2007年7月1日日曜日

サムライ債と円安

サムライ債(円建て外債)についての記事と主観的なメモ。


「円建て外債の発行急増、6月は最高の8490億円」(Nikke Net より記事を引用)

 海外企業が日本で発行する円建て外債(サムライ債)の発行が急増している。6月の発行額は8490億円となり、月間としては6年9カ月ぶりに過去最大を更新する見通し。日本の金利は上昇傾向にあるが、欧米に比べ低金利で調達できることが背景。円を外貨に替えて運用する円借り(円キャリー)取引と同様の外為取引が生じ、円安の一因となっている。

 2007年1—6月累計では1兆2600億円となり、上半期としても2000年1—6月(9080億円)を上回り、現在と同様の集計が可能となった1998年以降では最大となる見込み。




通称、サムライ債と呼ばれる円建ての外債の発行が増えることで、円を外貨に変える動きがあり、これで円を売るわけだから、その結果円安になっているのではないか、と記事にはある。

日本で資金を調達する外債の発行が多くなっているということは、またしても日本の対外債権の総量が増えていることになる。日本政府や機関投資家が米国債で運用している、巨額な資金に加え、日本の個人投資家からも、こうして資金を集め、海外に流れて出ていく。

日本は本当に世界の金融をファイナンスしているのではないか。日本の資金が無くなったら、世界の金融もかなり違ったものになるかも知れない。

こうした日本の資金や対外債権の量の多さに比べて、国際社会における日本の発言権はどうして低いのか。完全に国際社会からなめられているとしか思えない。

それにしても、これだけの外債を引き受けているのであれば、日本の資金にもまだ余裕があるということか。

去年からずっと日経平均も上がってきているが、去年の5月の暴落など、株価が一旦暴落することが度々あり、その都度、個人投資家が傷ついてきたはずだ。その分、資金も消えてなくなっているはずだが、それでもまだ日本には外債に巨額な投資するほどの余裕があるというのは、凄い気がする。

今年だけで、外債の発行額が1兆2600億円という数字なるわけだから、確かに円安に振れてもおかしくない。しかし、外資が円を外貨に変える時になると、円安からより、円高になってからの方が断然有利だろう。

現在のように123円付近にいる場合には、外貨に変えるのは不利だ。しかも、一旦は124円ほどになり、これからもしかすると、円安はさらに進行し、125円を越えるかも知れない状況の中で円建ての外債を発行するは、あまり適してない為替の状況がある。

これは円ドルでだが、ユーロでもこのところ円安が進んでしまっている。もし円から外貨に変えるとすれば、ユーロやドルでは為替で減価が生じてしまう。

せっかく発行して調達した資金を為替で目減りさせては意味がない。特に資金全体の額が多くなればなるほど、為替の問題は大きい。

例え為替で減価しても、日本より他に資金を集められる国が他になく、しかも、日本の低金利の状況を加味して考えた場合は、為替の問題を考慮しても、断然有利だ、というなら分かるが、仮に自分が外債を発行する側にいるのなら、そんなことはしない。

もし自分が外債を発行する立場の人間であれば、まだ円が安いから外貨に変えることはせず、一旦、別のところで調達した資金を活用することを考える。

例えば株に投資することを考える。現在の東証は底堅い動きが続いているし、投資するには良いと思う。一旦、日本で株を買っておいて、ある時期、円高に向かう直前の地点で、株式を売る。

円高に急激に動けば、輸出株を中心に売られることになり、日経も一旦は、暴落するだろう。その直前で売ってしまう。外資であれば、この為替の動きを事前に掴める機会もあるかも知れない。

そうした情報源を活用して株を売り抜ける。株を売り抜けたところで、円高の進行を見守りながら、いい時期に外貨に変えて、資金を本国に持ち出す、ということをやる。

抜け目ない外資だから、その程度のことは考えると思うのだが、実際ははたしてどうなのだろうか。実際の運用が気になるところだ。