2007年5月6日日曜日

アジア通貨危機対策

4日に京都で行われた日中韓の財務相会議で、アジア通貨危機対策について、多国間協定に合意したというニュースを読んだ。

asahi.comからの記事を引用する。

アジア通貨危機対策、多国間協定に合意 日中韓財務相
2007年05月04日18時35分

 日中韓の財務相会議が4日、京都市で開かれ、通貨危機に陥った際に自国通貨の買い支えに用いる外貨を相互に融通する多国間協定を、アジア各国が結ぶべきだとの認識で一致した。外貨を各国が拠出して1カ所に集めておく仕組みの創設でも合意。いずれも、5日の東南アジア諸国連合と日中韓(ASEAN+3)の財務相会議で正式合意する見通しだ。

ADB主催のセミナーでは環境や都市整備などをテーマに意見交換した=京都市の国立京都国際会館で
 会議には、尾身財務相と中国の金人慶・財務相、韓国の権五奎・副首相兼財政経済相が出席した。

 ASEAN+3では現在、2国間の通貨交換協定が16件結ばれているが、実際の通貨融通には個別の交渉が必要となり、万一の際の手続きのスピードアップが課題となっている。


この記事を読んで思うのは、なぜ今通貨危機対策の話が出てくるのかということ。今は中国や日本では経済は堅調だという話ばかり聞かされているだろう。少なくとも日本国内ではそうだ。経済はうまく行っている、そういった合い言葉が繰り返されているように思う。

例えば先日、日本と中国に来た米国のポールソン財務長官も経済はうまく行っていると言っていたと思うし、また4月に行われたG7でもリスクはあるとされながらも世界経済の成長拡大を確認していたし、通貨危機の問題などは出ていなかったと思う。

それなのに、なんでアジアは通貨危機対策をするのか。以前にアジアでの通貨危機が起きた時は、ヘッジファンドのバーツの猛烈な売り崩しにあって、確かそこから起きてきたものだったと思う。

もうヘッジファンド達の猛烈な通貨の売り崩しはないように思えるし(絶対ないとは言えないが、非難が大きくて事実上は無理だろう)、アジアで通貨危機が起こる可能性は低いと思えるんだが。

まあ、こうした合意は一応念のためだ、とも言えるので、あまりこだわる必要はないかも知れないが、人間の世界なんて、必要なことしかやらないし、不必要なことなんてしないものなので、いささか気になるところだ。

本当に人間なんてもんは、必要なことでも面倒なことはやらないし、(企業で言えばコンプライアンス重視なんてIRを考えれば分かるだろう。やって当たり前のことでも、なかなかやらない場合がある)必要でないことは、考えることもできないほどだ。

ましてや、今までのアジアの国際会議の類いを見れば分かるが、比較的協調性に欠けるようなところもあり、(昔マハティールがアジアの経済共同体を作ろうとしたが頓挫したように)そんなアジア間のことで、なんで潜在的な理由もはっきりとしないのに、通貨危機に備えて事前にこうした準備をするのだろうか。その理由や背景についてはニュースが伝えてないので、まったく分からないわけだから、どうしようもない。

ニュースも単なる事実の伝達、出来事の最小限の記述に止まらないで、その背景なりなんなりをもっと伝えるべきである。