2007年6月12日火曜日

スティールパートナーズ代表の会見

投資ファンドに関する記事と短めのメモ。


「「長期投資が基本」強調・米スティール代表が初の会見」(Nikkeinetより記事を引用)

 米投資ファンドのスティール・パートナーズを率いるウォレン・リヒテンシュタイン代表が12日都内で記者会見し、「企業との関係を重視する投資家で、3―5年の長期投資が基本」と説明した。スティールが仕掛ける買収策に新株予約権割り当てで対抗を狙うブルドックソースには「反対(活動)を進める」と述べ、差し止め請求などにより法廷で是非を争う可能性も示唆した。

 リヒテンシュタイン代表は欧州系証券会社が主催するセミナーで講演するため来日した。記者会見を開くのは世界で初めて。「我々は誤解されている。(活動内容を説明するため)ここにきた」と会見開催の理由を述べたうえで「日本の企業を啓蒙(けいもう)したい」と語った。

 スティールがTOB(株式公開買い付け)を仕掛けているブルドックは、対抗策として7日、新株予約権を割り当てる方針を発表。ブルドックが24日の総会で出席株主の3分の2以上の賛成が必要な特別決議を諮ることに対して、同代表は「会社法の株主平等の原則に反する」と強調した。 (22:06)


スティール・パートナーズはよくメディアに乗るので、名前だけは知っていた。投資ファンドだということだけで、どんな人達なのかは知らなかった。

3年から5年の長期投資が基本というスタンスらしいので、株価をわざとつり上げて、高値で売るという仕手的な方法を使うわけではないようだ。

3年から5年というと、だいたいは株主総会でいろいろな経営に関する意見を出して、企業努力を最大限に引き出して業績を上げていく方法なのだろう。社員にとってはキツいことになるが、業績を上げていくので、株価は上がるだろう。上がったところで株を売って、次の投資先に移っていくのだろう。

最近はブルドックにTOBをかけることで話題になっているが、個人的にはこの問題に興味はない。今の日本企業で質の良いところは、当然にファンドや外資などに狙われやすいのは目に見えている。

ブルドックはその中のひとつに過ぎない。これからも同じようなニュースが出て来るだろう。もうそれは決まりきっている。テレビで見たが、スティールPの代表が自分の会社を守るには「結局は株価を上げることだ」と言っていた。

これは分かりきっている。買収をするのに、それに見合わない高い株価であれば投資は見送るのだから、子供でも分かる当然の理屈だ。

しかしそれでも日本の企業の株価はまだ安い。アメリカの株から比べれば時価総額の低い企業が多い。そのわりには、重要な技術を持った企業が多い。これは外資から見れば本当おいしい状態だ。

去年辺りから日経はじわじわと上げてきているが、再度の株の相互持ち合いなどで時価総額を上げてきたのだろう。そうやって株価を上げて防衛の一助にしたのかも知れない。

それでもまだ時価総額は安い。ダウはずっと上げ調子で、日経の足踏み状態を続ける今は、ダウと株価の乖離が離れている。株式交換を使えば簡単に買収できる。

スティールが次に手がける案件がどんなものなのかも興味はないが、年内に同じような案件がいくつ出てくるのか、という「形式」的な数字には興味がある。こうした客観的な数字の方が事態をよく把握できる場合が多いと思うからだ。

これから2、3年ほどの買収案件の総数がどの程度に達するかで、我々が置かれている本当の状況がはじめて分かるのだろう。