2007年6月30日土曜日

中国、終身雇用へ

中国の雇用問題に関するニュースとメモ。


「中国、「終身雇用」へ新法成立・労働者保護に力点」(Nikkei Netより記事を引用)

 【北京=尾崎実】中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)常務委員会で29日、労働者の解雇を制限する「労働契約法」が可決、成立した。2008年1月から施行する。事実上、労使間で「終身雇用」契約を結ぶよう求め、違反した雇用者の賠償金支払いを義務付けた。中国が労働者保護に力点を置く姿勢を鮮明にした形だ。

 雇用契約の長期化は「給与水準の上昇→労働コストの拡大」の流れを生みかねない。中国展開する外資系企業は今後、コスト削減策を迫られる可能性がある。中国企業も農村部からの出稼ぎ労働者らを明確な雇用契約に基づかずに低賃金で採用していた例が少なくないとみられており、新たな労働法制への対応を迫られそうだ。

 同法は企業が勤続10年以上を数えるか、期限つき雇用契約を連続して2回結ぶかした労働者との契約を更新する際、終身雇用に切り替えなければならないと明記。違反した場合は、2倍の月給支払いを義務づけた。労働条件を変更する際には労働組合などとの協議が必要であるとも定め、労組の権限も強化した。


終身雇用制が給与水準の上昇を招き、労働コストがかかるということだが、労働コストが増加すれば、中国製の安い商品は作れなくなる。

今のところ中国はまだ、安い商品を世界に供給することで、利益を上げている。また外資が中国で工場生産をすることで、安い労働力を使い、コストを削減してきた。

中国では徐々に労働者の賃金が上昇していると聞くが、まだ相対的には安いだろう。これが今後さらに上昇していけば、中国経済のあり方も、何だかの形で変ってくることになる。

今回の労働契約法という法律で、その契機になるかどうか。

中国は今だに人権が認められていない。思想・良心の自由など今だに認められてないわけだ。中国はまだ政治的には共産党の一党独裁のままだ。

それなのに、最近の中国は、新たに物権に関する法律を作ろうとして、所有権の保護を打ち出そうとしたり、また今回のように労働者を保護する法律の制定をするなどしている。

精神的自由権はまだ認めなくとも、経済的自由権に関するものは認めていこうという印象を受けた。

今後こうした傾向が強まる中で、どのような国家へと中国が変貌するのか興味のあるところだ。経済的自由権の獲得から精神的自由権へ、という流れがはたして作られるか否か、興味あるところだ。中国も国際社会の中にあって、いつまでも人権を無視した国家であり続けることもできないだろうから。