2007年4月12日木曜日

島田裕巳氏の中沢新一批判本

ジャーナリストの有田芳生氏のブログを見ていて知ったのだが、宗教学者の島田裕巳氏が中沢新一氏を批判する本を出版するそうだ。島田氏の本にも興味があるが、わりと意外だったのは、有田氏のブログに書かれている内容だった。


『有田芳生の酔醒漫録』より、以下リンク

「地下鉄サリン事件と中沢新一」

「地下鉄サリン事件と中沢新一(2)」

「中沢新一はオウム事件の「黒幕」か」


特に意外に感じたのは、「地下鉄サリン事件と中沢新一(2)」にある次のような文言だった。以下その一部を引用する。


「週刊朝日」の「マリコの言わせてゴメン! ゲスト 中沢新一」を取り出した。内容がひどすぎてボツになった経緯がある。おそらく編集部にも残っていないだろう。フリーになってさまざまなテーマを書いてきた。それらの資料はほとんど散逸しているけれど、この対談だけはすぐ出せるようになっている。それだけ「何だこれは」と思ったからだろう。たとえば中沢発言から。

 これもカットだけど、飯星景子は統一教会を脱会していないですからね。(中略)二木(注、日刊現代記者)が資料を島田(裕巳)に渡して「幸福の科学をたたけ」と言って原稿を書かせたんですよ。それで島田は書いちゃった。(中略)これは島田が悪いんじゃないですよ。二木が悪いんです。(中略)あの人、学生のとき、爆弾製造犯ですからね。

 わたしへの批判もふくめてこんな対談が続いていく。そして事件についてもこう語っている。
 
 ぼくは確信犯ですから。坂本弁護士事件というのは、オウム真理教の犯罪じゃないといまでも思っています。(中略)これは絶対に載せないでください。真犯人は別にいます。

 そこで林真理子さんは「エッ、ホント!?」と驚き、中沢さんは「午後7時に坂本弁護士の自宅に3人の女性が入っています。これ知っていますか?」と続ける。「これも載せられないけど、石原慎太郎の四男がオウム真理教の幹部だって知ってます?」と語る。さらに「これは絶対に載せないでください。実行犯の大半が、北朝鮮の被差別部落出身ですね」という。林の「上祐もそうだとか」という問いに「そうです。林(郁夫)さんもそうだし。石井久子もそうだし」。


中沢新一というと、ポストモダンの論客というイメージが自分にはあった。または「ほぼ日」の中でやっているような、いかにも面白そうなテーマを講演でしゃべったり、本に書いたりする人物というものだった。糸井重里と仲も良さそうで、政治的にも宗教的にも中立というか、直接関わらないという印象を持っていた。

ところが有田氏の文章では、わりと深くオウムと関わっていたようだし、週刊誌に載せるはずだったという対談における中沢氏の言説も、いつもと雰囲気がだいぶ異なっていて、何か異様な印象を受ける。いつもと違った中沢氏の姿をかいま見た思いがする。

もっとも自分が中沢氏について、うんぬんするほど彼の書いたものをたくさん読んできたわけではないが、(読んだのは3、4冊の著作)「彼もこんな下世話な話をするのか」というのが、有田氏の文章を読んだ時の正直な感想だった。

肝心の島田氏の本はまだ読んでいないので、中沢氏がどの程度オウムに関与していたのかは知らない。本屋でこの本を見つけたら手にとって見てみよう。

島田氏のブログにあるこの本の記事はここへ(『島田裕巳の「経堂日記」』)


最近はめっきりと思想系の本を読む機会が無くなっている。もうここ数年は思想に関する本は読んでいないし買ってもいない気がする。まあこうした本にまた接する良い機会にでもするつもり。