2008年2月17日日曜日

物価高は円高で対応できるのではないか?

最近の日本における物価高は、単純に考えて円高で対応できるのではないかと思うのだが、どうなのだろう。

日本の場合、国内で取れる資源がほとんどないから、多くのものは輸入に頼っている。食品もそうだし、原油などもそう。つい先日も小麦の値段が上がったので、パンを作る会社は、それに応じてパンの値段を上げたい、というニュースがあった。

でも、よく考えてみれば、これらは多くの場合、海外からの輸入なのだから、円が高くなれば、簡単に相殺できる範囲のものではないか?

もちろん、円が高くなれば車などの輸出産業には打撃だ。しかし、貧しい家計を直撃するような物価の高さは避けられる。従来なら円高阻止で、日銀が100円を割らないように、円高になると猛烈な円売り介入をやった。ところが円高にしたいのなら、それを放置して、日銀が介入しないだけで、済むのではないか?

米国の経済も先行き不透明だし、欧州だって、サブプライム問題でかなり金融は打撃を受けているようだ。つまり世界経済は失速に向かいつつある。その意味では日本はこれから輸出産業ばかり考えていても生き残れないのではないか?

つまり内需をもっと拡大していかないといけない。ここでいう内需には、観光などを含めてよいのだが、国内だけでも経済がうまく循環する仕組みを作っていくということだ。

まあ、それが具体的に何なのか、と言われると困るが、個人的には、それは農業なのではないかと思う。農業をもっと振興させれば、食料の自給率の問題も解決してくるし、失業問題や、いろんな問題に波及効果を持って日本社会に良い影響があるのではないかと思う。

だいたい、内需だの、何かこれからの新しい産業などといった場合、その多くは、わけのわからないベンチャー的な仕事内容だったりする。ネット関連などの「虚業」がその典型か。

しかし、そんな抽象的で危なげなものを考えるよりも、もっと実際の国民生活の問題を考えた方がよいと思う。その点、農業ならこれからの日本のあり方を考えるには、考えやすいし、いろいろなノウハウの蓄積もあるだろうし、で、将来の展望を切り開くには重要な産業だろうと思う。

昔、経済学者で、名前は忘れたが、農林水産業を「第1次産業」と呼び、工業を「第2次産業」と呼んで、これからの時代は情報産業などが中心の「第3次産業」に先進国は移行するようなことを言っていた人物がいただろう。

まあ、これは反面は正しいのかも知れないが、全面的には正しくない。人間は「第1次産業」がなくては生きていけないのだ。これを途上国に全面的に移行させても、必ずしもうまくいかないことが、最近は判明しつつある。農薬問題などがその典型だが、ある程度は日本も自前で生産できないとダメな時代になったのだ。

もっとも最近では、日本の農産物というのは海外では高く評価されてきているらしく、中国などアジアでは、日本の作る果物などは高級品になっているようだ。こうしたところでも、日本は実は輸出できるし、工業品やブランドもの以外でも、高級品を作れるのだと自覚した方がいい。

円高にして農業などの高級品で中国などの富裕層に物を売るという方向も悪くないのではないか?