2007年6月20日水曜日

精神障害が急増

精神障害が急増しているというニュース。15日の記事だが、気になるので、ここにメモしておかなければならない。


「精神障害が急増、300万人突破…07年版白書」(Yomiuri Onlineより記事を引用)

 政府は15日午前の閣議で、2007年版「障害者白書」を決定した。精神障害を持つ人の数は05年に約303万人となり、02年から約45万人増え、初めて300万人を超えたことがわかった。疾患別では、そううつ病などの「気分(感情)障害」が増加し、33・3%で最も多かった。


 高齢化に伴うアルツハイマー病の増加も精神障害の急増の原因になっている。

 精神障害を持つ人のうち、在宅(通院)は02年から44万人も増えて約268万人に、施設入所は1万人増えて約35万人になった。白書をまとめた内閣府は、「現代社会のストレスの増加や、心療内科の増加などで医療機関を受診しやすくなったからではないか」と見ている。

 一方、知的障害のある人は05年で約55万人。このうち、施設に入所していない在宅(通院)が約42万人と、前回調査(00年)から約9万人増えた。身体障害のある人は01年で約352万人だった。

 白書は、06年度に改正障害者雇用促進法など障害者の社会参加を促す法律が施行されたことを受け、内閣府が精神、身体など様々な障害を持つ約5000人を対象に行ったアンケート調査の結果も紹介している。

 「この10年間で、障害のある人が働きやすくなったと思うか」と尋ねたところ、「変わらない」と答えた人が39・5%と最も多く、「とても働きやすくなった」「働きやすくなった」の計36%を上回った。「やや働きにくくなった」「とても働きにくくなった」は計14・1%だった。

 「障害がある人が働くことに対する社会の理解があるか」との問いには「あまりあると思わない」「あると思わない」が計55・9%に上った。「働くことに関して障害を理由に差別を受けたと感じたことがあるか」との問いにも「とてもある」「少しある」が計52・1%と過半数を占めた。

 こうした状況を受け、白書は、「権利擁護への一層の取り組みが必要。障害の有無にかかわらず、相互に尊重し支え合う『共生社会』の実現が重要課題だ」と指摘している。

(2007年6月15日13時39分 読売新聞)



高齢化が進んでいることから、アルツハイマー病の増加により精神障害の数が多くなったというのは分かるし、無理のないことだ。これは誰のせいでもないし、社会的な病理とも違っている。

ところが、そううつ病などの「気分(感情)障害」が増加し、33・3%で最も多かった、というのが問題だ。

うつ病はたぶん増えているだろう、という感覚は自分からも分かる。それだけストレス社会になっていて、気分や感情の障害が増えているのだろう。

だが一方で、ストレス社会のせいで気分や感情の障害が増えている、という理由だけで、簡単にこの問題を片付けるわけにもいかないような気がしている。

単なるストレスーーーーこういっては何だがーーーーーがあるだけで、はたして精神障害が発生するだろうか。少なくとも通常のストレスのレベルで精神障害の発生が「増加」するなんて、やや異様ではないか?

つまりストレスだけが理由ではないか、ストレスが原因だとしても、それが普通のレベル(この普通のレベルのストレスという言葉もあやふやで分かりにくいが、誰でも持っていて、通常は障害が発生しないレベルのこと)ではなく、過剰なまでに強いストレスを抱え込んでいる場合だろう。

経済や金融の世界も、かなりきわどい状況だし、政治的にもこの先どうなるのか、という状態だが、ここへきて、人間(国民)の精神状態も、かなりヤバいところに来ているのかも知れない。こうした問題はもっと論じてよいのではないか。

この記事では、精神障害の増加と、精神障害の人に対する社会の理解の問題という、2つのことが書かれている。

障害者に対する社会の理解は以前よりも進んでは来ているように思うが、実際はまだまだだろう。障害者も金銭を得ることができなければ、生活ができない。それを支援する企業などは、まだまだ少ないに違いない。

個人的な関心から言うと、障害者と社会との関係よりも、精神障害の増加の方に興味がある。それは社会がかなり病んでいる証拠だと思うからだ。ここを何とかしないかぎり問題は解決しないばかりか、問題は大きくなっていくばかりだと思うから。

社会の病んでいる、その病根のようなものは一体なんなのだろうか。