2007年6月16日土曜日

外国人の持ち株比率と個人株主

外国人の持ち株比率が過去最高の28%になったという記事と、個人株主の増加による総会への出席に関する記事。それとメモ。


「持ち株比率、外国人が最高の28%・06年度全国5証取」(Nikkei Netより記事を引用)

 東京証券取引所など全国5証券取引所(ジャスダックを除く)が15日発表した2006年度の株式分布状況によると、外国人の保有比率は28%と05年度から1.3ポイント上昇し、4年連続で過去最高になった。個人株主数(延べ人数)は120万人増の3928万人と11年連続で最高を更新。投資単位を小口に下げる企業が多く、個人の投資を促した。

 外国人は昨年度、株式を6兆円強買い越した。投資は幅広い銘柄に及び、保有比率は33業種のうち29で高まった。増配など株主提案をする海外の投資ファンドも相次ぎ、企業経営に与える外国人の影響力が増している。

 個人株主の増加を後押ししたのが株式分割や投資単位の引き下げだ。分割などでより少額から投資できるようにした企業は昨年度だけで200社を上回った。ただ、企業の不祥事が相次いだ新興市場銘柄で増加に急ブレーキがかかった。個人株主数は04、05年度と年率2—3割のペースで増えたが、06年度は4.8%増にとどまった。


外国人の株主が増えているということだが、我々のような個人には実感のないものだ。外国人により日本株への投資が過去最高というのだから、80年代のような日本企業が絶好調だった時代よりも投資する外国人が増えているわけだ。

80年代のように、日本企業が光り輝いている時に投資でもすればよいものの、まだ景気が回復もしていない状況の中で投資が盛んに行われている。

つまり、それだけ現在の株価がまだ安くて投資のうま味があるということなのだろう。あるいは、ダウはすでに高値に達しているから、もう投資を継続するのは危険と判断して、日本株に資金を逃しているのかも知れない。

もっとも増配などを株主総会で提案するなど、経営面でものを言う外国ファンドも増えているようだから、日本の企業がまだ収益性の面でも伸びるという認識を持っているのだろうか。

こう考えてると、これからの日本企業はそうまんざら悪くないのかも知れない。日本の個人株主も増えているようだし、また明るい日本経済がやってくるのかも知れない。


「株主総会、個人呼び込みに知恵絞る」(Nikkei Netより記事を引用)

 上場企業が来週から開催が本格化する株主総会に、個人株主の出席を促そうと様々な工夫を凝らしている。新日本製鉄など鉄鋼大手で収容人員が多く、利便性が高いホテルに会場を移す動きがあるほか、事業内容の紹介を兼ねたイベントなどを併設する企業も目立ってきた。昨年の会社法施行で企業統治における総会の重みが増し、M&A(企業の合併・買収)が活発になるなか、個人株主の存在感が増していることが背景にある。

 新日鉄は総会の会場を今年からグランドプリンスホテル赤坂(東京・千代田、旧赤坂プリンス)に移す。好業績や業界再編期待などによる株価上昇に伴う個人株主数の増加で、昨年の総会には1637人が参加。東京本社内の会場では収容しきれなかった。今年は「昨年の出席者の2倍の人数が来ても、十分に座れる」という会場を確保した。会場の変更は23年ぶりで、ホテルを使うのは今回が初めてだ。



個人株主が増えたおかげで、株主総会へ個人株主を出席させるための「企業努力」があるようで、ホテルを使い、まるでイベントのような総会でも目指しているのか、と思わせる感じだ。

外人買いに対抗するための一環として、できるだけ多くの個人に株を持ってもらう。しかもできるだけ長期に渡って保有してもらい、というkとをやってきた。そのために株式の売買単位を買いやすい単位に落としたり、株主優待制度を作ったり、あるいは配当金を上げたりと、様々な工夫をしてきた。

その結果、個人株主が増えたのだから、個人株主を増やす工夫は、取り敢えず成功だったことになる。

従来の株主総会なんて、企業同士が株式の持ち合いをやっていたから、そういった会社から担当の社員が出席し、提出された議案については事前の連絡などがあって「異議ナシ」で賛成し、15分程度で終ってしまったと聞く。

それが最近では個人株主を意識した総会へと変化したわけだ。株主が総会や事前の通知で議題について意思表示しない場合は、賛成したと見なす規定を置く場合が多いだろう。それに個人株主の比率が上がったといっても、議決を左右するような大株主の存在とは違っている。

それを考えれば何も個人株主を総会に出席させることにこだわる必要はないと思うのだが、その点はどうなのだろう。