2007年6月13日水曜日

元市職員の給与返還訴訟

実質的に働ける健康状態だったにも関わらず、病気を理由に休暇、休職を取り続けた市職員に対する、給与返還訴訟が結審した。この記事と思い出したことのメモ。


「6年で出勤10日 元市職員の給与返還訴訟が結審 奈良」(asahi.comより記事を引用)
2007年06月13日12時22分

 病気を理由に約5年10カ月間に10日しか出勤しなかった奈良市環境清美部の元職員中川昌史被告(43)=懲戒免職、職務強要罪で公判中=を相手取り、同市と同市職員互助会が病気休暇・休職中に支払った給与など計約2297万円の返還を求めた訴訟の第1回口頭弁論が13日、奈良地裁(坂倉充信裁判長)であった。中川被告側は欠席し、答弁書も提出しなかったため、この日で結審した。判決は7月5日。

 訴状によると、中川被告は01年1月〜06年10月、多発性神経痛、過敏性腸症候群などの病名で計71通の診断書を市に提出。計48回の病気休暇・休職を取った。だが、この間、部落解放同盟の支部長として市との協議に20回にわたって出席したほか、市役所にも度々出入りし、実質的に経営していた建設業の営業活動をしていたとしている。

 市側は昨年末、中川被告に返還を求める催告書を送ったが、期限の2月15日まで支払いがなかったため、4月に提訴に踏み切った。


まだ判決は下りていないので、この裁判の結論部分は明確ではないが、結論は見えているので、それを論じる必要はないだろう。

この記事では、提訴した側が市だということだが、この職員が休職中や休暇中、そのあまりの長い期間に渡るものでありながら、当時どうして休職や休暇が許可されたのかに不明瞭なところがある。

休暇や休職の要件を満たせば、それを許可せざるをえないのが原則だろうが、いくらなんでも約5年10カ月間に10日しか出勤しなかったというは異常だ。どうしてこんな状態が許可されたのか。

こうしたケースで支払った給与の返還を請求するのは当然である。いくら公務員とはいえ、働いていない実態があるのに、そこから労働の対価たる給与が支払われるのはおかしい。これは不当利得の一種とも言えそうだ。



昔の話しだが、都立高校では一週間に一度、教員には自宅研修という制度があった。教員が授業の準備や勉強に使う時間で、学校に行くことのない日が、毎週一度あった。

一応この日も労働時間であって休日ではない。しかし実際は休日扱いにしていた教員が多かったようだ。それでも労働日に数えるわけだから、そこから給与が出ていた。税金からこんな金の使い方が大っぴらにされていた。現在は分からないが、今でもあるかも知れない。

もちろん、それで、日教組運動をやっていた人もいただろう。自宅研修で遊んだ次の日に学校に来て、国家公務員法で一律全面禁止されている争議行為などをする、ということが行われていたのも事実だろう。

こうしたことが今でもあるなら、今回の訴訟のように給与の返還請求をするべきである。今回の訴訟を見ているとそんな気になってくる。

やはり税金で給与が出るので、実態に合った給与の支払いがなされるべきである。労働実態と支払われる給与の額が相当なものでない場合、これは問題にすべきだろう。

今は民間でも少ない給料で生活がたいへんだし、例のフリーター問題や派遣社員の問題などある。それらの人達からも税金を取り立てて、そこから公務員の給与が支払われているのだから、これはどうにも納得できないものだ。明らかに公務員への給与の払い過ぎはおかしい。

こうしたことを是正するのに、本来、議会というものがあったはずだが、今回は司法の判断ということになった。今回の奈良市の議会ではこの問題、どう論じられているのだろうか。