2007年7月4日水曜日

社保庁職員の退職

社会保険庁の職員の退職が増えているとうニュースがあった。これが今後どうなるのか良く見ておく必要がある。


「徒労感・見切り…社保庁職員、「自己都合」退職が急増」(asahi.com より記事を引用)
2007年07月04日15時22分

 保険料の不正免除や年金記録のずさんな管理など不祥事続きの社会保険庁で、「自己都合」を理由に退職する職員が急増している。06年度は391人で、02年度のほぼ3倍に達した。国民の厳しい批判にさらされて、年金記録問題では今夏のボーナスの自主返納を求められ、3年後には組織も解体される。若い職員が将来に見切りをつけるだけでなく、定年間近のベテランが「疲れ果てた」と辞めていくケースが多いという。

 社保庁によると、02年度の退職者593人のうち、「自己都合」退職は約2割の132人で、定年や退職勧奨が大半だった。だが、年金記録の「のぞき見」や裏金作りが発覚した04年度以降、退職者の総数に大きな変化がないのに、自己都合は04年度193人、05年度307人と急増し、06年度は391人と退職者の約7割を占めた。この間、退職を後押しするような制度変更はなかったという。

 今年度のデータはまとまっていないが、年金記録が問題になった最近も増加傾向に変わりないという社会保険事務局もある。大阪社会保険事務局によると、管内で4月以降に退職した3人はすべて自己都合で、「記録問題への対応で人手が足らない。今辞められてダメージが大きい」と嘆く。

 全国社会保険職員労働組合によると、自己都合退職は若い世代と50代が多いという。芳賀直行書記長は「定年までもう少しのところで、『もういいや』とあきらめてしまう傾向が強い。採用もままならず、定員割れしている県もある」と話す。

 最近、社会保険事務所を定年前に退職した50代の男性は「体力的にも精神的にも疲れた」と話す。昨年の国民年金の不正免除問題では、対象者におわびするため住宅地図を片手に戸別訪問し、後始末作業で連日の徹夜。その後も年金相談や悪質未納者に対する強制徴収などで、午前0時近くまで残業が続いた。

 「組織解体もやむを得ないが、まじめに仕事をしても社会に理解してもらえないのがつらかった。今は、辞めてほっとした気持ち」。地元で再就職した。

 同じ事務所に勤めていた20代の職員は「田舎に帰って新しい仕事を見つけたい」と9カ月で辞めてしまったという。

 成立した社保庁改革法で同庁は10年1月をめどに廃止される。年金業務は非公務員型の「日本年金機構」に移され、多くの業務が民間委託される。1万6800人の社保庁職員(常勤)を12年度までに1万3000人に減らす計画だ。


個人的に、社会保険庁の改革などできないだろうと思っていた矢先に、こんなニュースが出たので驚いた。

なぜ職員が退職していくのか不透明だが、個人的な想像では、もう民営化されることが目前で、長くいても仕事が勤まらないと判断したからだろう。

民間になってしまえば、今までのような、文字通り「お役所仕事」では通らない。今までのようなずさんの仕事ぶりもできない。もう社会で使い物にならない自分を自覚して去っていったのではないかと想像する。特に高年齢の職員の場合はそんな感じだろう。

記事にあるような「おわびの個別訪問」と「徹夜と残業」でやんなって辞めた、というのは、やや情けないと思うが、こうした職員は去ってもらってもいいだろう。

若い職員の場合がよく分からない。社保庁に止まっても特に不利というわけではないだろう。他の企業に行っても中途採用だし、正社員になるのは今でも大変だろう。その意味ではこのまま止まって、新しい社保庁で仕事をした方がいいだろうと思うけど。

記事にある、職員を「1万6800人の社保庁職員(常勤)を12年度までに1万3000人に減らす計画」というのは、このままでは意外とあっさりと達成されるのではないか?

ところで腐った組織の代表のような社保庁だったが、ここは改革は不可能だろうと思っていた。公務員組織、役所など、所詮は改革は難しいだろう考えるのが、世間では一般的だろう。だから個人的にも、社保庁の改革はできないだろうと思っていた。

しかし、職員の退職が急増しているというから、もしかすると、改革はできるのではないかと思うようになった。

何せ、改革を阻む職員自体が減るのだ。もっとも職員が減るだけで、職員全員がいなくなるわけではないから、改革は楽ではないだろうが、少しは改革できる可能性は出てきたのではないかと思う。

いくら社保庁が廃止されて、日本年金機構に形を変えても、同じ人間がやっているわけだから、根っこの部分で変るはずもない。だからどれだけ改革ができるのかは、あまり期待できるものではない。

しかし、職員の総体的な人数が減れば、それだけ士気も落ちて、わりと改革がしやすくなるのではないか、などと思ったりする。この社保庁改革、なかなか見物かも知れない。