2007年5月1日火曜日

三菱UFJフィナンシャルGの株式分割と単位株変更

三菱UFJフィナンシャル・グループが『投資単位の引き下げについて』というニュースリリースを発表していた。発表したのは1月31日だから、もうだいぶ経つが、自分では知らないことだった。また『MUFG株主倶楽部』というのを発足するニュースリリースも3月29日に発表していた。

三菱UFJフィナンシャル・グループ、ニュースリリースのページ

まあ、1株を1000分割するということだが、売買単位が100株から、ということなので、実質的には10分割と同じではないか?現在は130万割れ、という株価だが、分割すると株価の金額は1300円くらい、ということになり、買える単位は100株からだから、13万くらいから株が買える、という感じになる。

分からないのは、売買単位を100株単位にするなら、分割もそれに合わせて100分割で良かったのではないかということ。13万という株価はあまり聞かないので、もしかするとこの株価表示に座りの悪さでも感じたのだろうか?

最近のMUFGの株価を見ていると、右肩下がりになっている。株式分割を発表した時に株価が上がる例があるが、MUFGの場合は逆に下がってしまった。

分割の理由が売買の投資金額を引き下げるためで、それにより個人投資家を呼び込みたいというものだろう。確かに株価が下がればそれだけ安く株が買えるわけだから、個人投資家にとっては、さらに買いやすい株になったのかも知れないが、意味不明の株価の下落は不安感が出る。

もっとも株式の売買単位や分割や併合をすると、それまでの株価の動きが変ってきたり、調子が崩れたりすることがある。今回のMUFGの株価の右肩下がりはこれのせいか?

ファンダメンタルズ的にはあまり大きく値崩れする要因があると思えないので、株価の下落基調は限定的だろうと思うが、買う時のタイミングが掴みにくいのも事実だろう。


一方で、MUFGは『株主倶楽部』を導入するという。これは要するに株主優待制度の名称。100株〜500株が株主限定キャラクターグッズの提供(「ピーターラビット」の株主限定グッズ)であるらしい。(しかしこれを欲しがる株主も少ないのでは?)

500株以上、1000株が同行の定期預金金利の優遇や外貨定期預金新規預入時の為替相場優遇、信託銀行の遺言信託取扱手数料の割引、証券会社の株式等売買委託手数料の割引などが付け加わる。

これは要するに自分のところの金融商品を株主に買わせたい、ということなのだろう。株を買って株主になった者が必ずしも、同FGの銀行や信託銀行、証券会社に口座があるわけでもないし、仮にあったとしても、銀行口座を持っている場合でも定期預金にしている者が全てではない。株主になれば当社の金融商品が割引で買えますから、ぜひ買って下さい、というセールスである。

株主からも抜け目なく自社金融商品を売りつけて商売をし、手数料を割り引いてでも、金を吸い上げようという姿勢はさすが商売人だ。だから、その意味ではこれは「株主優待」ではなく、実質的に株主優待を利用した商売道具というべきかも知れない。

考えてみれば、こうして手数料を割り引いても、商品がたくさん売れれば、たぶん、株主に支払う毎度の配当金の出費分は、他ならぬ株主自身から少しは回収できる見込みもある。そうしたことも念頭に置いているのかも知れない。

一体、本音の部分では何を考えているのか分からないのが、今回の株式分割/単位変更そして株主優待制度の導入だと言える。今月から外資が三角合併できることになり、もしかすると、MUFGもそれを恐れて個人投資家の数を増やしたいのかも知れない。

仮にそうだとすれば、三角合併は一年先送りされた結果今年施行するのだから、一年前から個人投資家を増やす努力をすれば良かったことになる。つまり対応が一年遅かったことになるので、経営が下手だということになる。

この点を重視すると、外資による三角合併を、MUFGはまったく恐れていないように見える。

まあ、今後の株価の動きをよく見ておこう。安くなったら買っても良いと考えている。