2007年7月5日木曜日

教員免許更新の科目

教員免許の更新に関する記事が出ていた。更新の内容に関わるものについて。


教員免許更新、「対人関係」「使命感」など5科目で講習」(Nikke Net より記事を引用)

 2009年4月から始まる教員免許更新制について、文部科学省が講習方法など具体的な制度作りを急いでいる。教員の質を重視し、講習は指導力だけでなく「対人関係」「使命感」など5科目にする方針。児童・生徒や保護者らとの関係に配慮できる力も求める。同省は「よほど問題がない限り修了できる」としているが、修了基準は決まっていない。
 今国会で成立した改正教員免許法は、免許に新たに10年の有効期限を設けた。更新には期限満了前の2年間に30時間以上の講習を受けることが必要。詳細は政省令で定めるため、文科省が作業を進めている。今年度中にまとめる。


教員免許の更新内容がどんなものなのかと思っていたが、その部分的なものが記事に載っていた。

もっとも講習方法はまだ決ってないし、修了基準も決っていない状況。

それにしもて面白いのは、講習で実施される科目だ。「対人関係」とか「使命感」という名称の科目だ。

こんな名称のものが教員免許更新のための講習科目になるのかと思うと、やや違和感は感じる。そもそも、「対人関係」だの「使命感」だのというものが、講習のための科目になるのだろうか。

「対人関係」というのは、おそらく心理学か何かの科目だろうと思うが、何を問題にしている科目なのか、科目名からでは判然としない。

いじめ問題などを受けて、生徒と生徒との間の対人関係をどう考えるか、という意味での「対人関係」なのか、それとも教師にとって、職場や大人の社会で上手く会話などできるようにするための「対人関係」なのか、判然としないということだ。

まあ、上記の2つの意味での「対人関係」(考えてみれば、「対人関係論」としていないところからして、客観的な知識の体系ではないような気がする)は両方とも教師にとっては必要なのだろうが、教員免許の更新を受けない我々一般市民にも、一応は内容を明確してして欲しいと思う。

もう一つの科目である「使命感」というのは、一体何なのだろうか。使命感というのは、もちろん教師としての使命感だろうが、使命感というのは、そもそも一律に権力側がチェックできる内容のものではないと思う。

使命感というのは、通常は個人の信条から出てくるものだろうと思う。だから内容的に一律なものではないし、使命感があるかどうかを、要件を立てて、客観的に評価するものでもないような気がする。

例えば、免許を更新する教師に対して、面接したりペーパーを読んで審査する審査官などが、ある要件立てをして、それに教師の発言した内容から、その要件に合うかどうかを判断して、この者には使命感がある、として更新にパスするか否かを判断する、ということになるのだろう。

これはどうも違和感がある。使命感があるか否かを判断するには、やはり、審査する側の人間の能力とも関係があるはず。審査する人間の信条や人格や経験などで、使命感があるか否かの判断内容も自ずと違ってくるはずだ。

こうした問題点について議論したのか、というと、それは分からないが、たぶん、してないだろうと推測する。そうゆう面倒なことは議論したがらないだろうし。

ともかく、案の定、更新の内容はあまりたいしたものではなく、実質的に意味を持たないような形式的なものに没するような気がする。これから更新の際の講習などの内容が明確になるのを待って、よく、見ておくようにしたい。