2007年6月8日金曜日

派遣労働者の給料

日雇い派遣の給料からの天引きに関するニュースとメモ。


「日雇い派遣の天引き給与「返金応じる」 折口会長が明言」(asahi.comより記事を引用)
2007年06月08日21時17分

 8日、コムスン問題で記者会見したグッドウィル・グループの折口雅博会長は、別の子会社で「日雇い派遣」大手のグッドウィル(東京都港区)の給料天引き問題について、派遣労働者から申し出があれば返金に応じる方針を明らかにした。

 折口会長は「強制的にとれるものではなく、納得いただけていない人に関しては返金が必要だと思う」と語った。

 日雇い派遣各社は、派遣1回あたり200円程度を、保険料などの名目で給料から天引きしていた。月20日間働けば年間5万〜6万円程度になる。

 グッドウィルは制度を廃止したが、任意の支払いだと主張し、過去の天引き分の返還に応じない姿勢だった。しかし、同社の派遣労働者でつくる労働組合は、事実上は強制で使途も不透明だとして返還を請求。賃金の未払いだとして労働基準監督署に一斉申告する動きも広がっていた。

 1日3万人近くを派遣するグッドウィルでは、年間徴収額は約15億円に上るという。同グループの06年6月期の連結当期利益は34億円で、返還が大規模に行われれば業績にも影響が考えられる。


一回の派遣で200円程度と安いように思えるが、年間のトータルでは5、6万ほどというから、バカにならない。

派遣会社は、もともと雇った労働者からピンハネをして儲ける商売だ。それには本来、労働者と派遣会社との信頼関係が重要だが、それが崩壊しているのだろう。派遣労働者側から、天引きした金の使途が不透明だとして返還請求をされた。

考えてみれば、派遣労働者を受け入れる、企業が、一人の派遣労働者の労働の対価たる、金銭をいくら派遣会社に支払っているのか、不明だろう。

一人の派遣社員の労働から得られる金銭が一体、いくらなのか不明確なのだから、実際にどの程度のピンハネが行われているのか、見当もつかない。

派遣会社も、派遣社員に対して、「今回の仕事で相手側の企業から○○円出ます。うちは派遣会社としてあなたからピンハネするのは、そのうちの○○パーセントの○○円です」などと説明するわけがないし、どのように派遣社員の給料が計算されているのかも実は不透明だろう。

この一回につき200円程度の徴収でも、グッドウィルで年間15億円にもなるという。同グループの06年6月期の連結当期利益は34億円という数字を考え併せると、どうもしっくりこない数字だ。

この一人から200程度の金銭徴収で15億もの収入があるわけで、この記事では、「同グループ」の「連結当期利益が34億」とある。この6月期の意味が、正確に書いてないが四季報には、この会社の決算が6月末とある。だから記事にある「6月期の連結利益」とは、年に一度の本決算のことだろう。

年間の利益が34億円で、今回の200円のピンハネが15億というと、年間利益のやく半分近くに当る。もっともグッドウィル側の言うように保険に使っていれば話しは別だが、保険等の必要なものに使っていない場合には、年間の利益の半分近くをここから出していたことになってしまう。

今回の200円の件以外にも、企業への紹介料などとしてピンハネをしているわけだし、しかもその本来のピンハネ料の方が、今回の200円よりも高いはずだから、あまり計算が合わない。

グッドウィル・グループ全体でみると、他の会社が儲けをだしていないか、また必要な経費がかかるのか、この両方がないと、儲け分が6月期の連結利益に、きちんと反映していないのではないか、という気もする。

グループ内にどんな会社を抱えているのか知らないが、派遣会社など、小さな事務所さえあれば、営業できるもので、必要経費や設備投資はたかが知れている。金をかけてそれを消却するのに、営業利益が大幅に削られた、というのも想定しにくいように思う。

個人的にこうした派遣会社の経営実態は知らないし、会社経営もしたことがないから、会社全体の会計がどのようになっているのか分からない。でも、今回の件から察して、派遣会社のそもそもの収入の程度や、会計など、どこか違和感を感じるものがあった。