2007年6月22日金曜日

岩波文庫版、モンテスキュー『法の精神』上、その1

ブックオフに行ったら105円本コーナーでモンテスキューの『法の精神』を見つけたので買った。

前々からモンテスキューの『法の精神』は読んでみたいと思っていた。売っていたのは上巻だけなので、中、下巻は今回手に入れていない。

高校までの政治経済の教科書は勿論のこと、大学の教養課程(今は総合科目というのが一般のようだ)でも、国家の政治形態について、基本的な事をあまりきちんと教えてくれない。例えば「共和政」という言葉は、高校の政治経済の教科書で、あまり出てこなかった記憶がある。共和政という言葉が出てくるのは、もっぱら世界史だった。「共和政ローマ」という感じで世界史に出てくる。

共和政がいかなる政治(国家)形態で、他の形態と区別するための特徴とは何なのか、について自分は今まで誰からもきちんと教えてもらった覚えがない。

世界史の教科書に共和制という政治形態の説明(あるいは正確な定義)がないのは勿論のこと、世界史を教えている教師も、共和制という政治形態が何なのか、きちんと教えてくれないものだ。

世界史を担当する教師は残念ながら、政治学や法律学などをあまり勉強していないので、政治形態についての基本的な知識が欠けるのである。そんなものは高校はもとより、大学でも教えてもらっていないから、生徒に政治形態の基本をきちんと解説できないのだ。

大学で使われる憲法学の教科書でも、共和政その他の国家形態の基本的事項で詳しい説明はあまり書いていなかったと思う。

また共和政など政治体制(国家体制)に限らず、社会や経済の仕組みもあまり分かっていないところがある。「資本主義」(これは政治より経済の分野だが)とは何かを明確に説明できる者の少ないだろうし「近代」とは何かを明解に説明することができる者も少ないような気がする。

こうしたことは一例だが、我々は基本的に国家の枠組みや社会の成り立ち、経済の仕組みなど、基本的な構造や、その種類など、あまり知らないのが現状だと思う。それも大学を卒業した者、所謂一流大学を卒業した者でも、意外と明確に知らないのが本当のところだろう。個人的にはそう感じている。

実は自分自身も大凡の政治や法学の知識があると思っていたが、その一方で若干知識に不安もあり、ちゃんとした知識を頭に入れておきたいと前々から思っていた。それで岩波文庫のモンテスキューの『法の精神』の上巻を買った。


しかし、一方でこの岩波文庫の「法の精神」を読み進むうちに、いぶかしく思うところがあったのも事実である。それは翻訳がひどい、ということだ。日本語として不自然な文章が散見される。まともな文章になっていないところもあった。

このおかげで、ただでさえ抽象的な内容を扱っている『法の精神』が、余計読みずらくなっている。分かりづらいのは、モンテスキューの書いた内容による部分もあるだろうが、翻訳で読みずらさ、分かりにくさがあるのは確かだろう。

翻訳自体は1987年から88年のもので、比較的新しいものだ。しかし岩波としては、もう少し時間が経ってから、訳文の見直しをしてもらいたいと思う。