2007年5月22日火曜日

流行中の麻疹への疑問

なぜか麻疹が成人の間で流行している。病気のニュースだから自分や周囲が罹っていなければ、つい読み流してしまうニュースだ。しかし、奇妙に思われるな部分もあり、やや気になる。自分の気になった点について、若干のメモ。


「はしか大流行はなぜ 大学続々休講 ワクチン効かず?」(asahi.comより引用)
2007年05月21日

 はしか(麻疹)が大流行のきざしを見せている。もともと、乳幼児に多い病気だが、今年は高校生や大学生など若い世代に感染が目立っている。40歳以上の中高年からすると、「なぜ?」と思える流行だが、ワクチンを1回受けても免疫が十分につかなかったり、時間とともに落ちたりする人が増えたのが原因らしい。

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 16日から授業を取りやめた日本大学文理学部(東京都世田谷区)。学生44人の感染が確認され、校舎内への立ち入りは原則禁止された。

 就職活動のため、エントリーシートを取りに来たという男子学生(23)は「今は就職で大切な時期なので気をつけます」と話した。

 創価大学(同八王子市)は、全学の授業を4月18日から今月6日まで休講にした。新入生を迎えて活気のあるはずのキャンパスは人影もまばらになった。宮崎和弘・広報部長は「開学以来初めてのことです」。

 大学は、はしかにかかったことがない学生約7000人にワクチン接種を実施。接種のため、600人の学生が学内の保健センターを訪れる日もあった。これまでに約6000人が受け、流行は終息。費用は大学が負担した。

 このほか、都内では、上智、東京工科、駒沢、和光の各大学も休講になった。

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 国立感染症研究所感染症情報センターが集計する全国450医療機関の定点調査によると、15歳以上のはしか患者は、05年7人、06年40人だったが、今年は4月末までに130人に達した。東京を中心に埼玉、神奈川など首都圏で増えている。

 流行は大学だけにとどまらない。都教委によると、都立高など約250校のうち90校で患者が出た。計250人に達し、5校が休校になった。

 はしかは、ウイルスによる感染症で、約10日の潜伏期を経て、発熱、せき、鼻水などかぜに似た症状のあと、高熱が出て赤い発疹が全身に広がる。根治療法がなく、ワクチン接種による予防が対策の中心だ。一度かかれば、接種はいらない。同センターの多屋馨子室長は「罹患(りかん)歴と、ワクチンの接種歴を母子手帳などで確認して、両方なければすぐに接種をしてほしい」と呼びかける。

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 今回の流行は10代以上の若者に多いのが特徴だ。しかも接種したのに発症している。

 なぜなのか。

 1回だけの接種で十分な免疫がつかない人が数%いる。それに加え、「流行回数の減少」が集団感染の原因になっていると専門家は指摘する。

 はしかの流行が少なくなり、ウイルスに接する機会が減って免疫の増強効果が得られなくなった。ワクチンを打っていても「強い免疫」にならず、次第に低下して感染しやすい人が増える。

 流行が珍しくなかった時代に育った中高年は、知らず知らずのうちに強い免疫力がついており、まず心配はない。

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 米国などは、はしか対策を着実に進めている。韓国も昨年、患者数が減って流行がない「排除達成」を宣言。日本は12年を目標にしているが、海外で、日本人渡航者から感染したケースがあり、「はしか輸出国」と、ありがたくない呼ばれ方をされることもある。

 感染拡大を受け、千代田区のように自治体が小中学生に無料接種するなどの動きも出てきた。札幌市立大看護学部の富樫武弘客員教授は「ワクチンの2回接種を徹底することが大切だ。今回の流行で、しばらくは免疫が高まって流行しないが、対策を進めないと、周期的に流行を繰り返す」と指摘している。

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 前回、はしかが流行したのは01年。推定で28万6000人がかかったが、その後は沈静化する傾向にあった。今回の関東の流行は、06年末に埼玉県で始まり、4月に入って急に拡大した。入学式など集団行事が多い4〜6月に流行のピークを迎える。ワクチンは風疹との混合の「MRワクチン」で06年4月に導入された。従来、接種が1回だったが、免疫を確実につけるため、(1)1歳時(2)小学校入学前1年間の計2回になった。


「成人のはしか、勢い増す 2001年以来の流行に」(東京新聞より引用)

 関東を中心に流行している麻疹=はしか=について、7日から13日の1週間に全国約450の医療機関から報告された15歳以上の患者数は53人に上り、今年に入って最高となったことが国立感染症研究所のまとめで22日分かった。
 1週間の報告数としては2001年の流行時に最多だった54人に匹敵する数。感染研は「はしかの流行は勢いが強まり、関東以外にも広がりを見せている」としており、引き続き注意が必要としている。
 報告数は、ゴールデンウイーク期間中で休診の医療機関が多かった前週の25人から2倍以上に増えた。今年に入ってからの累積報告数は208人となった。
 53人のうち、都道府県別では東京が19人と最多。宮城の6人、埼玉、千葉、島根の4人、北海道、山梨の3人が続き、関東以外の報告も目立ってきている。


こんな感じで、成人、といっても、主に大学生がたくさん麻疹に罹っている。関東から広がりはじめたようだが、どうして関東から広がったのかは不明のようだ。記事では大学が休講となり、都立高校でも感染者出て休講している所もあるようだ。

ここで、なぜ大学生と高校生が中心なのか、という理由は、記事によれば、「はしかの流行が少なくなり、ウイルスに接する機会が減って免疫の増強効果が得られなくなった」ということで、免疫力が低下したからだ、という。

では、何故、免疫力の強くない子供の間で流行しないのか、これだとその説明がつかない。また世代的に近い、20代の若い会社員の間で麻疹が流行している、というニュースも出てないことから、この辺りにも疑問を感じる。

新卒で入社したばかりの銀行員とか商社に勤めている者が麻疹にかかり、会社を休んでいるというニュースは何故か聞かない。たまたまそのニュースを知らないだけなのかも知れないが、少なくともネット上のニュース・サイトでは、そのニュースは見ない。

本来罹りやすいはずの、子供の間で流行したというニュースも見ないし、若い社会人の間でも麻疹の流行は今のところない。子供でも小学生辺りになれば、麻疹に罹りやすい状態にあると思うが、小学校や中学はまだ休講になっていないようだ。

記事ある、免疫力の低下が麻疹流行の原因の一つだとすれば、小学生や中学生、若い社会人でも同じように麻疹に罹っていないとおかしい。特に社会人の場合であれば満員電車には乗るし、多くの人と接する機会があるのだから、麻疹に罹る確率だって、大学生よりも高いんじゃないのか?

この辺り不思議といえば不思議な状態だ。