2007年7月7日土曜日

大学図書館の蔵書が読めるようになる

大学図書館にある蔵書をネットで読めるようになる。なんとも有り難いことだ。なかなか嬉しいニュース。


「慶大とグーグル、蔵書データ化で提携…ネット公開へ」(Yomiuri Online 記事を引用)

 慶応大学は、インターネット検索サービス大手のグーグルと提携し、学内図書館に所蔵する古書約12万冊を電子データ化し、インターネットで公開することを決めた。


 データ化するのは、室町〜江戸時代にかけて作られた御伽草子(おとぎぞうし)など和装本9万冊と、明治から昭和初期の文献3万冊。著作権保護期間が終わった、これらの本を撮影し、文字の読み取り処理をしてデータ化する。作業はグーグルが担当し、8月から開始、作業を終えたものから順次公開していく。

(2007年7月7日23時18分 読売新聞)



ネット上で公開され、内容が読める本は、著作権のきれたものになる。まあ、それは当然だ、新しい本をネット上で読めるようにしたら、本を買わなくなる。

公開されるものは、室町時代から江戸時代の御伽草子の和本とか、明治から昭和初期の本だから、この時代の歴史研究や文学研究をする学生や社会人にとっては、おおいに福音だ。

大学図書館というと、意外と閉鎖的でその大学の学生や研究者、その大学に講師として教えに来ている人など、利用できる人間は限られていた。それ以外の人間は利用できなかった。

他大学の図書館を利用したい場合は、自分の通う大学図書館に紹介状を書いてもらって、それで、かなり制限をつけられた上で、自分の利用したい図書に限って利用できたと思う。

今でもそうだろう。そんな中でネット上で図書館の文献を利用できるようにした慶應の判断はなかなかすばらしいものがある。これは多いに他大学は真似をして欲しいものだ。

この新しい蔵書を読めるサービスで、特に地方の人は恩恵を受けるのではないか。本など、地方のかなり田舎に行けば、あまり売ってないものだ。公共図書館だって、本屋だって、遠くにあったり、あっても規模が小さくて、利用したい本がない、という場合も多いだろう。

その意味では、学問研究は勿論のこと、多くの情報や知識、思想などに接する機会が少なく、実質的に都市圏と情報格差が存在したことも事実だろう。やはり知識や情報を得るには、大都市の方がだんぜん今でも有利だ。

そうゆう環境にあって、今回の慶應のサービスはかなり意義深いものだ。近くに図書館がなく、しかるべき本が手に入らないばかりに、書く事のできないテーマや研究もあったはずだ。それでかなり不利な思いや、不便な思いをした人も少なからずいるに違いない。

こうしたサービスは、おそらく徐々にではあるが、少しづつ充実していくに違いない。知識や情報で、通う大学や住んでいる地域で格差の出ない社会が望ましい。そうした望ましい社会に少しづつ近づいているに違いない。