2007年5月16日水曜日

国民年金保険料、納付記録破棄

今日出ていたニュースでとんでもないのがあった。納付記録廃棄をしていた自治体が284もあるというのだ。自治体に納付した記録がないのだから、自分で領収書を保存しておかないと、年金の支給金額が減ってしまう可能性が出てきた。


「国民年金保険料、284自治体が納付記録廃棄」(Nikkei Netより引用)

 2001年度末まで国民年金保険料の徴収業務をしていた市区町村のうち、全体の15%の284が加入者の氏名や納付実績を手書きした名簿をすべて廃棄していたことが社会保険庁の調査で分かった。業務が02年度に社保庁に移管された後は保存義務がなくなったため、保管場所などに困って捨てたとみられる。こうした市区町村では過去の記録の再調査は難しく、加入者が領収書を保管していなければ年金受取額が減る例も出てきそうだ。

 国民年金には現在、自営業者を中心に2190万人が加入している。廃棄された名簿に記載されていた加入者の総人数は不明。社保庁は廃棄した市区町村名も公表していない。(07:02)


信じられないことだが、こんな馬鹿げたことが行われていた。いくらなんでも、納付記録を簡単に破棄してしまう、というのは明らかに非常識である。それも284もの自治体が一斉に同じ破棄行為を行った。

この284もの自治体が、あたかも示し合わせたように一斉に納付記録を破棄した、というのは、非常識を通り越して、何か裏にあるのではないかと思われる程に不自然な行為である。普通は考えられないことだ。

「業務が社保庁に移管された後は保存義務がなくなった」というのは、理由にはならないだろう。社保庁に業務の主体があったのだから、責任の大部分は社保庁にあることになる。社保庁は逃げないで、何だかの形で、きちんと責任を取る必要がある。

破棄されていた加入者の総数は不明というし、破棄していた自治体の名前も公表していない、ということで、何ともいい加減な話である。仮に公表すればパニックにもなりかねないと思ったのだろうか。



このニュース読んで個人的には、ことによると国がわざとやったのではないかと勘ぐってしまった。つまり本当は破棄していないか、あるいは、敢えて破棄することを命じたのか、どちらかではないかと思ってしまった。

というのは、あまりにも非常識な行為で、通常では考えられないからだ。また率直に考えれば、現在の地方自治体のあり方では、年金を予定通りに支払うことは、まず難しいだろうと思うからだ。

何せ少子高齢化社会である。特に地方の自治体には仕事がなく、若い者の多くは大都市に流出しているはず。老人ばかり多くなり、この老人たちを支える年金を払う者が実質的にいなくなっている、というのが現状ではないのか?少なくとも部分的には、そうなっていても不思議ではないし、あり得ることだろう。

それに若者も不況で正社員にはなれなくなっている。フリーターも多いし、以前取り上げた「ネットカフェ難民」も出ているくらいだ。自分たちがなんとか生きるだけで精一杯な状態だろう。そんな若者が老人を支えられるはずもない。

さらにこれから団魂世代が大量に定年退職になる。この世代はとにかく人口の多い世代だ。この人達が年金を受け取る時代に突入していくのだ。それでも相変わらず少子化のままだし、若者の労働環境が良くなっていないのだ。

この団魂の世代の問題では年金や税金の問題が、本当は非常に大きいはずだ。

団魂の世代の問題では定年して、退職金がたくさん入るだろうから、それを趣味やレジャーなど遊びに使ってくれるのではないか、と楽天的な言説が多いが、これは甘いだろう。

現在のニート世代やネットカフェ難民世代の親の世代にも実は当っているのが、団魂の世代でもある。子供の環境があまりに劣悪なので、親としては心配で、遊びなんかに大事な退職金を使うとは思えない。というか、そう考える「団魂老人」は少なくないのではないか?個人的にはそう予測する。

今回の納付記録破棄については、だから自治体は実質的に年金を払えないので、敢えて破棄したことにして、払わないことに決めたのではないか?そんな気がしてならないのである。いや、そうするしか、他に方法がないのかも知れない。払えないものは払えないのだ。ない袖は振れない。

この場合、東京や大阪などの大都市圏では、おそらく破棄はないだろう。貧しいとはいえ、若者も多いし、全体に人口も多いし、まだ老人を支えられる。人口が多いと破棄した場合、パニックが起こるし、暴動も起こる可能性もあって、国としては危険だと考えて大都市での破棄は避けるだろう。

これは国民年金の話だから、多くの人は個人営業か何かだ。つまり大きな組織に属していない人が中心なので、こうした人々にしわ寄せが来ても、政府に圧力を加えることができない。これが大きな組織だったら、組織力を生かして何か政治的な行動を起こせる。この点も大きいだろう。

たぶん、こうした破棄などという子供騙しの方法を駆使して、国家は国民を騙し、無理を押し付けていくのだろう。

これからはもっとひどい無理を国民に押し付けていくこともあり得る。将来、国家破産なんてことになったら、そのツケは全て国民がかぶるのだ。この場合は預金封鎖が実行されるだろう。

しわ寄せは、いつも最も弱い層に来るものだ。その弱い層とは一般国民を意味している。今日の年金納付記録破棄、という事件は不気味な将来を予想させる嫌なニュースだった。こうした流れから身を守る方法を自分でも考えないと不安で仕方がない時代になった。