このアプローチを主導し、われわれのスーパーバイザーがそれをチェックするのか、あるいは市場にすべてを任せて対話ベースで対処するのかだ」とし、ヘッジファンドに関する議論は銀行や当局を含めて議論を続けると述べた。

 また、会合ではヘッジファンド活動のモニターに関して尾身幸次財務相が、ヘッジファンドと取引をする証券会社、銀行などの金融機関との意見交換を提案し、「全会一致で賛同してもらった」(尾身財務相)という。同財務相は、秋の7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で意見交換の機会を設ける見通しも明らかにした。

 <円安批判は行われず、人民元は一層の柔軟化必要>

 今回のG8は、外国為替市場で円安が進行する中での会合となり、為替に関する議論も注目されたが、踏み込んだやり取りはなかった。2月に同じくドイツで開催されたエッセンG7では、欧州当局者を中心に事前に円安けん制発言が繰り返されたが、当時よりもユーロ高/円安が進んでいるにもかかわらず、為替議論は鳴りを潜めた。

 シュタインブリュック独財務相は会合後の会見で、為替問題は議論しなかったと表明。尾身財務相も「中央銀行総裁も入っておらず、為替レートの問題はあまり議論にならなかった」と述べた。

 もっとも、中国が人民元の対ドル変動幅を拡大させたことについて尾身財務相は「人民元の柔軟性を一層高める必要があるというのが(G8諸国の)大方の意見」とし、「そういう方向に沿ったもの」と評価した。その上で「さらに柔軟性を高めてほしいという点でも意見が一致している」と付け加えた。

 <世界経済は引き続き堅調、米経済に楽観的な見方も>

 共同声明では、世界経済の認識について「引き続き堅調であり、G8各国国内においても、より均衡のとれたものになっている」として、良好な環境が継続しているとの見解を表明した。世界経済のリスクについては、減退しているとの認識を示したうえで「高く不安定なエネルギー価格は依然として懸念事項であり、引き続き警戒」として原油などエネルギー価格の動向を懸念材料にあげた。

 個別の国への言及はなかったが、注目が集まる米国経済の先行きについて、ポールソン米財務長官の代わりに出席したキミット財務副長官は「第1四半期の経済成長率は控えめだったが、年内に潜在成長率に向けて回復することに自信を持っている」と楽観的な見通しを示した。さらに、サブプライム・ローン(信用度の低い借り手への住宅融資)問題に関連しては「住宅(セクター)が安定化し、サブプライム・モーゲージ市場での延滞の増加が、より広くに波及している兆候は見られない」と語った。

 尾身財務相は会合で日本経済について「一般的な話の中で、物価安定のもとで順調に回復を続けていると説明した」という。


この記事で、やはり我々日本人の関心を引くのは、為替についての箇所だろう。何故か円安ユーロ高の問題を議論しなかったのが、いささか不思議だ。欧州の蔵相が多いのに、どうしてこの問題を議論しないのだろうか。かなり円安ユーロ高が進んでいるのだから、議論して当然だと思うし、議論すべき問題と思うのだが。

また為替レートを議論しない理由として、「中央銀行総裁が入っていない」というのも少し奇妙だ。為替レートは中央銀行の総裁のみが議論できる問題でもない。むしろ行政である財務省や通産省などの方が輸出企業側からいろいろと文句や要請が出て、まさにG8で議論すべきことだと思うのだが・・・・円安ユーロ高に、なにか我々に知らされていない、別の理由があるのだろうか?

この記事では世界経済は引き続き堅調だとして、米国経済も楽観できる、などとしているが、これも少々違和感を感じる。確かに世界経済の上では、大きな問題を引き起こすファクターはあまりないのかも知れない。しかし欧州でも日本でも若者の失業問題、フリーターの数の多さや、賃金の低さなどの問題があるし、経済格差の問題もある。フランスでは先日の大統領選挙の時に暴動が起きたように、必ずしも国内経済に問題がないわけでもない。だから経済が引き続き堅調だとするのは違和感がある。

それにアメリカの住宅バブルの問題は今だに深刻だと思うし、この記事で言う「サブプライム・モーゲージ市場での延滞の増加が、より広くに波及している兆候は見られない」から大丈夫だとするのも、いささかいい加減な印象を持つ。アメリカの住宅バブルは、確か、住宅価格の高騰で、そこから出る含み益の部分をさらに投資にまわす、ということをしていたと思う。この含み益の部を元にして銀行から借り入れをし、さらに住宅や株式などに再投資をするという行動をしているそうだ。

だがこれが一旦、逆回転をし出したら、バブルのはじめるエネルギーは凄まじいはずだ。こんな楽天的なことを言える程甘くないはずだ。

今回のG8は、アメリカはポールソン財務長官の代わりにキミット財務副長官が出席したようだし、上記のように為替問題は無視、世界経済の堅調だの、米国経済は大丈夫だとか、なんか「本気」じゃないなあ、と感じてしまう。何か、スカスカな感じのするG8という印象だ。

2007年5月20日日曜日

豪州のいじめ、損害賠償金1億円

5日前のニュースだが、豪州の裁判所がいじめの損害賠償金1億円を認めた、というニュースがあった。


「いじめで1億円賠償命令 豪州の裁判所、州政府に」(asahi.comより引用)
2007年05月15日21時08分

 小学校の時に上級生らにいじめられたため、うつ病になるなど一生働けなくなったとして、オーストラリアの18歳の男性がニューサウスウェールズ州政府を相手に損害賠償を求めた裁判で、州最高裁は14日、総額が100万豪ドル(約1億円)を超えるとみられる支払いを命じた。

 地元の報道によると、訴えていたのはシドニー北部の小学校に通っていたベンジャミン・コックスさんと両親。入学時から上級生らに殴られたり首を絞められたりするなどのいじめを受け、7歳から部屋に閉じこもるようになった。恐怖からうつ病となり、中学や高校にも通えず、現在も自室でテレビゲームをする毎日を送っているという。

 母親は学校や州政府に相談したが、担当者に「いじめられるのも人格形成に役立つ」と相手にされなかったと主張。最高裁は「彼の思春期は破壊された」と、学校が保護義務を果たさなかったとし、学校を管轄する州政府に損害賠償として21万3000豪ドルと生涯賃金相当額の支払いを命じた。弁護団によると、総額は100万豪ドルを超えるという。


日本でもいじめ問題は深刻だが、日本もそろそろこうした、「いじめ裁判」が出てきてもおかしくない時期だ。最近の司法改革でも、裁判社会の到来、ということをよく言われるし、これだけいじめ問題の件数が多くなっているのだから、それに関連する裁判もそのうち、きっと多くなるのだろう。

もっとも賠償金の金額は、この豪州のニュースで言われる1億なんていう高額な請求にはならない気がするが、件数は多くなるのではないか?

日本の学校は、民間の企業と明らかに異質なところがたくさんあるようだが、その一つは、「債務不履行」という概念が存在しないことだ。学力低下問題やいじめ問題など深刻な問題があるのに、学校や教師が平然とあぐらをかいていれるのは、結果責任(=債務不履行責任)を問われないからである。

私企業の場合、結果責任を問われる。期日までに製品を納入しないとダメ、期日までに建物を建てて引き渡さないとダメ、ということになり、製品の品質や個数も当然問われる。これが約束通りにいかないと、基本的には債務不履行責任が発生して、相手方から損害賠償請求の発生や解除権の行使などの問題が出てくる。

これに対して学校や教師にはこの種類の結果責任はなかったりする。いくら勉強(授業)が遅れようが、生徒の学力が低かろうが、いじめにあった生徒が学校に来れなくて、その結果生徒の人生がめちゃくちゃになろうが、おかまいなしにいられるのは、まさに、この結果責任が問われないからだ。

だいたい、教育という分野には債務不履行責任は、なじまないものだ。だから多くの国民は、学校や教師に対して結果責任を問うという姿勢を持たない。しかしその結果、過度に教育分野について「結果責任」を不問にしてきた節がある。

進学校における進学率の問題以外は、基本的に父兄や世間からその結果を問われない感じだろう。だが、このニュースのように裁判の問題が出てくると、事情が違ってくる。

何か学校や教師に問題があったり、違法行為、人権侵害やその他あれば、すぐに裁判で訴えられる、という社会になった場合、ある意味で教育の結果責任を厳しく問われるということになる。つまり、法律による処理という形で、その結果責任が問われてしまうのだ。

この場合、学校や教師側に非があれば、損害賠償金を取られ、確実に責任を取らされる。今までは教育行政の中で、そこそこ上手くやっていれば問題なかったのに、誤魔化しが効かない社会が到来する。もう責任を取ることから逃げる方法がなくなる。(この場合、訴訟での証拠問題があり、学校や教師に問題があっても、証拠がなくて、裁判上、生徒側の請求が通らない場合もかなり出ると思うが)

もっとも最近の教員免許更新の議論や、義務教育での学校選択制の導入など見れば分かるように、教育行政側も学校や教師に厳しくなってきている。少しは教師にやる気を出させるために、様々な工夫しようとしているようだ。そんな努力や工夫は今さら遅いとも言えるが、やらないよりはましだ。

まあ、結局、仕事(そう言えば、教師は自分たちを労働者だと言っているのに!)であるのに、何も責任を取らずして、社会が成り立つわけがないということなのだろう。行政側でいじめ問題の解決など、教育の範囲内でちゃんとできなければ、司法の分野で、つまり裁判を起こして損害賠償請求をし、問題を解決するという方法が取られる。

自分たちの問題を自分たちで解決できなければ、司法にその判断を委ねるという、社会一般で行われていることが、単に教育問題にも適用されるだけの話というわけか。

フリーターの権利

フリーターに関する2つのニュースを読んだ。最初は東京から。


「16歳「茶髪」少女 バイト先からクビ通告 個人で労組へ」(asahi.comより引用)
2007年05月19日19時11分

ビジュアル系バンドや少女漫画が好き。そんな16歳の少女が、髪の色を理由にアルバイト先の店長から突然、クビを通告された。「納得できない」。彼女は闘うことを決めた。個人加盟できる労働組合(ユニオン)に入り会社と交渉、撤回させた。

 東京都練馬区の福家(ふくや)菜津美さん(16)は昨春、中学を卒業。高校には進まず、母と姉の3人暮らしの家計を支える。

 週5日、朝8時から夕方5時まで牛丼チェーン店で働く。さらに週2、3日は午後6時から9時半までファミリーレストランで。ダブルワークで月収は約16万円。高卒認定試験(旧大検)をとって大学に進み、獣医師になるのが夢だ。

 ところが3月、ファミレスの新店長に「髪の色を黒くしなさい」と指示された。極端な茶髪ではないし、店では規則通りに束ねている。1週間考えた後、拒否した。店長からは「それなら一緒に働けない」と告げられたという。「1年間、一生懸命働いて時給も20円あげてもらった。それが髪の色だけで否定されることが悔しかった」

 首都圏青年ユニオンに入って交渉することにした。4月の団体交渉には、同ユニオンの16人が支援に駆けつけてくれた。会社側は「解雇通告だというのは誤解」と説明。店長の「クビ」発言についてもはっきり認めない。だが福家さんは「一緒に働けないと言われたら、クビと同じじゃないですか」と思いをぶつけた。交渉の結果、会社は、髪を黒くしなくても今まで通り働くことを認めた。

 福家さんは20日に東京・明治公園である「全国青年雇用大集会2007」で体験を話す。

 「16歳でも、働く人の権利を知らないと絶対損をする。何も知らなければ、何も言うことができません」


16歳の若い女の子が、自分の労働の権利を守るために、勤めるお店側に自分の権利を認めさせた。「茶髪ではダメ」ではまるで校則みたいだが、接客業ということで、規則がそれなりにあるのだろう。

それにしても、首都圏青年ユニオン(こうゆう所があるのを知らなかった)というのに入っるだけでも、16歳という年齢では行動力があると思う。

ユニオンの仲間16人が店側との交渉で一緒に応援してくれた、ということだが、お店で働くフリーターの中ではたった一人の戦いだろう。そうした中で何とか自分の権利を認めさせるところまで行って、この女の子は偉かったと思う。

学校でも職場でも、自分の正当な権利なのに、時にそれをなかなか認めないとこがある。正当な権利を通すだけでも、かなりエネルギーを使うし、ストレスも溜まる。神経をすり減らしながら戦うことになる。大人になれば誰でも人生経験の中で一度くらいは、こうゆう体験をする。勿論その体験の質には軽重があるが、社会の中での個人の弱さを身にしみて感じるものだ。

この女の子は写真でも、ずいぶん良い顔をしているし、多いに好感が持てる。バイトをしながら高卒認定試験(旧大検)を取って、獣医になりたい、というので、是非頑張って欲しい。

まぁ、個人的には獣医にしておくのはもったいない女の子だと思うが。できれば弁護士とか、政治家とか、そうゆう方向にいって欲しいと感じてしまった。



フリーター関連のニュースをもう一つ。次は福岡から。

「「もう我慢の限界だ」 フリーター労組がデモ、福岡で」(asahi.comより引用)

福岡市の天神・大名地区の路上で19日、フリーターなど低収入で不安定な暮らしを強いられている若者たちがデモ行進をした。デモ隊は台車にステレオを載せ、大音響でダンス音楽を鳴らしながら「もう我慢の限界だ」「まともな仕事をよこせ」「フリーターを使い捨てるな」などとマイクで絶叫、自分たちの「生きづらさ」を訴えた。買い物客らで混雑する夕方の繁華街は一時、騒然とした雰囲気に包まれた。

フリーターなどでつくる労組「フリーターユニオン福岡」(小野俊彦執行委員長)の主催。「五月病祭」と名付けられ、主催者発表で約90人が参加した。「生きさせろ!難民化する若者たち」などの著書がある作家、雨宮処凛(かりん)さんが「景気回復は(低賃金で働く)フリーターのおかげだ」とシュプレヒコールを上げると、沿道の若者たちから拍手と歓声が沸いた。

 デモの前には、同市中央区の教会で、雨宮さんが「生きづらさの変化」と題して講演。「いまの政治は『役立たずは早く死ね』と、生存権の切り崩しを進めている」などと主張した。


この福岡の場合、90人の参加で具体的な職場への要求というものではない。抽象的・一般的な労働者の権利をフリーターにも、という主張のようだ。

記事に「繁華街は一時、騒然とした雰囲気に包まれた。」とあるが、同時に掲載されている写真から判断すると、そんな雰囲気は感じない。むしろ仮装パーティーのように、いろいろ工夫して、面白い雰囲気すら感じる。「騒然とした雰囲気に包まれる」といわれると、違和感を覚える。

色々と見た目を工夫して、街行く人たちの関心をできるだけ喚起しようという意志を感じる。自分の問題でなければ、所詮は他人事、という風潮もある中、フリーターの権利を主張していくのはたいへんなことだろう。この人たちも是非頑張ってもらいたいものだ。

従来は、フリーターというと、社会的な発言はせず、勿論、労働運動などには関係のない存在というイメージがあった。むしろ、労働組合や職場の煩わしい人間関係から解放されたい人達が多くいた、という印象もある。

ところが、こうしたフリーターによる労働組合とか、労働する権利の主張などが出てきた、ということは、それだけ現状がキツいことを意味するのだろう。フリーターには「ネットカフェ難民」もいるし、若者にとってはかなりしんどい環境になっているようだ。

政府は黙ってみてないで、フリーターを巡る環境や問題をもっと調べた方が良い。そしてフリーターを保護する政策を考えるべきだ。

2007年5月19日土曜日

東条由布子さんの参院選立候補

条英機元首相の孫の東条由布子さんが、参議院選挙で立候補するという。立候補地は東京だ。


「東条英機元首相の孫、東条由布子さん参院選立候補へ」(asaho.comより引用)
2007年05月15日19時34分

 東条英機元首相の孫娘の東条由布子氏(67)が15日、東京都庁で記者会見し、7月の参院選東京選挙区(改選数5)に無所属で立候補する意向を表明した。

 東条氏は「今の風潮では、日本は諸外国に迷惑をかけた悪い国というイメージを子どもたちが持ってしまう」と語った。東京裁判史観の見直しや、戦没者の遺骨収集の推進などを訴え、高齢者福祉の充実にも力を入れる意向を示した。

 東条氏は、東条元首相を含むA級戦犯の靖国神社からの分祀(ぶんし)に反対している。ソウルで生まれ、保護司やヘルパーなどを経て、遺骨収集を進めるNPO法人「環境保全機構」の理事長を務めている。


この記事では東条さんの政策がほとんど書いてないので、政治家として何をやりたいのか、イマイチはっきりとしない。

東京裁判史観の見直しという問題は政治問題というよりも言論上の問題、もしくは、歴史学の問題だと思うので、政治とは直接関係がないと思う。

もっとも、日本のイメージを悪いものとして広めてしまった人々もいるのは事実だろう。そしてアジアでの日本に対するイメージが悪くなり、最近もアメリカで従軍慰安婦の問題を、議会で問題にするという動きがあった。アジアのみならず、世界的に戦前・戦中の日本に対するイメージが悪いものになっている。

こうした問題は、確かに政治的に看過できないことではある。東京裁判の評価を政治の上で直すのは難しいが、広義での日本に対するイメージを改善したいというのは理解できる。

勿論、そういった広義での日本のイメージの改善であれば、それに対する見直しが政治的に可能であればすべきだ、というのが自分の立場だ。

日本国内の言論人でも戦前・戦後の日本のイメージを悪くした人々がいた。その多くは従軍慰安婦問題で、日本の軍部に強制連行があることを認めたり、強制はなくとも著しい人権侵害があって、自分こそは被害者の人権を守るべき、良心的な言論人として振る舞っていた。

また南京大虐殺の問題でも、積極的にその存在を認め、かなり多くの被害者が居たのだと主張する日本の言論人もいた。この人達も被害者の立場を尊重する、良心的な言論人としての振る舞いを演じていた。

その言論自体はそれでも良いが、だが、その結果、日本のイメージを悪くするばかりだったのも事実だ。アメリカ議会でも問題にされる前提作りに貢献したことも否定できない。


こうした流れの中で、従来の左翼的言論やリベラルな言論に対して、民族的・中道よりやや右的な言論も多くなってきている。それらが多くの大衆から支持されてきている。「WiLL」という雑誌はその分かりやすい例だろう。

また若い世代でも、「ゴー宣」などの影響もあって、理不尽な日本批判に対する批判的な視点を持つ者も出てきている。戦前・戦中の日本のイメージを回復したいと思う人々も多くなった気がする。

今まではこうした政治的、歴史的な問題には無関心な人が多かったのだが、最近では関心を持つ人が多くなった。時代はかなり変ってきているのだろう。

そんな中での東条由布子さんの出馬宣言は、こうした政治的、歴史的な問題への関心が高まってきた中で、はじめて可能だったことかも知れない。

無所属での出馬というから、政党からの資金援助がないので、選挙は大変だろうと思う。また無所属だと組織票もまったくない。だから所謂、浮動票というのを期待しての選挙ということになる。

どういった層がこの人を支持するのか、個人的にはまったく分からないが、個人的には応援した気分である。しかし残念ながら東京での立候補でも、自分の所の選挙区ではないので、投票してあげられない。

「超人大陸」に東条由布子さんの動画がアップされていた。本人の顔も見れるし、興味のある人は見て欲しいと思う。「東京裁判を知っていますか?」というタイトルの動画である。

2007年5月18日金曜日

ウォルフォウィッツの辞任

ウォルフォウィッツがとうとう世銀を辞任したというニュースが飛び込んできた。ウォルフォウィッツの辞任はすでに予想されていたことだが、それがいつなのかはっきりとしなかった。今日、やっと、という感じのニュース。

「ネオコン代表格、世銀総裁辞任へ 恋人厚遇で指導力低下」(asahi.comより記事を引用)
2007年05月18日12時42分

 世界銀行は17日、交際中の女性職員の人事を厚遇したと批判されていたウォルフォウィッツ総裁が6月30日付で辞任すると発表した。内規を上回る昇給を指示したことなどが規律違反とされ、欧州の加盟国などから辞任要求が高まっており、事実上の解任といわれる。不祥事による任期途中の総裁辞任は45年の世銀発足以来初めて。イラク戦争を主導した「ネオコン(新保守主義)」の大物だった同氏を総裁に指名したブッシュ米政権には痛手だ。

17日、ワシントン郊外の自宅を出るウォルフォウィッツ世銀総裁=ロイター
 ウォルフォウィッツ氏の進退を3日連続で協議した世銀理事会は17日声明を発表。総裁を含む関係者の不手際を指摘する一方で、総裁の言い分も一部認め、「『倫理にかなった行動をした』という彼の主張を受け入れた」とした。

 同氏は05年、ブッシュ大統領の指名で国防副長官から総裁に就任。恋人が広報担当だったので、関連職場の勤務には問題があるため、自ら国務省に出向させる手続きをしたことなどが規律違反と認定されていた。昇給幅も内規を上回り、年収は5割増近い約19万ドル(約2200万円)だった。

 総裁は反論していたが、欧州を中心とした加盟国政府が辞任を強く要求。世銀調査委員会も引責を求めていた。辞任要求の高まりに、総裁を擁護していた米政府も辞任による幕引きに動いた。


世銀内にいる、ウォルフォウィッツの恋人に高額な給与をあげていて問題にされたわけだが、この辞任でネオコンの勢いはかなり後退したはずだ。辞任だといっても、実質的には更迭なのだろう。ウォルフォウィッツ自身はおそらく辞めたくなかったのだと思う。だが、もうネオコンの後退は時代の要請だ。イラクで失敗したネオコンの政策はすでに行き詰まっている。そしてネオコンを支持する社会層など、アメリカにおいても、おそらく無くなってきているのだろう。

ウォルフォウィッツの辞任で、残るネオコンはチェイニーのみではないのか。チェイニーは副大統領だから、そう簡単には辞めそうにない。このチェイニーがどういった身の引き方をするかで、ネオコンの衰退の有り様がまざまざと分かるのではないか?

チェイニーが身を引く時の態様でアメリカ社会が従来のブッシュ政権=ネオコン政策を評価しているかがかっきりと分かるはず。スキャンダルで辞めるのか、それとも高齢ということで健康を理由に辞めるのだろうか。いずれにせよ、チェイニーが失脚すれば新しいアメリカ政治がはじまるのだろう。

2007年5月17日木曜日

地球に似た惑星を発見

スイスインフォのサイトをいろいろ見ていたら、面白い記事があった。それは、地球に似た惑星をついに発見した、というもの。


「地球に似た惑星ついに発見!」(swissinfoより記事を引用)

地球に似ていて、何らかの生命の存在が予想される惑星がついに発見された。平均温度20度、表面は岩と水に覆われていると考えられる。
4月24日この惑星発見を発表したのは、「ジュネーブ大学 ( UNIGE ) 天文観測所」のマイヨール教授研究グループ。

 夜空の星は恒星。太陽も恒星の1つで、その周りを回る地球は惑星である。そして水星、金星などの惑星を含めたものが太陽系。惑星は自ら光を放出しないので太陽系外にある惑星の発見は難しかった。「ジュネーブ大学天文観測所」のマイヨール教授研究グループは、太陽系外惑星を1995年に世界で初めて発見し、そして今回再び、何らかの生命の存在が予想される惑星を発見したとあって、興奮の渦に包まれている。

水が表面を覆っているらしい

 この惑星は地球から20.5光年の距離に位置する。温度は平均20度。地球より5倍大きいが、知られている限りの惑星の中で最も軽い。中心の恒星から受ける光は地球の1.5倍の強さ。重力は地球の2倍。

 「中心の星からちょうど良い距離にあるので、温度も平均20度。そのお陰で氷などが解けて、水分が水の形で岩石を覆っていると予想されます。水があり、岩石があり、重力、光などの点からも地球にかなり似ています。したがって、何らかの生命の存在が予想されます」とジュネーブ大学天文観測所の天文学者、ステファン・ウドゥリ氏。

 地球に似た惑星を求めて様々な惑星を研究していたが、「偶然発見されました。まったく予想していませんでした」とウドゥリ氏は興奮を隠さない。

 しかし、この惑星に将来移動して住むことは不可能。月より6億倍も遠く、行き着くのに何世紀もかかるという。「こうした惑星の発見は哲学的、社会学的に大切で、どのように生命が誕生したのか、世界はどう創られたのか、我々人間とは何かという問題の理解に役立ちます」と天文学者は付け加える。

Gl581

 さて、この惑星が13日間かけて周りを回るその中心の恒星は、「Gl581」と名づけられている。天秤座の中に位置し、太陽の3分の1の大きさの赤く小さい星、赤色矮星 ( わいせい ) である。

 こうした赤色矮星は地球に似た惑星を探すのに、標的にされてきた。なぜなら太陽より50倍光が弱いので、生命の存在が予想される惑星が周りを回っている可能性が高いからである。

 ジュネーブ大学の研究グループはジュネーブ大学で開発した「惑星研究者のための高精密放射高速分光器 ( HARPUS ) 」をチリのラ・シリャ ( La Silla ) にある「ヨーロッパ南部の望遠鏡 ( ESO )」に取り付け、研究を続けてきた。

 こうして、今日まで太陽系外惑星はおよそ220個発見されているが、全て、重く、ガスで覆われているか、温度が極端に高いかまたは低いかで、生命の存在が予想されるものは存在しなかったという。

swissinfo、 里信邦子 ( さとのぶ くにこ )


こんな感じで、この惑星には生命が存在する可能性があるそうだ。何せ水があり、平均温度は20度、重力や光も地球に似ているというのだから、これは興味深い。

残念なのは、月より6億倍も遠く、行き着くのに何世紀もの時間が必要ということで、実際にはこの惑星に我々は行けないことだ。これが実際に行ける距離であれば、直にこの惑星を訪れて、いろいろな観察ができるのに。

それにしても、この発見された惑星、高等生物は存在しないのだろうか?これほど地球に環境が似ているし、単なる「生命」ではなく、「高等生物」が存在していても不思議ではない。

火星の表面を撮影した写真に、よく人面のような巨大な岩の影がある、などといわれるが、発見された惑星の表面には都市などの痕跡はないのだろうか。個人的にはこの辺りが一番興味がある。

2007年5月16日水曜日

国民年金保険料、納付記録破棄

今日出ていたニュースでとんでもないのがあった。納付記録廃棄をしていた自治体が284もあるというのだ。自治体に納付した記録がないのだから、自分で領収書を保存しておかないと、年金の支給金額が減ってしまう可能性が出てきた。


「国民年金保険料、284自治体が納付記録廃棄」(Nikkei Netより引用)

 2001年度末まで国民年金保険料の徴収業務をしていた市区町村のうち、全体の15%の284が加入者の氏名や納付実績を手書きした名簿をすべて廃棄していたことが社会保険庁の調査で分かった。業務が02年度に社保庁に移管された後は保存義務がなくなったため、保管場所などに困って捨てたとみられる。こうした市区町村では過去の記録の再調査は難しく、加入者が領収書を保管していなければ年金受取額が減る例も出てきそうだ。

 国民年金には現在、自営業者を中心に2190万人が加入している。廃棄された名簿に記載されていた加入者の総人数は不明。社保庁は廃棄した市区町村名も公表していない。(07:02)


信じられないことだが、こんな馬鹿げたことが行われていた。いくらなんでも、納付記録を簡単に破棄してしまう、というのは明らかに非常識である。それも284もの自治体が一斉に同じ破棄行為を行った。

この284もの自治体が、あたかも示し合わせたように一斉に納付記録を破棄した、というのは、非常識を通り越して、何か裏にあるのではないかと思われる程に不自然な行為である。普通は考えられないことだ。

「業務が社保庁に移管された後は保存義務がなくなった」というのは、理由にはならないだろう。社保庁に業務の主体があったのだから、責任の大部分は社保庁にあることになる。社保庁は逃げないで、何だかの形で、きちんと責任を取る必要がある。

破棄されていた加入者の総数は不明というし、破棄していた自治体の名前も公表していない、ということで、何ともいい加減な話である。仮に公表すればパニックにもなりかねないと思ったのだろうか。



このニュース読んで個人的には、ことによると国がわざとやったのではないかと勘ぐってしまった。つまり本当は破棄していないか、あるいは、敢えて破棄することを命じたのか、どちらかではないかと思ってしまった。

というのは、あまりにも非常識な行為で、通常では考えられないからだ。また率直に考えれば、現在の地方自治体のあり方では、年金を予定通りに支払うことは、まず難しいだろうと思うからだ。

何せ少子高齢化社会である。特に地方の自治体には仕事がなく、若い者の多くは大都市に流出しているはず。老人ばかり多くなり、この老人たちを支える年金を払う者が実質的にいなくなっている、というのが現状ではないのか?少なくとも部分的には、そうなっていても不思議ではないし、あり得ることだろう。

それに若者も不況で正社員にはなれなくなっている。フリーターも多いし、以前取り上げた「ネットカフェ難民」も出ているくらいだ。自分たちがなんとか生きるだけで精一杯な状態だろう。そんな若者が老人を支えられるはずもない。

さらにこれから団魂世代が大量に定年退職になる。この世代はとにかく人口の多い世代だ。この人達が年金を受け取る時代に突入していくのだ。それでも相変わらず少子化のままだし、若者の労働環境が良くなっていないのだ。

この団魂の世代の問題では年金や税金の問題が、本当は非常に大きいはずだ。

団魂の世代の問題では定年して、退職金がたくさん入るだろうから、それを趣味やレジャーなど遊びに使ってくれるのではないか、と楽天的な言説が多いが、これは甘いだろう。

現在のニート世代やネットカフェ難民世代の親の世代にも実は当っているのが、団魂の世代でもある。子供の環境があまりに劣悪なので、親としては心配で、遊びなんかに大事な退職金を使うとは思えない。というか、そう考える「団魂老人」は少なくないのではないか?個人的にはそう予測する。

今回の納付記録破棄については、だから自治体は実質的に年金を払えないので、敢えて破棄したことにして、払わないことに決めたのではないか?そんな気がしてならないのである。いや、そうするしか、他に方法がないのかも知れない。払えないものは払えないのだ。ない袖は振れない。

この場合、東京や大阪などの大都市圏では、おそらく破棄はないだろう。貧しいとはいえ、若者も多いし、全体に人口も多いし、まだ老人を支えられる。人口が多いと破棄した場合、パニックが起こるし、暴動も起こる可能性もあって、国としては危険だと考えて大都市での破棄は避けるだろう。

これは国民年金の話だから、多くの人は個人営業か何かだ。つまり大きな組織に属していない人が中心なので、こうした人々にしわ寄せが来ても、政府に圧力を加えることができない。これが大きな組織だったら、組織力を生かして何か政治的な行動を起こせる。この点も大きいだろう。

たぶん、こうした破棄などという子供騙しの方法を駆使して、国家は国民を騙し、無理を押し付けていくのだろう。

これからはもっとひどい無理を国民に押し付けていくこともあり得る。将来、国家破産なんてことになったら、そのツケは全て国民がかぶるのだ。この場合は預金封鎖が実行されるだろう。

しわ寄せは、いつも最も弱い層に来るものだ。その弱い層とは一般国民を意味している。今日の年金納付記録破棄、という事件は不気味な将来を予想させる嫌なニュースだった。こうした流れから身を守る方法を自分でも考えないと不安で仕方がない時代になった。

2007年5月15日火曜日

スイスも日本と組みたがっている

スイスインフォのニュースを読んでいると、スイスは日本と組むことに積極的なようだ。中国も日本との関係を修復した。日本の持つ環境技術や工業技術が優れているので、これを中国に導入したいということなのだろう。中国のみならず、今度はスイスも日本と経済連携協定の交渉をはじめた。

「スイスと日本 経済連携協定の交渉を開始」(swissinfoより記事を引用)

ミシュリン・カルミ・レ大統領兼外務大臣は1月19日、安倍晋三総理と電話で会談し、自由貿易を中心にした包括的な協定、経済連携協定 ( EPA ) を結ぶための交渉を公式に開始すると発表した。
経済省経済管轄局 ( seco ) のダニエル・ゲルバー局長によると、 事務レベルでの交渉グループが作られ、1年以内に経済連携協定の成立を目指すことになるという。

 カルミ・レ大統領兼外務大臣と安倍総理は今回の電話会談で、交渉入りを正式に合意した。経済連携協定のほか、国際連合における協力、資金洗浄の犯罪取締りのための協力の強化なども進められる。

包括的な協定

 過去1年半にわたり両国は、協定の可能性に向け研究会を持ち定期的に会合を開いていた。内容は工業製品や農産物の関税率引き下げだけではなく、物品の往来、サービス業、投資、滞在ビザ、知的財産保護にも及ぶもようだ。工業製品については関税の全面撤廃、農産品については、一部関税が維持されるもようだ。

 スイスはEFTA加盟国だが「日本との交渉は、EFTAを通さずスイス独自で行う」とゲルバー局長。1年以内に交渉を終了し調印に至ればと期待を掛けている。

スイス側は積極的

 スイス側は交渉に非常に乗り気で、ゲルバー局長は1月13日付けのドイツ語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガーのインタビューで「日本は欧州共同体 ( EU )、アメリカに次いで3番目に重要な輸出相手国だ。化学薬品、医薬品、時計、機械分野などで特に重要だ。知的財産の保護がしっかりしており、国際ビジネスマンの意識がスイス人と同じレベルにある」と語っている。

 大和総合研究所の浅野信久部長は、スイスのバイオベンチャーを評価するアナリストの1人だが、自由貿易交渉の開始に向け「医薬品、人材の交流が盛んになること。医療面での交流も高まればよいのでは」と語った。また。日本のベンチャー子会社が、スイスにもできればと言う。スイスはバイオ産業のベンチャー企業を積極的に受け入れる土壌がある。

swissinfo、佐藤夕美 ( さとう ゆうみ )


「スイス、自由貿易協定で日本に大きな期待」(swissinfoより記事を引用)

ドリス・ロイトハルト経済相は、世界貿易機関 ( WTO ) の多角的貿易交渉 ( 新ドーハ・ラウンド ) が年内に合意する可能性はまだあるが、進行状況はそれほど良くないと語った。
さらに日本との経済連携協定にスイスは大きな期待を寄せていると述べた。

 4月26日、ロイトハルト経済相は新ドーハ・ラウンドに関し、「年内合意に向けての各国の強い意志はあるが、今後の数週間が年内合意の可能性を左右する時期である」と語った。6月の末に、米ブッシュ政権の交渉を早く進める特別な権限が切れる。その前にどこまで交渉が進むかが1つの鍵になるという。

決定的な時期

 ロイトハルト経済相は、ジュネーブでの今年2月の閣僚会議以来、緩慢な進展しかなく、それはアメリカがいつも問題だからだと指摘し「ブッシュ政権はもっと柔軟な対応を約束しながら、具体的な結果はまだでていない」と語った。 

 また、世界貿易機関 ( WTO ) のパスカル・ラミー事務局長も先週の初めに、「アメリカの有効なリーダーシップの欠如がこの重大な時期に、合意に向けての希望をそぐ結果になっている」と述べている。

 3週間後の経済協力開発機構 ( OECD )での閣僚会議を含め、今後数週間が新ドーハ・ラウンドの重大な時期。農業分野が大きな障害にならず年内合意に至るか否かがこの時期で決まるという。

 スイスは農業分野、サービス分野、非農産品分野を個別に交渉するのではなく、均衡を保つため、1つのパッケージにして交渉しようとしている。「この姿勢が結局、それぞれ利益の違う国にとっても平等を保つことになる」とロイトハルト経済相。

日本との経済連携協定

 ロイトハルト経済相は多国間貿易協定が進行しない中、2国間自由貿易協定に言及し、現在進行中の日本との経済連携協定は「スイスの優先課題で、お互いの利益になる協定である」と語った。

 「スイスと日本は経済形態に多くの類似点があり、農業分野での利害はほとんど対立するところがないため、交渉上大きな問題はない」と述べ、さらに医療関係とサービス分野において、スイスは大きく得るものがあり、直接投資も活発になると期待を寄せた。

 「日本との経済連携協定が成立すれば、スイスはヨーロッパで唯一、日本とこうした関係を結ぶ国になる」というロイトハルト経済相の発言はスイス側の協定成立への大きな期待を表すもの。

 また、日本との交渉はすでに締結した韓国との経済連携協定の経験を生かしての交渉になると締めくくった。

swissinfo、アダム・ボーモント 里信邦子 ( さとのぶ くにこ )


記事によれば、スイスからすると、日本は経済形態に似たところが多く、農業分野での利害対立もほとんどないため、日本と交渉しやすいそうだ。また、日本と直接に経済連携協定が成立した場合は、スイスがEUの中で唯一のこうした関係を持つ国になるそうだ。

これだけでもスイスが日本との関係を強化したいのが良く分かる。またスイスがEU内部やヨーロッパから近いロシアなどの国の他に、敢えて日本との関係を強化したいというは、EUやその周辺国の経済状況がすでに頭打ちになっている証拠かも知れない。

スイスはすでに韓国と経済連携協定を結んでいるらしいが、今度は日本ということで、東アジアに対する国際関係の中で、EUの中でスイスが大きな位置を占める可能性もある。

スイスは金融が有名だから、金融面での日本への進出も当然考えられるだろう。記事には金融については何も書いていないが、個人的にはスイスの技術や農産物よりも、スイスが金融面で、どのような進出を望んでいるのかに興味ありだ。

スイスの経済戦略には興味があるが、本当のところスイスが何を考えているのかはよく分からない。スイス人は頭が良いので、その意図をよく見ておく必要もあるだろう。まあ、日本がスイスとの経済協定で損をすることはあまりないだろうが、相手の意図を良く見据えた上で日本も交渉すべきである。

ちなみに日本からすると、あまりスイスとの協定に興味がないようで、ニュースの扱いはこんなものだった。


「日本とスイス、経済連携協定の交渉を開始」(Nikkei Netより記事を引用)

 政府は14日、スイスとの自由貿易協定(FTA)を核とした経済連携協定(EPA)締結に向けた第1回の政府間交渉を都内で始めた。18日まで協議する。日本が欧州の国とEPA交渉に入るのは初めて。初日は工業品の特許や音楽・映画の著作権の保護などを巡って話し合った。日本とスイスは2008年中にもEPA締結で基本合意する見通しだ。


こんなに簡単に書かれておしまい、という感じだ。アサヒコムでも記事を探したが見つからず、掲載していないようだった。

日経の記事では、音楽や映画の著作権の保護の問題が書かれているが、スイスインフォの記事では重視されていない。考えてみると、スイスと日本との間で音楽や映画の交流なんて聞いたことがない。日本はスイスの音楽なんてあまり聴かないし、スイス映画も観たことがない。そんなものがあること自体知らない。

スイスからしても日本の音楽なんて聴かないし興味もないだろう。日本映画もあまり知らないだろう。小津安二郎などは所詮、インテリ向けのもので、欧州でも日本映画を知っている人はごく一部だろう。

それなのに、何故音楽や映画の著作権の話をするのか意味不明である。ここからすると、経済協定の本当の意図はもっと別のところにあるのではないか?何か本当の意図を隠しているかのように思えてきてしまう。

まぁ、スイスが日本に進出してきても、せいぜいがプライベート・バンクとか、投資がらみのものではないか?その他の製造業やサービスなど例え進出しても、日本の土壌の中で生き残るのは難しような気もする。フランスのカルフールだって、撤退してしまったし、外国のサービスは意外と日本に根付かない。日本に合う商品やサービスを考えてビジネスしないと、けっきょく撤退する企業が出て来るように思う。

製造業に関しても、日本では欧州のものは高級品ぐらいしか売れていない。その他のものはセンスはいいにしても値段が高くなり日本で買うメリットがあまりない。関税を引き下げても基本的にそう安くはならないだろう。特にスイスの工業品は時計など高級なもので、やや値段が下がったとしても、たかが知れているだろう。

そんなことで本当にスイスにとてプラスになるのだろうか。疑問に思ってしまうところもある。むしろスイスが欲しているのは、おそらく日本の技術協力なのだろう。だが、それだと関税の問題など話し合う必要もないだろうし、どうも全体的によく分からないところが多い。

もっともスイスが日本の資金を欲しがっていて、スイスに投資してもらいたいと考えていたり、逆に日本にスイスの資金を投資をしたいと考えているなら関税の問題は出てくるかも知れない。

2007年5月14日月曜日

SNSについて

SNSは最近までやっていた。ユーザー数の多い某SNSでしばらく遊んでいたが、自分は飽きてしまい、止めてしまった。特に他のユーザーと会話して面白いところもないし、何か自分の知らない情報が得れるというわけでもなく、これは時間とエネルギーの無駄だと判断し、さっさと止めた。

SNSが受ける理由として一般的なもの、例えば他人とコミュニケーションしたいとか、趣味の話をしたいとか、新しい仲間や出会いが欲しいとか、場合によっては友達作りや恋人作りに活用したいとか、まあ、そうゆうのは分かる。要は単なる暇人か、やはた人恋しい人か、趣味ややることがなく自分を持て余している人向け、という印象だ。忙しい人でもSNSやブログを作る人というのは、仕事上必要だったり、宣伝を兼ねたりする場合が多いような気もする。この場合は営業活動の一環と考えた方がいいかも知れない。

個人的にはSNSはつまらないし、これが受ける理由がよく分からない。内容の濃いコミュニケーション(この質的な側面は人の考えによってだいぶ異なる)など滅多に作れるものではないし、ネット上といっても、所詮は自分たちの入力した、恣意的な内容の文字情報に過ぎない。このブログでもそうだが、ネットの大半の情報は文字情報である。文字情報は昔から人間には慣れたものだし、特に新しいものではない。その意味ではネット情報などは新しいものではないのだ。ニュースの速度ではネットよりもテレビやラジオの方が今でも速い。例えば地震情報では30分から1時間くらいネットの方が情報掲載が遅い。

SNSのコミュニティも参加したが、凡庸な記載が多い。例えば芸術に関するコミュに参加したが、そこでの書き込みの大半が、展覧会やコンサートの素人的な感想が大部分で、内容のある会話になっていなかった。そしていつしか誰も書き込まなくなり、そのコミュを忘れてしまう。

こんな内容でも参加したがる人もいるが、それは周囲に同じテーマで世間話できる人がいないからだろう。それだけ現実社会ではみな孤独なのか。芸術をテーマにしても、たわいのない会話が中心なのだから、たいして刺激的でもないし、新しい知識や情報もないしで、飽きない方がおかしいくらいだ。



オフ会には今だに参加したことはないし、参加するつもりもないが、はたから見ていると、やたらオフ会を開催したり参加したりするうちに、オフ会で合うメンバー間で、ちょっとした齟齬や軋轢が生じて、場合によっては、日々のストレスの一つになってしまっているようだ。もっともそれはご本人にはあまり自覚はないようだが。

また基本的に何も知らない匿名に人間同士の会話なのだから、日常生活のしがらみから解放されているはずなのに、毎日ネットで接続しているうちに、例えオフ会などに参加しなくても、コメントのやり取りなどで、ちょっとしたトラブルも発生するようだ。そのため、SNSが日常のもう一つのしがらみと化しているという人も、中にはいるようだ。

ネット上の世界と現実のリアルな世界とは分けて考えたり、実践する人も多いと思うが、もうこの両者は特に分けて考える必要はないのかも知れない。ネットで知り合った人物と直接会ったりする人も多いと聞くから、もうネットと現実の生活とは別異に考える必要を感じない。

つまりSNSは今まで仮想の世界で、匿名のみの、だからこそより自由な空間や関係を他人と持てたという、特殊性を持っていた。これは他人と関わる行為では、実社会には存在しないものであった。それがネットによって思わぬ自由な世界が現出したので、人々はそれに飛びついた、という印象を個人的には持っている。

ところで一部では、このSNSの上記「日常化=ネットの現実世界化」の一つということを重荷に思うタイプの人間と、「日常化」してくれたからこそ、より楽しめると思って参加してくるタイプの人間と両方いるんだろうと思う。「日常化」をより楽しむタイプが今後増えるのではないかという気がする。ネット上の従来からよくあるタイプは、おそらく「日常化」をあまり望まないタイプだ。それを思うと、これからネット上のコミュニケーションは質的な変貌が生じるかも知れない。



昔インフォシークのサービスで「プロフィール」っていうのがあった。ここで5年くらい前に遊んでいたことがある。この「プロフィール」は日本ではSNSの草分け的存在だったと思う。足跡や日記、掲示板のような誰でも書き込みできるものが、各ユーザーにあって、たくさんのユーザーと会話することができた。

その中で知り合った人物は面白い人が多かったが、今ではまったく関係を持っていない。今頃は何をやっているのだろう。女性にも一人会った。こちらは恋人募集していなかったが、先方は恋人募集目的だったらしく、実際に会って話をしたら、だいぶ齟齬が生じて会話がうまく運ばなかった。

この女性、会っていきなり自分の出自の話をしだし、何かお見合いと勘違いしているようだった。そしてこちらの身の上を細かく聞きたがった。かなり質問攻めにあり、辟易した。今思い出せば懐かしい。彼女は現在幸せな結婚をしているだろうか。ちょっと気になるところもある。

2007年5月13日日曜日

北京市の遊園地

北京市にある遊園地が、ディズニーランドそっくりだ、ということでアメリカ側が問題にしだしている。

2007/05/12-14:10 ディズニーそっくり遊園地を調査=著作権侵害の疑い−北京市(時事ドットコムより引用)

 【北京12日時事】中国紙・新京報によると、北京市郊外の国営遊園地「石景山遊楽園」が、ディズニーランドにそっくりのキャラクターなどを登場させた問題で、米ウォルト・ディズニー社は12日までに、著作権を侵害された疑いがあるとして北京市版権局に通報した。王野霏副局長はこれを受けて「政府関係部門は事態を非常に重視しており、既に調査を開始した」と明らかにした。
 米中両国は今月下旬にワシントンで戦略経済対話を開き、中国の知的財産権侵害問題についての対応なども協議する。中国政府は来年の北京五輪を控え、この問題が中国の対外的イメージを損ないかねないと懸念を強めている。


この記事を読むと、米中共に従来のやり方を変えてきているような印象を受ける。今までの中国なら、海賊版なんか当たり前、という世界で、著作権なんかほとんど無視に近かったのではないか?それが著作権や知的財産権を重視する方向に向かっているみたいだ。アメリカも今までなら中国に対しては比較的諦め状態で、著作権や知的財産権について中国にうるさく言う、という印象はあまりない(そこそこはあったのかも知れないが)。

それが今回のように遊園地という、遊び場のあり方をめぐって、ニュースになるというのは時代が変った証拠だろうか。

これはたぶん、中国が資本主義に対して成熟したものの考え方を身につけるようになったから、という理由もあるだろうし、法的な整備も資本主義を前提にしたものを進めているということもあるだろう。

現在の中国は海外資本を積極的に呼び込んで来たわけで、それで大きな経済的な成長を進めてきた。海外の資本や投資を呼び込んで成長を続けるためにも、こうした著作権や知的財産権の保護をきちんとやる必要はどうしてもあるだろう。

それだけ中国社会も国際化を無視していられない時代になっているのだろう。これからも盛んに欧州やアメリカ、日本などに投資してもらい、良好な関係を築くためには、こうした法律をめぐる様々な保護をちゃんとやることは不可欠だ。

これから中国は物件法を整備しようとしているし、商法もきちんと作っていくのだろう。中国はこうした法整備や外交面をも含めた「資本主義化」を押し進めることになるだろう。これから10年、20年後の中国は一体、どの程度大きな存在になっているのか、予想もつかないくらいだ。

また、日本に対する従来の反日の姿勢も変えてきているし、中国の変化は目に見えるくらいだ。先日の温家宝首相の来日の時の友好ムードは、歴史的転換と呼べるくらいのものだったと個人的には思う。外交路線はかなり変質してきている。

中国が今までなかった程の経済成長と軍備の増強を達成したおかげか、国家の基本的な路線を修正し出しているという印象を受ける。中国が東アジアの中心国としてのしっかりとした地位を築きたいという思いを感じる。それがどれだけ成功するのか、これからよく見ておくことにする。

2007年5月12日土曜日

ヘロデ王の墓

3日ほど前に古代ユダヤのヘロデ王の墓が発見されたとううニュースを見た。ヘロデ王はイエス・キリストと同時代の王様で、例の赤ちゃんの皆殺しで有名な王様である。またその娘が、これまた有名なサロメ。サロメはキリストに洗礼をしたといわれるヨハネの首を銀のお盆に乗せて、狂喜しながらその首にキスをしたとかいう、恐ろしい伝承のある女だ。

ヘロデ王というと、どうもこうした悪者のイメージが強い。もっとも実際はどうだったのか自分は知らない。しばしば伝承と実際の像とが異なるという例はある。ヘロデやサロメの場合はどうなのかな?

歴史的な正しい像は知らないが、自分的にはギュスターヴ・モローの描く「サロメ」の印象が強いせいか、ヘロデ王やサロメのイメージはどこかエキゾチックで神秘的なものがある。自分とは直接関係のない遠い異国の神話の一つ、という感覚がある。あくまでも非現実的なお話の世界という感じ。


古代ユダヤ王国・ヘロデ王の墓を発見…イスラエル(Yomiuri Onlineより引用)

 【エルサレム=三井美奈】イスラエルにあるヘブライ大学のエフド・ネツェル教授を中心とする考古学チームは8日、新約聖書に登場する古代ユダヤ王国のヘロデ王の墓を発見したと発表した。


 発表によると、発見場所は、エルサレムの南方約10キロ・メートルにあるヘロデ王宮跡の近く。棺は石灰岩でできており、銅製の装飾が施されていた。棺は損傷が激しく、人骨も見つかっていないが、ネツェル教授は発見場所や装飾などからヘロデ王のものと判断したという。王宮跡は1970年代に発見され、同チームが周辺の発掘を進めていた。

 ヘロデ王は紀元前1世紀の王で、古代ローマの支持を受けて王位につき、専制政治を行った。聖書では、ベツレヘムで誕生したイエス・キリストに王位を奪われるのを恐れ、2歳以下の男児を皆殺しにするよう命じた人物として描かれている。

(2007年5月9日8時57分 読売新聞)


このニュースでは棺の中に遺骨がなかったということで、この点はかなり残念だ。せっく見つかった墓なのに、肝心の主がいないのだから淋しいものがある。棺も損傷が激しいということだが、個人的には見てみたい気がする。損傷は修復して、将来は博物館で公開される可能性もあるのだろう。

2007年5月11日金曜日

金平日という人物

金平日と2人の子供の写真(中央日報のサイトより)

偶然ネット上で発見したのだが、北朝鮮の金正日の腹違いの弟という人物の写真が掲載されていた。この写真を載せていたのは、韓国の新聞社の中央日報のサイト。

この腹違いの弟というのは、金正日が実権を把握した後、その継母と弟妹を抑圧したようで、北朝鮮の国外で長く住んでいるようだ。具体的には写真の記事にあるように、ブルガリアやフィンランドといったヨーロッパで大使を務めているようだ。

現在はポーランド大使をやっているということだが、なぜ、今になって、この金平日とかいう人物の写真を掲載するのだろうか。

これは個人的な推測だが、現在の金正日体制が崩壊した後、この金平日が北朝鮮のトップに座るのではないかという気がする。だからこそ、新聞社はその注目すべき人物の写真を掲載したのではないか?

現在の金正日体制はおそらく長くは続かないだろう。金正日は遅かれ早かれ権力の座から引きずり下ろされると思う。その場合は、アメリカによる北朝鮮への介入ではなく、たぶん中国が介入するのだろうと思う。中国が北朝鮮に介入して金正日体制を何だかの形で崩壊させるのではないか。

金正日体制崩壊後は、金正日の子供がそのまま後を継ぐというのは、可能性としては薄いのではないだろうか。かつて日本に入国してそのまま北朝鮮に送り返された金正日の息子がいたが、あれが後を継ぐとは思えない。

やはり金正日体制の中で冷や飯を食わされた側に、次の権力が移るのではないか。それを考えると例えばこの金平日なんか、まさにぴったりだ。写真で顔を見ても金正日よりもはるかにまともな感じだし、ヨーロッパの大使を長く続けていただけに、国際感覚もそれなりにあるだろう。また写真の記事でも軍部にいたこともあるそうで、軍部もこの人物を支持する可能性は高い。

もっとも気になるのは、記事にもあるように、長い間海外生活が続いたわりに金正日とそっくりの言行で知られる、ということだ。金正日と同じような考えだと、統治のスタイルも同じようなものになる可能性もあり、これを中国やアメリカが支持するかどうか、不透明なところがある。

まあ、いずれにせよ、北の次の政権を担う候補としては、注目してよい人物ではないか。

一応以下に記事の部分だけ引用しておく。(古くなると記事を見れなくなるので)


「金正日の腹違いの弟、金平日の最近の写真公開」(中央日報より引用)

金正日(キム・ジョンイル)北朝鮮国防委員長の腹違いの弟、金平日(キム・ピョンイル)ポーランド駐在大使の最近の姿が公開された。

ポーランドのナレフ市ホームページ(www.narew.gmina.pl)に掲載されている金平日の写真は、今年2月に現地で金剛山(クムガンサン)写真展示会や体育行事に参加し、貿易会社や民俗博物館を見て回った当時のものだ。

防寒服に帽子をかぶった金平日は硬い表情をしている。 行事に息子インガンと娘ウンソンを連れて行った。 西欧型の洗練された外貌のウンソンは、大使館の職員らが歌っている間、日本製カシオ電子オルガンを演奏した。 また息子インガンは北朝鮮チームが優勝した卓球試合に選手として参加した。

金平日は金日成(キム・イルソン)が1953年に結婚した後、妻の金聖愛(キム・ソンエ、83)との間に生まれた2男1女の長男。 80年10月の第6回労働党大会で後継者に公式指名された金正日(キム・ジョンイル)が実権を掌握し、継母と腹違いの弟妹を抑圧したことで、金平日は海外へ出ることになった。 88年ハンガリー大使をはじめ、ブルガリア・フィンランド大使を経て、98年からポーランド大使を務めている。

金平日の妹・敬珍(キョンジン、55)は金光燮(キム・クァンソブ)大使の妻として14年間オーストリアに滞在中で、ドイツ大使館に勤めた二男・英一(ヨンイル)は2000年に現地で病死した。 長い間の海外滞在にもかかわらず、金平日は金日成そっくりの外貌と言行で注目された。 特に、軍隊経験がない金正日と違い、要職の人民武力部作戦副局長を務めた大佐出身で、一時は金正日に何かあれば軍部の支持を受けて後継者に浮上するという観測もあった。


以上記事からの引用でした。中央日報の記事へ

2007年5月10日木曜日

人類はみな兄弟

昔、テレビで「人類、みな兄弟」というようなことを言っていたおじさんがいた。それが誰だったのか名前を思い出せない。あまりに昔だからね。

それはそうと、科学的にも全人類は共通の祖先を有するということがDNA分析から分かったようだ。


「全人類、アフリカの新人が共通祖先」(Sankei Webより引用)

 【ロンドン=蔭山実】ケンブリッジ大学とアングリア・ラスキン大学の合同研究チームは7日、DNA分析から、オーストラリアのアボリジニが約5万年前にアフリカを出て拡散した新人と共通の遺伝子特性を持つことから、アフリカから渡ってきた新人がアボリジニの直接の祖先であることが確認されたと発表した。アボリジニだけは異なる特長が指摘され、祖先が問題になってきたが、これで人類はすべてアフリカで誕生した新人を共通の祖先として地球上に広がったことが裏付けられた。

 地球上の人類でアボリジニだけは発見された骨格や道具の化石から他の人類と著しく異なる特長がみられ、ジャワ原人(ホモ・エレクトス)との交配があったとの説もあった。だが、交配を裏付ける原人との共通の遺伝子は発見されなかったという。

 約5万年前のオーストラリア大陸はニューギニアと陸続きで、ユーラシア大陸とは狭い海峡で隔てられていたが、8000年前にニューギニアとの陸続きが水没し、他の大陸から完全に遮断されたといわれる。

 ケンブリッジ大学のトーマス・キビジルド博士は「アボリジニの祖先がオーストラリア大陸に最初に移動してきた後に大陸が外界と遮断され、それが長く続いたためにアボリジニは他地域の人類と異なる特性を示すようになったとみるのが妥当だ」と話している。

(2007/05/10 11:17)


この記事からだと、アボリジニを除いて他の人種は共通の祖先を持つことは、すでに分かっていたらしい。自分はこの事実を知らなかった。

それはそうと、この記事でアボリジニが他の人種と違った特徴を持っていたというのをはじめて知った。

ところで「著しく異なる」という特徴で、「骨格」が他の人種と異なるというのは、まだ理屈としては理解できる気がするが、「道具の化石」を理由に他の人種と異なるとするのは、どうも解せないものがある。

「道具」に着目するということは「文化」が我々と違う、という理由で自分たちと区別することだろう。これは生物学的な問題ではないから、人種だとか人類とかの問題ではないんじゃないか?この辺り、少々気になる。下手をすれば、単なる人種差別に繋がりかねない雰囲気だ。

どうしてここで「道具」なんかを持ち出して、「同じ祖先ではないかも」なんて問題意識が出て来るのかね?


■   ■   ■


ネットでいろんな国のサイトを覗いてみると、本当にいろんな言語やいろんな雰囲気があって面白いものだ。さっき、リンクをたどってアラビア語と思われるサイトに出くわしたが、本当に何を書いているのか、皆目見当もつかなかった。英語でない言語でも、ローマ字ならまだ多少の類推はつくものの、文字自体がまったく慣れていないので、簡単なことでもまったく見当がつかない。例えばこのアラビア語のサイトなんだが、本当に何も分からない世界だ。

本当に世界には様々な言葉文化があるもんだな。

2007年5月9日水曜日

日本がF22戦闘機を導入だと?

アメリカが日本に次期主力戦闘機として、F22という高性能の戦闘機を輸出するらしい。自分がこのニュースを知ったのは、日本のニュースサイトではなく、たまたま見つけた韓国の主要新聞社である、朝鮮日報の社説の記事からだ。

もちろん、このサイトは日本語サイトである。ちなみに、調べてみると韓国の新聞社で他にも日本語サイトを作っているところがある。ハングル語と、あとはせいぜい作って英語のページだと思いきや、日本語のページもちゃんと作ってある。これは少々個人的には意外であった。

この社説を読んでから、朝日や読売、産経や共同通信、日経のサイトで記事の検索をしたが、同じ内容のニュースを発見できなかった。

F22戦闘機を日本がアメリカから買う、なんて話ははじめて聞いた。そんなことは日本の新聞に載っていたのか?おそらく載っていないだろう。いつの間にそんなことが決ったのだろう?

またに外国の新聞社の記事内容と日本の新聞社の記事の内容とはで、同じ対象を扱っていても、どうも内容が違っているとか、日本では報道されないのに、外国ではちゃんと報道されていて、報道されるのが当たり前だったのに、という話はしばしば聞く。

例えば、こんなF22を日本が導入なんて問題がそうなのかね?もっとも最近は ニュースはもっぱらネットで読んで(これだとタダで複数読めるのが利点)紙の新聞を読まなくなっている。もしかしたら紙の新聞では報道されているのかも知れない。

とにかく、その朝鮮日報の社説を引用しておく。


【社説】北東アジアに日章旗をつけたF22戦闘機が出現する(朝鮮日報のより)

 米国が日本にF22戦闘機を100機輸出する計画であることが、公式に確認された。米国がF22戦闘機を輸出するのは初めてのことだ。

 F22は隣国の空軍力を無力化することも可能なほどの戦闘機だ。レーダーに探知されないステルス機能を持っており、レーダー探知の範囲も他の戦闘機よりはるかに広い。機動性も飛躍的に高まっている。

 外から見られることなく、自分は周りをよく見渡しながら素早く移動できるのだから、最初から勝負は決まったも同然だ。F22戦闘機とF15、F16、F18といった他の戦闘機との間で模擬空中戦を行った結果、勝敗は144対0だったという。F15やF16中心の大韓民国の空軍では、F22を導入した日本空軍力には歯が立たない。

 今韓国は北朝鮮からは核・ミサイル・生物化学兵器の脅威にさらされると同時に、中国と日本の激しい軍拡競争のはざまに立たされるという、二重の困難に直面している。中国は人工衛星をミサイルで迎撃して世界を驚かせた上に、今後も原子力潜水艦を増強し、10年後には航空母艦を就航させる計画でいる。

 日本が中国の戦力強化を指をくわえて見ているはずがない。米国も日本のミサイル防衛や空軍・海軍の増強を積極的に支援し、中国をけん制している。その米国が安倍首相の訪米に合わせ、F22戦闘機を100機輸出することを決めた。米国は日本にF22を輸出する理由として、北朝鮮の核・ミサイルによる脅威と、中国空軍の進歩を挙げた。

 一方で米国は、そうした脅威にさらに直接的にさらされている大韓民国など念頭にもないようだ。米国は日本にF22戦闘機を売るために、2015年まで同戦闘機の輸出を禁止している法律を改正する構えまで見せている反面、韓国への無人偵察機RQ‐4グローバル・ホークの輸出については、まだはっきりとした返答を行っていない。今や米国と日本は大韓民国を遠ざけ、その空席にオーストラリアを据えて、この3国で太平洋地域の安保連帯を形成しつつある。

 韓国国防部は日本のF22導入を受け、F15K級の配置が決まっていた空軍戦力の増加計画を見直すことにしたという。しかしF22戦闘機は米国が韓国に売ってくれるかどうかもはっきりしない上、価格も1機2000億ウォン(約 260億円)とF15Kの2倍もするため、すぐには手が届かないのが現実だ。

 核を放棄しない北朝鮮、軍拡競争を繰り広げ始めた中国と日本に取り囲まれた大韓民国が、成長率も4%台にしかならない現在の経済力で、どうやってこの殺伐とした北東アジア情勢の中を生き残っていけばよいのかと考えると、気が重くなるばかりだ。

朝鮮日報/朝鮮日報JNS


この社説を読めば、もうはっきりと日本がアメリカから新しい戦闘機を買うことが決っているのだ。そしてかなり強力な戦闘機で既存のF15やF16よりもはるかに強いらしい。こんな凄い戦闘機を100機も買うというのだ。なんだこれは。韓国側が日本の軍備増強に警戒を示すのは当然だろう。

社説では、このF22戦闘機の値段が一機、約260億円だと書いてある。それはF15戦闘機の2倍の値段だそうだ。今の日本政府は財政難のはずで、借金(国債)をどう返すのか頭を悩ましているはずなのに、この軍備にかける金額の多さは、一体なんなんだ?

260億もする高価な戦闘機を100機も買う、というのだから、それだけで、約2兆6000億になるではないか。そんな金、一体、日本政府のどこにあるというのか。これはとんでもないことである。こんなものを買うために増税なんて、オレはイヤだからな。

というわけで、この問題を取り敢えず整理するとこうなる。
(1)なぜ日本の新聞にこのニュースが載らないのか。
(2)国際政治の上で中国と日本の軍備増強がいかなる意味を持つのか。
(3)借金ずけの日本政府が、こんな高価な戦闘機を買っている場合か。この戦闘機を買う金があるなら、借金の返済に回すべきではないのか。
(4)こんな高価なものを買うのだから、貧乏政府日本としては、その穴埋めのために、どこかで増税するのではないか?

などである。もっと問題点が他にもあるような気もするが、今のところ思いつくのがこれだけなので、4点だけ挙げておいた。

(追記)
まあ、もっとも、この社説の内容が正しいという保証は必ずしもないわけだから、日本のF22の導入の件で、その真偽は保留しておく。

2007年5月8日火曜日

新フランス大統領決定ーーサルコジでした。

フランスの大統領が決った。サルコジさんでした。やっぱり、予想通りという感じ。女性候補のロワイヤルという人は、けっきょくダメでした。残念です。ロワイヤルという人は美人だったし、雰囲気もフランスっぽくてアメリカのヒラリー・クリントンよりも個人的は好きだった。

「仏大統領に右派サルコジ氏(52) 得票53.06%」(asahi.comより)
2007年05月07日11時55分

 フランス大統領選は6日決選投票があり、即日開票の結果、民衆運動連合(UMP=右派)のニコラ・サルコジ前内相(52)が、初の女性大統領を目指した社会党のセゴレーヌ・ロワイヤル元環境相(53)を破って初当選を果たした。両候補とも、2期12年務めたシラク大統領(74)の時代からの脱却を前面に打ち出したが、決断力、実行力を強く印象づけたサルコジ氏に、仏国民は「変化」への期待を託した。

 仏内務省の最終集計によると、サルコジ氏は53.06%を獲得、46.94%のロワイヤル氏を大きく上回った。任期は5年。いずれも戦後生まれの新顔で、左右の一騎打ちに関心が高まり、投票率は前回02年の81%を上回る83.97%だった。

 当選を受けて、サルコジ氏はパリ市内で演説。「私たちにすべてのものを授けてくれた国家フランスに、今度は私が恩返しをする番だ」と決意表明。「国家のアイデンティティーを取り戻したい。フランス人であることを誇れるようにしたい」と述べた。

 一方で、自分を支持しなかった有権者には「私はすべてのフランス人の大統領になることを理解してほしい」と訴えた。

 サルコジ氏は、シラク大統領の下でこの5年間、内相や財務相など重要閣僚を歴任し、実績を重ねた。右派を結集した厚い組織力も背景に、今年1月以降、ほぼ一貫して支持率トップを維持。4月22日の第1回投票では31.18%を獲得し、ロワイヤル氏の25.87%に差をつけていた。

 経済政策では「もっと働き、もっと稼ごう」をスローガンに、「週35時間労働」の見直しや解雇条件の緩和など、雇用の流動化や企業の裁量を拡大する方針を表明。硬直した社会保障制度の改革も訴え、財界の支援を取り付けた。

 一方でサルコジ氏は移民への規制強化を繰り返し表明。内相として不法入国や犯罪に対する強硬姿勢を鮮明にし、移民排斥を掲げる右翼の支持層を取り込んだ。強圧的とも受け取れる態度に左派や人権団体は反発を強めたが、綿密なメディア戦略も展開、同氏の経験と手腕に対する期待は、懸念を上回った。

 敗北を認めたロワイヤル氏はサルコジ氏を祝福。一方で「次に勝利を収めるために結束しよう」と語り、6月の総選挙に向けて、引き続きイニシアチブを握る決意を示した。

 ロワイヤル氏は選挙戦で、人権と平等を重視する政策を主張。最低賃金の引き上げや、財政支援による50万人の若者の雇用創出、保守政権時代に削減された教員数の回復などを公約として掲げた。しかし従来の左派の枠を超えた政策を訴えるロワイヤル氏に、社会党幹部から異論が出るなど、党内の路線対立が最後までくすぶった。主要政策でもぶれが目立ち、サルコジ氏の手法に不安を抱く中道層を取り込めなかった。


まあ、この記事を読めば、圧倒的にサルコジが勝ったことがわかる。でも一方でこんな記事もある。移民排斥などのせいでしょうか。


「サルコジ氏当選に反発 若者ら各地で投石や放火」(asahi.comより)
2007年05月07日10時58分

 仏大統領選でのサルコジ氏当選を受け、6日夜(日本時間7日未明)、反発する若者らがパリや同国第2の都市リヨンなどで投石や自動車への放火をし、警察の治安部隊と衝突、ロイター通信によると、5人がけがをした。

 敗北したロワイヤル候補の支持者らがパリ中心部のバスチーユ広場に移動し、投石などを始めた。AFP通信によると約5000人が集まり、催涙ガス弾や放水車で鎮圧しようとする治安部隊と衝突。パリ郊外では自動車など100台以上が放火されたとの情報がある。

 リヨンでは約500人が抗議デモを行い、治安部隊が催涙ガス弾を発射、ボルドーやマルセイユでも衝突が起きた。


若者からすると、サルコジはイヤみたいだ。読売の社説にもこのことが少し書いてあった。


5月8日付 よみうり寸評(Yomiuri Onlineより)

 〈コンコルド広場とバスチーユ広場〉——サルコジ氏が大統領当選を決めた6日の夜、パリの二つの広場の対照的な映像を見た◆コンコルド広場は「ニコラ、ニコラ、ニコラ」とサルコジ氏の名を連呼する支持者で埋まった。バスチーユ広場はデモ隊が投石し、警官隊が催涙ガスを発射して応戦した◆二つの広場がフランスの今を表現しているような光景だった。コンコルドではサルコジ氏が「フランスの勝利。私がフランスに恩返しする時が来た」と満面に笑みを浮かべた。氏はパリの生まれだが、ハンガリー移民の2世◆一方、バスチーユで荒れたデモ隊にはパリ郊外に住む移民の若者たちが参加していたのは間違いない。初の女性大統領を目指したロワイヤル候補が勝てば、ここで集会を開いたはずともいう◆2005年の移民暴動の際、内相だったサルコジ氏は「社会のクズは放水で排除する」と言った。氏は強烈な個性と指導力で頂点に立ったが、今後は融和が必要になる◆今回の勝利宣言では「すべてのフランス国民の大統領になる」と述べて融和を訴えた。

(2007年5月8日14時8分 読売新聞)


これらの文章では、ロワイヤル候補の支持者=反サルコジという感じで、バスチーユ広場に移動し、投石などを始めたということだし、またそこには移民の若者が多く含まれているに違いないということで、サルコジの「クズ」発言に反感を抱いているのではないか、ということだが、それにしては、いささか極端な行動だし、ヒステリックですらあると思う。

特にアサヒの記事に載っている写真を見ると、フランスの大統領選挙の結果起きたものだと思えない程だ。これが仮に国民戦線のル・ペンが大統領の当選していたのなら、こうした行動が起こっても、たいして不思議には思えないが、そんなにサルコジでイヤなのかいな?というのが正直な感想。

で、サルコジとはどんな奴なのか。


「野心と能力、サルコジ氏、劣等感ばねに頂点へ」(asahi.comより)
2007年05月07日13時11分

 ニコラ・サルコジ氏(52)には、ぎらぎらとした野心のイメージがつきまとってきた。一方で、それを実現させる意志と能力も備え、人気が高いのもその力強さあってこそ。その源は少年時代の生い立ちにある。

 サルコジ氏の父は元ハンガリー貴族の家系の出身。母国の共産化とともに亡命した。サルコジ氏はパリで生まれたが、5歳の時に両親が離婚し、母の実家で育てられた。

 中学高校の成績は思わしくなく、エリートコースを断念。フィガロ紙によると、ジュペ元首相らエリート校出身者の保守政治家に、長年劣等感を抱いてきたという。

 ただ、パリ西郊の高級住宅地のヌイイで83年、28歳で市長に当選し、道が開ける。93年、市内の幼稚園に爆発物を持った男が園児ら21人を人質に立てこもった事件で、一躍名を挙げた。

 市長として現場に駆けつけ、現金1億フラン(約21億円)を要求する容疑者と直接交渉。心理学者の助言を元に、容疑者を時におだて、時に強く出る巧みな弁舌で、次々と園児らを解放させた。「大爆発の危険もある部屋に命がけで入る勇気を彼以外の政治家が持ち得ただろうか」と現場にいたテレビ局記者は振り返る。

 46時間後に特殊部隊が容疑者を射殺して事件は解決。交渉の過程で解放した園児を1人ずつ腕に抱えて出てくるサルコジ氏の姿は国民を感動させた。だが、この記者は言う。「彼は、現場を記録する救急隊の撮影班のカメラを常に意識していた。何事でも自分が中心でないと気が済まない」

 大胆さとともに、意外な繊細さも。「コーヒーがぬるい」「いすの列が曲がっている」など、部下に対して神経質な指示も多いという。この細かさで政界随一の人脈を築き、成功の足がかりにしたといわれる。

 自らがサクセスストーリーの主人公だけに、失敗したと映る者への目は厳しい。05年秋に暴動を起こした若者を「クズ」と呼んだのもそのような意識の表れだ。

 当選を決めたこの日、演説で同氏は「取り残されたと感じる人がいない改革を進めたい」と、いつになく謙虚に語った。大統領の地位を手に入れた今、これまでの攻撃的なスタイルを変えられるかどうか。

 離婚を経験し、先妻との間に2男、セシリア夫人との間に1男がいる。


これを読むと凄いなあと率直に思う。で、同時になんかクセの強い奴だなあ、という印象を受ける。苦労人のイメージもある。「コーヒーがぬるい」「いすの列が曲がっている」など、部下に対して神経質な指示をする、というのを聞くと、ちょっと神経症ぎみかな?という印象もあり。

学生時代の成績の悪さは、それほど問題でもないだろうな。エリートコースに乗れなかったのは、これは劣等感に繋がるだろう。特にフランスは学歴社会でもあるようだし(グランゼコールという凄いエリート・コースがフランスにはある)、むしろ自意識過剰という雰囲気もする。

もっとも幼稚園に立て篭って爆発物を持った男の事件では、かなりの活躍をしたようだから、これだけでも凄い奴っぽい。きっと能力はかなりある人物なのだろう。ただ、こうした事件での活躍は強弁な印象も受けるので、これに続けて「クズ発言」が出てくると、否定的な引用を強くする可能性もあると思う。

サルコジ大統領の誕生で、フランスがどうなって行くのか、今後よく見ておくことにしよう。日本ではフランスのニュースが入りにくいので、そこが難点だが。

2007年5月7日月曜日

ジュディ・バウカー

ずいぶん昔に、「ブラザーサン・シスタームーン」という映画があった。中世イタリアが舞台で、聖フランチェスコを描いた映画だった。その映画に脇役として出ていた女優でジュディ・バウカーという人がいた。小柄な感じの美人で可愛い感じの人だ。個人的には好きなタイプだが、ぱっとしないうちに終ってしまった女優さんである。

偶然にネットでバウカーの出演していた「ブラザーサン・シスタームーン」を紹介しているサイトにぶつかり、バウカーのこと思い出した。

最近活躍している若い女優とはまったく雰囲気が違う。最近の若い女優は、なんというか美しいとか、魅力的というよりは「凄い」という感じで、あまり共感もしないし、カッコいいとは思うが、たいして美人だとも思わない。アンジェリーナ・ジョリーなんて、あの唇の分厚い感じが少々下品であり、たいして美人だと思えない。

もうジュディ・バウカーのような女優は流行らないのだろう。これからも彼女みたいな女優が出て来る気配がない。

これはもう過去のノスタルジーの世界だ。「ああ、昔は美人女優が多くて良かったなあ」と昔を懐かしむ。今の女優なんてついて行けないよ。一体、どこが魅力的なんだ?などと言いながら、若い奴に置いて行かれる運命にある。

ジュディ・バウカーの画像はここへ。
「ブラザーサン・シスタームーン」についてはここへ。
または、ここを。

2007年5月6日日曜日

アジア通貨危機対策

4日に京都で行われた日中韓の財務相会議で、アジア通貨危機対策について、多国間協定に合意したというニュースを読んだ。

asahi.comからの記事を引用する。

アジア通貨危機対策、多国間協定に合意 日中韓財務相
2007年05月04日18時35分

 日中韓の財務相会議が4日、京都市で開かれ、通貨危機に陥った際に自国通貨の買い支えに用いる外貨を相互に融通する多国間協定を、アジア各国が結ぶべきだとの認識で一致した。外貨を各国が拠出して1カ所に集めておく仕組みの創設でも合意。いずれも、5日の東南アジア諸国連合と日中韓(ASEAN+3)の財務相会議で正式合意する見通しだ。

ADB主催のセミナーでは環境や都市整備などをテーマに意見交換した=京都市の国立京都国際会館で
 会議には、尾身財務相と中国の金人慶・財務相、韓国の権五奎・副首相兼財政経済相が出席した。

 ASEAN+3では現在、2国間の通貨交換協定が16件結ばれているが、実際の通貨融通には個別の交渉が必要となり、万一の際の手続きのスピードアップが課題となっている。


この記事を読んで思うのは、なぜ今通貨危機対策の話が出てくるのかということ。今は中国や日本では経済は堅調だという話ばかり聞かされているだろう。少なくとも日本国内ではそうだ。経済はうまく行っている、そういった合い言葉が繰り返されているように思う。

例えば先日、日本と中国に来た米国のポールソン財務長官も経済はうまく行っていると言っていたと思うし、また4月に行われたG7でもリスクはあるとされながらも世界経済の成長拡大を確認していたし、通貨危機の問題などは出ていなかったと思う。

それなのに、なんでアジアは通貨危機対策をするのか。以前にアジアでの通貨危機が起きた時は、ヘッジファンドのバーツの猛烈な売り崩しにあって、確かそこから起きてきたものだったと思う。

もうヘッジファンド達の猛烈な通貨の売り崩しはないように思えるし(絶対ないとは言えないが、非難が大きくて事実上は無理だろう)、アジアで通貨危機が起こる可能性は低いと思えるんだが。

まあ、こうした合意は一応念のためだ、とも言えるので、あまりこだわる必要はないかも知れないが、人間の世界なんて、必要なことしかやらないし、不必要なことなんてしないものなので、いささか気になるところだ。

本当に人間なんてもんは、必要なことでも面倒なことはやらないし、(企業で言えばコンプライアンス重視なんてIRを考えれば分かるだろう。やって当たり前のことでも、なかなかやらない場合がある)必要でないことは、考えることもできないほどだ。

ましてや、今までのアジアの国際会議の類いを見れば分かるが、比較的協調性に欠けるようなところもあり、(昔マハティールがアジアの経済共同体を作ろうとしたが頓挫したように)そんなアジア間のことで、なんで潜在的な理由もはっきりとしないのに、通貨危機に備えて事前にこうした準備をするのだろうか。その理由や背景についてはニュースが伝えてないので、まったく分からないわけだから、どうしようもない。

ニュースも単なる事実の伝達、出来事の最小限の記述に止まらないで、その背景なりなんなりをもっと伝えるべきである。

2007年5月5日土曜日

上のバーにある、「次のブログ」その3

「次のブログ」をクリックしてランダム表示されるブログで、またなかなかきれいな写真を載せるところを見つけた。はやり外国の女性の作るブログで、自分の撮った写真を公開している。なかなか雰囲気が良いと思う。

『.beth.』というタイトルのブログのようだ。

それにしても連休は暇だ。

2007年5月4日金曜日

またか、バイロイト盤

またしても、フルトヴェングラー指揮する、バイロイトでのベートーヴェン「第9」の録音が新しくCDとして発売される。

バイロイトの「第9」は同一録音であるにも関わらず、複数のレーベルからCDもしくは、CD-Rとして売られてきた。はたして、これで何枚目のバイロイト盤になるのだろうか?


これはクラシックを聴かない人には分からない話題であった。一応説明すると、20世紀の前半から第2次世界大戦を経て、戦後の54年まで活躍したドイツの大指揮者、フルトヴェングラーの指揮したベートーヴェンの交響曲「第9」の録音のこと。フルトヴェングラーはカラヤンの前のベルリン・フィルの常任指揮者だった。

このバイロイトの「第9」はあらゆる「第9」の録音の中で最も優れた演奏と言われており、文字通り名盤の誉れが高い。ただし、録音は1951年のライブでモノラル録音。音が古いので、その点が弱点になっている。

そこでできるだけ良い音質でこの演奏をCD化しよう、ということから、色々なレーベルが独自のマスタリングをしてバイロイトの「第9」を発売してきた。2005年以降は、フルトヴェングラーの死後50年を経て、著作権が切れたのか、こうしたことがされるようになった。

この種のマスタリング盤はオリジナルのEMI CLASSICSの録音と異なり、マスターテープからの製版ではなく、LPから音を取ったものであるようだ。俗に言う盤起こしというやつ。評判は各レーベル共一長一短であるらしい。

今回発売されるバイロイト盤は、こうしたLP起こしではなく、マスターテープの予備として保存されいたものの、デジタルコピーを使って製盤したというもの。発売元のオタケン・レコードは、すでに同じバイロイトの「第9」を2種類発売している。(その内の一枚は買って持っている)だから今回で3枚目の発売ということになる。

HMVのレビュー(制作者のレビュー)には、大変音質が良いことが書かれていて、これは興味を持った。自分でも、すでにバイロイトの「第9」を持っていることから、新しくまた買うのは、いささか躊躇するが、それでも今まで使われていなかったテープからの製盤ということで、興味はある。

これは買うか、買わざるべきか思案のしどころ。

HMVのバイロイト盤のページ

2007年5月3日木曜日

日銀の株?

ベンジャミン・フルフォードのブログを見ていたら、「日本銀行の株の55%は財務省が保有し、残りは皇室が持っているとききました。」とあった。

へー!、そうなのか!という感じ。もっともこれが正しい情報だという保証はないが。


確かに日銀は政府機関ではなく、株式会社である。だから株式が店頭市場に上場されているし、だれでも金さえあれば日銀の株を買うことができる。

ただ、不思議なことに、日銀法で政府が半数以上の株を所有することになっているが、残りの株を誰が所有しているのか公開されていないのだ。

普通、会社四季報などを買えば、大株主の名前が載っている。誰が筆頭株主で次の大株主が誰なのかが分かる。その大株主の全体から見た所有の比率も載っている。要するに大株主の名前は公表されることになっている。

ところが日銀だけは政府以外の株式の所有者の名前を、どうも公表していないのだ。そして大株主の名前を公表しない理由も日銀は公表していないのではないかと思う。

だから一部では日銀の大株主は誰なのか、色々な憶測も呼ぶ。外資じゃないのか、とかロスチャイルドじゃないのか、とか、そんな感じだ。

それにしても仮に皇室が大株主であるのなら、たいして問題ないと思った。日銀の株には議決権がないので、経営には参加できないし、配当請求権があるだけなので、問題は生じないだろう。それに外国人でもないし、まあ、そんなところかという感じもする。

2007年5月2日水曜日

アメリカは凄いな

CNNのサイトにこんな記事が出ていた。高校生が学校の作文で「銃を乱射するのは楽しいだろう」と書いたところ、これが問題になってしまったというニュース。


  CNN.co.jpより引用。

「作文課題で「銃乱射は楽しいだろう」と記述、高校生訴追」
2007.04.28
Web posted at: 17:02 JST
- CNN/AP

イリノイ州ケリー——ケリーの警察当局は27日、授業の作文課題で「建物内で銃を発射すれば面白いだろう」と記述した18歳の男子高校生が公共秩序の妨害容疑などで訴追される、と述べた。

イリノイ州北部の高校生で「死人との性行為への関心」も示していたという。教師は「心に思い付くことを書きなさい」と指示していたという。

調べによると、高校生は作文で「昨夜、夢を見た。建物に入って行き、銃を取り出して、全員を撃った」「もし実行したら、楽しいだろう」などと記述していた。

高校生は、教師の指示に従い、創造的な文章を試みただけと主張。「自分でもごみくずのような文章と知っている。学校側などは意味をはき違えている」と強調している。父親は、学校側の過剰反応と指摘しながらも、バージニア工科大での銃乱射事件を踏まえれば理解も出来ると述べている。

地区の教育委員会は高校生の処分を検討しているが、「明らかに度が過ぎた文章」と不快感を表明している。

この高校生は最近、米海兵隊への入隊志願書を作成したという。有罪と確定すれば禁固30日の判決が下される可能性がある。

ちょっと危険な奴、という理由だけで刑事処罰の対象になりうる、というのも怖い話だ。まあ、例の韓国の学生の事件があったから、少しナーヴァスになっている、というのは理解できるが、まだ何もしていないのに刑事処罰の対象とは、どうも解せない。元来、単に文章に何か書くだけでは犯罪は成立しないだろう。

このニュースで気になったのは、教育の現場もある種の「監視社会」になっているにではないか、ということだった。単なる作文でも書いた本人の知らない間に問題視され、警察にまで自分の作文がまわっているというのは、凄いではないか。

少しでも危険な奴、おかしい奴と見なされれば、すぐに監視の対象となり、些細な問題も処罰の対象とされる。なにかそんな印象を持ってしまった。

2007年5月1日火曜日

三菱UFJフィナンシャルGの株式分割と単位株変更

三菱UFJフィナンシャル・グループが『投資単位の引き下げについて』というニュースリリースを発表していた。発表したのは1月31日だから、もうだいぶ経つが、自分では知らないことだった。また『MUFG株主倶楽部』というのを発足するニュースリリースも3月29日に発表していた。

三菱UFJフィナンシャル・グループ、ニュースリリースのページ

まあ、1株を1000分割するということだが、売買単位が100株から、ということなので、実質的には10分割と同じではないか?現在は130万割れ、という株価だが、分割すると株価の金額は1300円くらい、ということになり、買える単位は100株からだから、13万くらいから株が買える、という感じになる。

分からないのは、売買単位を100株単位にするなら、分割もそれに合わせて100分割で良かったのではないかということ。13万という株価はあまり聞かないので、もしかするとこの株価表示に座りの悪さでも感じたのだろうか?

最近のMUFGの株価を見ていると、右肩下がりになっている。株式分割を発表した時に株価が上がる例があるが、MUFGの場合は逆に下がってしまった。

分割の理由が売買の投資金額を引き下げるためで、それにより個人投資家を呼び込みたいというものだろう。確かに株価が下がればそれだけ安く株が買えるわけだから、個人投資家にとっては、さらに買いやすい株になったのかも知れないが、意味不明の株価の下落は不安感が出る。

もっとも株式の売買単位や分割や併合をすると、それまでの株価の動きが変ってきたり、調子が崩れたりすることがある。今回のMUFGの株価の右肩下がりはこれのせいか?

ファンダメンタルズ的にはあまり大きく値崩れする要因があると思えないので、株価の下落基調は限定的だろうと思うが、買う時のタイミングが掴みにくいのも事実だろう。


一方で、MUFGは『株主倶楽部』を導入するという。これは要するに株主優待制度の名称。100株〜500株が株主限定キャラクターグッズの提供(「ピーターラビット」の株主限定グッズ)であるらしい。(しかしこれを欲しがる株主も少ないのでは?)

500株以上、1000株が同行の定期預金金利の優遇や外貨定期預金新規預入時の為替相場優遇、信託銀行の遺言信託取扱手数料の割引、証券会社の株式等売買委託手数料の割引などが付け加わる。

これは要するに自分のところの金融商品を株主に買わせたい、ということなのだろう。株を買って株主になった者が必ずしも、同FGの銀行や信託銀行、証券会社に口座があるわけでもないし、仮にあったとしても、銀行口座を持っている場合でも定期預金にしている者が全てではない。株主になれば当社の金融商品が割引で買えますから、ぜひ買って下さい、というセールスである。

株主からも抜け目なく自社金融商品を売りつけて商売をし、手数料を割り引いてでも、金を吸い上げようという姿勢はさすが商売人だ。だから、その意味ではこれは「株主優待」ではなく、実質的に株主優待を利用した商売道具というべきかも知れない。

考えてみれば、こうして手数料を割り引いても、商品がたくさん売れれば、たぶん、株主に支払う毎度の配当金の出費分は、他ならぬ株主自身から少しは回収できる見込みもある。そうしたことも念頭に置いているのかも知れない。

一体、本音の部分では何を考えているのか分からないのが、今回の株式分割/単位変更そして株主優待制度の導入だと言える。今月から外資が三角合併できることになり、もしかすると、MUFGもそれを恐れて個人投資家の数を増やしたいのかも知れない。

仮にそうだとすれば、三角合併は一年先送りされた結果今年施行するのだから、一年前から個人投資家を増やす努力をすれば良かったことになる。つまり対応が一年遅かったことになるので、経営が下手だということになる。

この点を重視すると、外資による三角合併を、MUFGはまったく恐れていないように見える。

まあ、今後の株価の動きをよく見ておこう。安くなったら買っても良いと考えている。